大室佑介入門 2025年5月18日 | 作成:佐藤敏宏 | |
屋敷と家 | ||
屋敷の特徴 境界不明なので詳しくは分からないが、3000u(900坪)ほどだろうか、とても広い屋敷だ。 家屋は南西側に寄せ配置している ![]() 東面の空地も広く入路との落差はない。自家用車でやってくる来館者用駐車場としても活かしている。10台ほどは容易に駐停車できる広さだ。 南側の公道に面した位置には、中谷さんのお爺さんが買い集めた石を積んで作庭した日本庭園がある。綺麗な垣根から、特異な形状に刈り込まれた門かぶりの松、この松は動物が首を長くしたような格好で目立つ。家の出入口を案内しているのかもしれない。 その松を起点に日本庭園は東西に連なっている。ここには樹木や石灯篭など適宜配置されている。大室さんが草を刈ったのだろうが一人で手入れできる広さを超えている、と思った。お爺さんは毎年時期をみて庭師の手入れを欠かさなかったのだろう。 屋敷を背に東に進むと大きな枇杷の木、綺麗に刈り込まれた茶畑、その先に白山地区の生活処理施設が見えている。おそらく農業集落排水処理施設だろう。 西側には太陽光発電が敷きならべてある、落差2〜3mほどあり屋敷は高い。そこにアトリエに転用されている建物が建っている。だから屋敷内からは太陽光パネルは眼にはいりにくい。この辺りは太陽光発電が好きな経営者などが多いのだろうか、太陽光発電用地がめだつ。 屋敷内に上下水道は完備しているようだ。ガス管は敷設されていないので、給湯は石油、台所はプロパンガスを使用しているのだろう、ボンベや石油タンクがある。 |
![]() 北面の雲出川との境界あたり ![]() 雲出川を背に屋敷の南を眺める |
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屋敷の南側を西へ向かう道路に立つと左手に私立・大室美術館の分館、本館、次に地域の集会施設の順に見えている。柿の木が四方に枝葉を茂らせている。2025年は柿の実はたくさん収穫できるとのことだ。 | ![]() |
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西側にある太陽光パネルを過ぎ、振り返り屋敷を眺めると、2.5mほどの石垣を積み列ね、敷地を公道面と同じ高さに整地して建物を建てたことが分かる。境界にそうように雲出川のある北に向かって、竹が茂り藪となり伸びている。 | ![]() |
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屋敷の東に立つと、改修中の離れ、アーティスト・イン・レジデンスとその東側に空地が見える。この空地は先に書いたが、来館者が多数の場合は駐車場として使用している。塀の傍に水道用の小屋のような物が見えているので、井戸も掘って使用しているのかもしれない。井戸水を水道として使用しているのかは聞きもらした。 |
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■ 自宅の構成 家屋の並びは、屋敷の西にアトリエ、その東側に母屋、一番東側に離れが建っている。 アトリエは全て中谷ミチコさんの制作場とし日夜、明かりは消えない。 母屋は生活の場と、二人の書斎が一体になっている。 離れは木造2階建。現在アーティスト・イン・レジデンスへ用途を変えるため改修中だ。完成後は1階が制作室や図書室、交流の場となり、2階はアーティストたちの休憩、寝室になるようだ。10帖ほどの和室が二間ある、布団を並べれば1室6人の雑魚寝はかなうだろう。男女別で10人ほどの泊まり込みワークショップの場としても活かされ、藝術の基地となり、賑やかな場になるのではないだろうか。 真ん中に位置する母屋。中谷さんのお爺さんはこの地方の伝統的和風民家をこよなく愛し、誇りをもち建てたのだろう。小屋裏がたいへん大きく、屋根が中央に凸状に一団高くし設え築造している。屋根が二重になってみえ、最近の女性がズボンとスカートを重ね履きしたような形状だ。この佇まいはこの地方の伝統的民家に当然付けられる平屋の屋根の形なのだろう。目の前の独特な屋根の呼び名を聞きもらした。 (平面構成) 平面の構成は「田の字型」を基に変形増殖タイプとなっていた。概略図を北を上に描き示す。 ![]() 大室さん家族による母屋の使い方を観ていると、各部屋の仕切と建具は無用だというような、ワンルームのように使い暮らしている。20数年前に北海道旭川にある藤本壮介さんの実家内にあった、医療棟に近い使い方だ。ずるずると全部つながっていて使い方に仕切りはなく行き来自在なのだ。このような使用の現状はお嬢さんの年齢が上がるにしたがって、変化し続けることだろうから、概略図はあくまでも2025年の様子として受け止めてもらいたい。いずれ再訪することもあるだろうから、その時に変化を報告したい。 |
参照:日本最古の民家「千年家」 |
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