HOME     文責・作成・佐藤敏宏         佐藤敏宏の京都ことば閲覧2017年1月27日から2月2日
ことば悦覧録
   
 
  牧野研造さん2017年1月27日京都市内
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 その2 

牧野今日着工したのが、ガルバリウム鋼板とか金属製品の商社さんのオフィスビルを今作っているところなんです

 4階建てのビルがありまして、1階が1.5層ぶんぐらい高さがある。これをリノベーションするんですけれど。鉄骨の駐車場の躯体を利用して解体工事と基礎工事を減らして、いかに既存のビルの1階にもう一つ新しい小さいお家を3つ作る
佐藤:上階はそのままですか

牧野2、3階はリノベーションするんですけれど
佐藤:出来上がったらビルの持ち主が使うんですか
牧野そうです。ここは元々共同住宅だったんですけれど。で1階が駐車場という使い方です。その駐車場の1スパンを新しい本社にしまして、外から見たときには全体が一つの会社の構えになっている。そういう連続を作ろうとしています
 駐車場は平置きの駐車場に変えます。2階は一部屋だけ改修して、他の部屋はオフィスとして使うんですけれど。オフィスは最低限の改修をして、一部屋だけ趣味のレコードとかお持ちなので
佐藤:お気に入りの品々を並べて置く部屋に作り替えるのだと

牧野:棚でできた部屋を一室だけ作るんですけれど。普通の2LDKのリビングよりちょっと広いぐらいのスペースがあります。3階は再度お住まいになるので全面リノベーションして住宅にかえます。
 今も住宅です。
佐藤:3階は骨組みや躯体だけ有効に利用して他はかえる、改修してしまうんだと
牧野そうです

 ここには資料はないですけれど町家を改修しています。そういうことを今やっています。これぐらいでいいんじゃないですか ふふふふ

佐藤:せっかく資料を出してくれたので、これはなんの建築ですか



牧野:これは東京で目黒本町の家と呼んでいるんだけれども。目黒本町に住宅を設計しました(目黒本町の家
佐藤:外観 ずいぶん鋭角ですね、敷地がこういう形ではないですよね。とんがってますね。斧の刃みたいですね

牧野:斧みたいですふふふふ。これは、敷地面積の最低限度が60uという所なんですが。これがちょうど60uの敷地で、そういうふうに切り売られた状態になっています。
佐藤:敷地18坪と小さい、小さいと言っても建物はできますね、建蔽率が問題か
牧野60%まです。
佐藤:10坪三階建てで30坪は可能だね

 (写真:矢野紀行写真事務所)

牧野北側の高度斜線というのがきつくって、そこでだいたい四角形を 片側切り落として、跳ね出しのバルコニーができるというのが、この地域のだいたいの住宅のありようなんですけれども。それをそのまま。傾斜した屋根をかけているんですけど。
佐藤:北側斜線で切り落とされているんだ。
牧野そういう外観の家がどんどん並んでいくんですけれども。60uということは皆さんマックス建てようと思うので。そうなるとボリュームというのは決まってくるんですね。じゃ−建築法的な拘束から出た形態をそのまま受け入れていい外観だったり、それがいいかというと一寸だけ違ってます
 そこから導きだされる立体として考えて、まずは壁面のラインが隣の外壁と連続しているように考えています

佐藤:両サイドの隣家の壁面がずれていたので連続させたと。両隣の家の外壁のズレをこの敷地の建物で調整し全体の壁面をつながるようにしたと
牧野そうです。かなり密集地なのですけれど、プライバシーを守りつつ、明るく光をいれたりということと。どうしても断面状、北側斜線で切られてしまうので3階のとりかたというのはかなり難しくなってきますね。そのときにトップライトと階段室をからめて、トップライトの上部がちょうど頭が当たらないぶんだけ抜くことで、全体の階高を調整する。写真がパソコンに入っているのでお見せします

 パソコンを操作しだす牧野

これ、ここですね

佐藤:そうかそうか
牧野:ここも施主の身長よりすこし高いぐらいです。
佐藤:3層になっているんですね
牧野:そうです、それで一番上の階は
 (写真:矢野紀行写真事務所)

佐藤:法規制からできてしまうボリユームと全体の外形に機能を割り振っていくという感じですかね
牧野そうですね、ただ、それをそのまま当て填めると、何か法律によって切られた感じのする造形になるので。そうは見えないように
佐藤:建築的くふうをしてと

牧野:それがこの敷地の条件に対する態度かなーと思ったんですけど。これで地名プラスというネーミングをするときは、プロトタイプみたいなものを作りたい一心でした。それで目黒本町のこの条件下だったら一つの標準的な家で、寝室は2部屋ほしくって、さらに主寝室1室ほしい、というような構成の中で獲得できるプロトタイプ。

佐藤:そうすると1階が駐車場になっていて、玄関があり階段がありと。2階はどうなっているんですか
牧野2階はリビングです、主寝室は1階です。
佐藤:そのほか要る2つの寝室は3階ですか
牧野そうです。ちょっと自慢なんですけども。この敷地の横も工事していて、その設計の方が「この地域でこんなのができるなんて凄い!また仕事を用意します」と

佐藤凄技!ははははは 素晴らしいじゃないですか。隣の家は牧野さんの建築のように視線が抜け空気も抜け気持ちのいい建築じゃなかったと。
牧野隣はアパートだったですね。たぶんおっしゃっている意味は北側斜線がある案件がほかにも在って、なかなかうまくまとめるのが難しいということだったと思います。
佐藤:同業者が感心してしまったと、それはいいねー。頑張ったかいがあったというか、思考したかいがあったと。残念なのは町並みをつないでいってるのでこのような外観になったという事は理解されていないと。今の話だと内部の構成が生み出す光や建築の豊かさについて感心されたんだということですよね

牧野かもしれないですね。たぶんね、言ってもガルバリウムの塊がこうなっているだけだと受け止められたと思います。壁面の連続操作については気づいたりしないと。思われないですね


 (写真 矢野紀行写真事務所)

佐藤:外壁の折れてる形状は内部にどう響いているんですか
牧野バルコニーです

佐藤:鋭角に突き出たバルコニーだから、内部では外壁の折れは平面には影響してないわけですね
牧野ぜんぜん気にならないです。前面道路が4mで、手前もすぐ近くにアパートが建っていたりするので、全部ワンクッション置くとか、階段室を介してつなげる

佐藤:内部は相変わらず白いですね
牧野:白いですねー。これは自分で白いペンキでいつでも塗れるようにということです。ペンキの真白というやつです。そのままです
佐藤:壁が汚れたら自分で真白を塗ると

牧野そうです、これは竣工写真なので、けっこうワイワイ使っているというか。
佐藤:自分で絵を描いて楽しんでいるとかですか
牧野絵を描いたものを貼っていたりとか。汚れたからペンキ塗るのも楽しんでやってますし。結局3階だけ、クロス貼りにした処もあったんですけれども。「ちょっとお金かけても塗装にしておけばよかった」と言ってました。
佐藤:下地処理するからペンキの方が単価が高いということですか
  
(写真 矢野紀行写真事務所)

牧野:工務店にもよるんですが、だいたいクロスの方が安いです。
佐藤:クロスというけど今のクロスは布じゃないのでクロスとは言えないけどね

牧野:その中で耐久性の高いものがあるので、材料は馬鹿にせず、物の性質に合ったところに合ったように使えば何でもいいと思うんですけど。

佐藤:8年前の聞き取りで見せていただいた住宅建築も階段の扱い方が特徴的でしたがまだ続いていますね
牧野たぶん狭い所に詰め込まないといけないので
佐藤:最初の住宅(岩倉の家)だったでしょうか、最上階が特徴的でしたね

(以下の写真2枚は8年前に竣工成った住宅 写真矢野紀行写真事務所)


牧野:そうですね、たまたま新築で住宅の設計したのが3階建てが二つで、両方ともそ、高さの頭打ちがある状態で設計したんです。なので施主の身長と重要になってくる

 ふたりで笑うははははは

佐藤:身長の高い人から頼まれると更に工夫が要ると
牧野:そうです

佐藤:東京で施工をする場合に工務店を探したり、監理したり、行き来がたいへんじゃないか?と思いますがどのように対応しているのですか

牧野:工務店を探すのは東京で活躍している先輩もおられるので、紹介していただいたりとか。監理はほとんど質疑が無いぐらいの図面を書いて出すので苦労はしなかったんですけれど。交通費だけちょっとかかりました ふふふふ
佐藤:図面をたくさん書いて対応するんだと。なるほど。
牧野:質問でて、行かなきゃいけないような事になっていると、すぐ目黒には行けないですしね。
佐藤:では図面の厚さだけを見せてください、これか−を

  牧野 図面を探しに立ち上がる がさごそ  あれ

佐藤:見つからなければいいです
牧野:だいたいいつもこれぐらいです、これはビルの改修用の図面ですけれども

佐藤:詳細は全部かいて質問がないようにして、東京に行かずとも施工できるように図面をたくさんかくと。

牧野:そうして書いたら、心配なぐらい連絡が来なかったので ははははは こっちから連絡しました ははははは
佐藤:木造なんですよね。近頃は平面作っただけで、プレカット屋に投げ入れて、できちゃったみたいな工務店状況なんだとも聞きますけれども、それに慣れちゃっている工務店だと図面がいっぱい書いてあると、嫌がられると思うんですが。そういう質の工務店ではなかったんですか 

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