2023/7月4日午後森純平、家成俊勝、岡田栄造さん ドットアーキテクツの皆さん @コーポ北加賀屋 作成:佐藤敏宏



ドットアーキテクツに集った人々の2023夏


2023年7月4日の飛び入り記録

著者:松本花音



「今度、森さんとdot architectsさんの聞き取りを佐藤敏宏さんがするらしい(註1)」と岡田栄造さんから聞き、そのお二方に取り入りたいと思っていた私は乱入─盗み聞き─してやろう!とコーポ北加賀屋に足を向けたのでした。加えて、佐藤さんの聞き取りの記事(註2)は実はちょこちょこ読まさせていただいておりまして、隠れ読者として本当にこの崩れた文体もといハイパー会話調の記録はどのようなやり取りを経てそうなっているのか…という実態を見たかったというのもあります─私は舞台芸術等の広報や企画をやっている者なので、いわば職業柄の関心です─。
佐藤自撮り2ショット
左 松本花音さん

(註1)佐藤は2022年、森純平さん・家成俊勝さんに連絡し2023年7月4日非公開の語り合いを企画 
註2)佐藤のHP



後者に関しての結論としては、本当にそのまま話していることをほぼそのまま記録に起こしているのだということが判明しました─笑─それはつまりどういうことかというと、建築やその建築家、ひいてはその建築家のみなさんの生き方やパーソナリティ、生息領域がどのように構成されてきたのかを紐解きそのまま晒すことが、─その建築家が関わっている─建築の理解や解釈ないしは批評そのものになるのだということを、佐藤さんご自身がその諸問題を抱えておられるお身体に鞭を打ちながら体現されているということだと思います。

当日、私が到着したときにはすでに千鳥文化の見学とdot architectsのみなさんの聞き取りの半分が終わっていたところでした。まずは個別に以前よりお仕事でご一緒させていただいている宮地敬子さんにコーポ北加賀屋を改めて案内してもらいました。いま設計中のとある方のご自宅のプランなどもちょっと教えていただきつつ、その後聞き取りの輪に加わったときには、佐藤さんはだいぶお酒が進まれておられ、もはやその場は遠方からの酔狂な来訪者による若手事務所員への問い詰めタイムになっていました─笑─そして森さんはその場に、良い意味で空気のようにニコニコと座っておられました。

でもその問い詰めというのは、結局「で、おのれは何がやりたくていまここにいるのか」という問いを形を変えて、そして愛を持って訊いているということなのでした。ここは関西なので、たのしく和気あいあいとボケ&突っ込み、そしてもはや劇団のような佇まいもあるdot architectsのみなさんによる実況実演などもありながら聞き取りは進むのですが、時折出てくる専門的キーワードや、スケッチを描くことで説明するタイミングが幾度か出てくるところが、建築の門外漢の私からすると改めて新鮮でもありました。
そしてdot architectsさんの集団性というのは業界内外、東西問わず広く興味を持たれているところなのではないかと推察しますが、ゆるやかな師弟関係のようなものはありつつも、根底には建築を楽しみ、建築ができることを拡張したり時には締めるところは締めたりする、その運動性や大喜利のようなところに共感している個人の集まりなのかもしれないなと、佐藤さんのディテール重視の細かい聞き取りに対して真摯に回答するみなさんの姿を見て思いました。

森純平さんに関しては、生い立ちなどをその場で伺えなかったので佐藤さんの記録を大変ありがたく拝読しました。森さんってやっぱり変な人ですね!アート界隈の住人からすると謎の領域横断的活躍をされている建築家さんという認識だったのですが、逆に生い立ちを読んで、場所や空間がある限り、いや人が地球に生息してる限りは、人の営みや集まり方をどうデザインするかということが建築なのだということをいまのご本人のリアルなやり方でやっている方なのだろうなと認識しました。

話が終盤になるにつれて佐藤さんの酔っぱらい度が高まり危険水域ギリギリ─コンプラ的に─だったので、後半は私はホステスとしてその場にいてやんわり注意換気するというロール設定を勝手にさせていただきました。─話がそれますが、役割を設定すると集団にいやすくなる気がするのは演劇の起点であるなと改めて─そんな居方であっても、佐藤さんの福島原発の話など、思いがけず建築家同士の会話の中でその話を聞くことで自分だけでは思い至らない問いに少し触れられた気もしました。

佐藤さん、みなさん、乱入を許してくださりありがとうございました。また飲みましょう!!










当日の聞き取り記録・目次 









左より 岡田栄造 家成俊勝
佐藤敏宏 森純平 (撮影宮地敬子)






集合写真