渡辺菊眞個展2019 目次へ  記録作成 文責佐藤敏宏 
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■ 川井操さんによる感想
 2019年12月4日 居酒屋 吾平にて (337音源)
 
佐藤:遠いところ、渡辺菊眞展に来ていただきありがとうございました。川井操さん、感想を述べよ、お願いします。
川井:9月の末に 25日に滋賀県大でレクシャーしてもらったんですよ。それがあったので、事前の情報というか、今回の展覧会に向けた事とか、特に最後の赤い三枚の文字の、話を中心にされていました。だから、自分としてはすーっと入ってきたものが結構ありました。
 ただ、学生時代の連続プロジェクト・左側の展示の方は、知ってはいたんですがああいう並べた形で観たのは初めてです。彼の連続はすごく感じた。そこは面白かったです。
 菊眞さんが「建築術を京都から学んだ」と話をされていたので、京都の町割りとか、そういうことを読み込んで、提案していく。その蓄積みたいなのはよく見えた。左側の方は、京都時代の作品みたいな見え方、途中から高知の計画もあったですけども。京都時代の蓄積で、学ばれていることが、よく分かったかなーと。

 一番、新しかったのは、自分としては真ん中の写真。菊眞さんが「建築のどういうところに、着目して観てたのか」ということがよく分かって。文章も含めて、真ん中の写真の列は、非常にユーモラスもあって、面白かったです。ネタバレも含めて、あそこまで誠実に言語化されていて、一枚一枚の写真に文章を付けているのは、魅入って見ました。

佐藤:実作はどうでしたか。

川井:そうですね、昨日、香川県立ミュージアムの展示を見てきたんです。金嶺神社の事は非常に、地域とか過疎の問題に対する課題に、ああいうローコストな形で応えている。それでいて、社会的に地域的なインパクトを持った応え方をされている。それは凄く、面白いなと思いましたね。
 アジアのプロジェクトに関しては、滋賀県大講義の時に、かなり話を聞いたので、そのあたりは、面白いなーと思ったし。自分たちが今やっている中で「現地の人にどうやって作ってもらうか」その課題ですが「凄い作り易い、工法で、応えているなー」と。自分自身の、今の課題と重なって「持ち帰りたいなー」と思いましたね。要は建築の造り方を、そこの処も、参考にもなったですね。
  高知の中でやって来られた事。その蓄積が、けっこう実作の方では色々見えてたので、それは面白かったですね。
 あとはね、高校生のアイディアを膨らましてやったという、あれは凄いなーと

佐藤:高校生の遍路小屋の案、アイデアスケッチを具体的な建築にした。あれですね。
川井:凄いなと思いました。ああいう形で、彼らのアイデアを渡辺菊眞風にしていく、力業と巧さ。そこの当たりも、大学で僕もプロジェクトやっている身としては、凄い勉強になった。教えられましたね。自分の中では面白かったですね

佐藤;そういう意味では、実作全部がそうだと思うんです、菊眞氏自身の構想を押し付ける訳でもないですよね。その場の状況に合わせ、あるいは状況が持っている力を消化し、翻訳して建築にしている。建築の力に翻刻して、アウトプットしている、それを技というんですね。一般の方には、分かり難いんだけど、技ありと。

川井:そうですね、その辺は凄いクレバーだし、建築の力はもちろんあるし、その辺の、混ぜ方みたいなもの、巧いなと思いました。
佐藤:今後の、川井先生自身の、仕事に参考になった、それは、なによりです
川井:そいうですね。大学で、プロジェクトやっている。

佐藤:じゃー、次回の川井先生聞き取りは楽しみですね
川井:ははははは、今回の展覧会をどう参照しながら、展開していくか、そうですね。
佐藤:布野研つながりだから、布野弟子、頑張れですね。
川井:自分の大学で建築をやっていく、大きな参照、尊敬すべき先輩です。それまでは、強い接点がなくって「菊眞さん、こういうことをされているんだ」ぐらいにしか思ってなかった。レクチャーに来てもらったこともあったし。そこでも、強く、僕自身に対して言われた事もあったし。今日高知に来て、改めて思いましたね。

佐藤:感想は、こんな感じでいいですかね

川井:もう大丈夫ですね

佐藤:ありがとうございました。

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 川井さん 森田さん




川井操さんTwitterより2019年9月24日