本  2019年 作成 佐藤敏宏
 関谷直也著(1975年新潟生まれ)
 『風評被害ーそのメカニズムを考える』 光文社新書521

 福島県立図書館 070.14 セナ115

第一章 風評被害とは何か
・風評被害の定期 ナホトカ号重油流出事故 所沢ダイオキシン報道 東海JCO臨界事故 バラバラな定期 風評被害の共通点 水銀パニック 汚染魚騒動は「マスコミ公害」 健康被害から経済被害へ 

第二章 「放射能パニック」と風評被害
・第五福竜丸被曝事件 マグロが泣いている 「間接被害にも補償」 広島・長崎の被害者対策に影響を与える 風評被害原型

第三章 原子力事故と風評被害
原子力船「むつ」の放射能漏れ事故 「魚価安定基金」という風評被害対策 原子力安全委員会の設置 敦賀原発の放射性物質漏洩事故 原子力施設建設における民事協定 当事者は含まれるのか否か 

第四章 メディア報道と風評被害
・「負」広告効果 人間は忘れやすい 視聴率を下げないための映像 情報・報道の過集中 支援の過集中 意図せざる情報格差 災害報道における「議題設定効果」 風化と忘却

第五章 安全と風評被害
・主観的な「安全」 恐怖の同心円構造 感情的な「科学」の理解 科学リテラシーだけではなくならない

第六章 流通と風評被害 
・代替品の調達を可能にする「高度流通社会」 流通の段階で生ずる経済的被害 政治家・行政関係者・事業関係者の場合 評論家・科学者・識者の場合 市場関係者・流通関業者の場合 想像が実態に近づく過程 疑心暗鬼の連鎖 

第七章 観光産業と風評被害
・911テロと風評被害 修学旅行のキャンセルが相次いだ理由 感染症と風評被害 自然災害と風評被害 自粛・遠慮という文化 観光地と化した四川省大地震の被災地 

第八章 企業・金融・保険と風評被害
「風説」の流布 取り付け騒ぎ ペイオフ解禁と風評被害 福島銀行での取り付け騒ぎ ポートフォリオと風評被害のジレンマ 保険業界における風評被害 「危ない企業一覧」リストの波紋 マイカルの破綻は風評被害か 悪い評判を立てられた時点で風評被害になる 企業間の信用収縮がまねく風評被害

第九章 東日本大震災の「風評被害」と「うわさ」
・30km県外で物流が停滞 四つの理由 過去の苦い体験 風評被害経験 風評を助長した「安全性の協調」 災害ユートピア うわさと風評被害 東日本大震災におけるインターネットのうわさ 不安の原因 圧倒的な情報不足 人への風評被害 総力戦の心理 噂の流布を防ぐには 

第10章 東日本大震災後の日本が抱えるジレンマ
日本の「団結力」の鼓舞 日本から続々逃げ出す外国人 日本製にむけられた海外の怪しい目 「安全」とされるすべての原発に対する不安 東海東南海南海地震の高い可能性 集中する東京への不安 日本ブランドへの危険視 防災と経済復興のジレンマ

最終章 不評被害にどう立ち向かうか