『漁業権とはなにか』 熊本一規著 日本評論社2018年1月25日刊行 2023年6月 作成 佐藤敏宏



補償額はどのように算定されるのか(18頁)

漁業補償額は、その額を利子率8%で預金した場合の利子が埋め立てやダムによって減少する漁業純収益と等しくなるように算定されている。
 ※影響補償は工事の施工により生じる損害だから、別途損害賠償として事後的に払うのが原則であるが損害が確実に予見され、かつ社会生活上受忍の範囲を超えるような場合には、事前補償することもさしつかえない。と解説されている。
工事期間がのびた場合、補償契約で想定した被害率より実際の被害率がおおきく上回った場合等には損害賠償が必要んなる(20頁)

利子率な現在0.02%
昭和37年当時の利子率のままになっている。漁業価値は1/400になる。
 以下18〜19頁

@ まず消滅補償対象区域が定められ、そのなかで営まれる漁業種類ごとに補償額(平年の純収益÷利子率)×漁場依存率×依存度率で算出
平年の純収益:平年の漁獲額に純収益をかけて算出。平年の漁獲金額は、評価時前3〜5ヵ年の平均魚種別漁獲量評価時の漁価をかけ、それらのすべての魚種にわたって合計し算出する。
純収益率とは漁獲高から経営費(自分が働いた時間も労賃に換算して経営費に含める)を引いた純収益が漁獲高に占める割合のこと。農水省の『漁業経済調査報告』や『農林水産統計』を用いて出すか、またはそれを参考にしながら地域で漁家の実態調査を行って算出する。
・利子率:8%に定められている
漁場言依存度率:埋め立てがおこなわれる沿岸漁場以外にも沖合い漁場などがある時、その魚種の漁獲高の何%が沿岸漁場からあがっているかを示す割合。操業面積、出漁日数などを参考に決める。

依存度率:沿岸の漁場区域から漁獲高のうち何%が消滅補償対象区域からあがっているかを示す割合。面積比、出漁日数などにを参考に決められる

これらを合計したものが消滅補償額となる。