HOME  作成 佐藤敏宏
      
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 質疑応答へ 

 36 

 よろしくお願いします。住宅構法の詩学と題して、発表します。

本提案では一世帯一住戸一構法という閉じられた住居が持っているシステム、クローズのシステムをいかに開くか、そしてつなげるか。



 大量生産プレファブリケーションという文脈で生まれたものをどう使い倒すか、消尽するか。そして、ここでは新しくものを作り出す設計ではなく、既に在る物と物の関係性を調整することによって設計できないかを考えました



 敷地は1970年前後に造成された工業化住宅が並ぶ宅地で、ここで設計を行います。

 次お願いします 



 今回、様々なエレメントをコラージュして作る、建築、規模的に機能的に建築未満の物を「呼継」と呼びます。由来の違う異なる陶器を金継ぎした物を呼継ぎとよび、ここから建築を呼継とよびます。

 続いてお願いします。
 本提案では以下の三文献をもとに工業化住宅のディテール、モジュール、構法について詳細に調査いたしました。



 順番に世間に登場する工業化住宅を紹介します

 ミサワホーム、フリーサイズは中型木質の計画とモジュールのもので現場施工が可能です。



 積水ハウス2Bはメーターモジュールのプレファブ住宅の代表的なものです。



 ナショナル住宅R2Nはプレファブ住宅のなかでは珍しく鉄骨ラーメン構法を採用しています。



 大成パルコンはプレキャストコンクリートパネルにも関わらず910モジュールを持っている少し変わったものです



 ミサワホームコアは大型木質パネルの格安住宅です。



 続いて、積水ハウムは皆さんご存知の通りエポックメーキングとなったユニット構法のプレファブ住宅です。



 この6種類の工業化住宅に在来工法の木造のものを二つ足したのが対象です。



 実際に呼継を見ていきます。呼継ぎは段階的に構築されて行きます。



 お願いします


 この呼継では積水ハウス2Bの とミサワホームの外壁パネルを入れ子状に使い、新しいサニタリースペースを提案しています。





 これはラーメン構法の外壁を引き剥がすことによって、屋外化し様々な構法のパネルが乱立する作業場を提案しています






 つづいて、M1のユニットを連絡通路として二階をつなげています。



 づづいて、これは在来木造に910のモジュールを持つ木質パネルとコンクリートパネルを集めて、建築を増築しています。





 次に、金継ぎの金に当たる処の提案です。これは外装材や構造体を棄損せず、そのまま使って、ただ挟むだけというクランプを提案して、クランプと角材を繋ぐことで、そこから、最低限の構造を架構などを掛けれるようにしています。







 続いてお願いします。このように、敷地境界を跨いでちっちゃな呼継ぎと言われる小さな建築、いろんな構法が混ざり合う建築を配置することによって、新築では作れない、様々な多様な場所が生まれます。








発表は以上です。ありがとうございました

 会場 拍手 ぱちぱちぱち 


 質疑応答 

司会:それでは、ただ今の作品に対して質問等ありましたら、お願いしたいと思います。

五十嵐:マニアックなね、解説はよく分かったんだけれど。だからどうなるんですか。誰のために、何のために、こんな事をやるのっていう。だって空間、なにがよくなっているの。気持ちがよくなっている。端的に説明してくれれない。建築というのは人間を対象で、これは造られた物たちなんだから。これ何のためにこんな事をするんですかって。ちょっと聞かせて。

36:今回、可能な限り機能的な説明はしていません。もちろん考えてはいるんですが。今、現時点で50年経った工業化住宅は、どんどん失われていってる中で、50年町並みを作ってきたので、新しい場所を作れないです。すぐそこに在ったもので建築をつくれないかっていう提案ですね。

 なので、必ずしも、今回、僕の中で、ユーザーとか、実際にどういう問題がそこに、有るかということは、ある意味、提案の中ではクローズアップしてない部分ですが。
 その場所に既に在ったもので、再編することによって、多様な構法が混在している場所を作る。


:質問、いいですか。敷地は具体的に設定されて。

36:複数のニュータウンを参考にしているのですが、平均的な敷地とか、隣棟間隔とか参考にして。

辻:フィクションで設定したっていう。

36:はい。実際に販売されていた年代とかも、合わせています。

辻:プログラムの提案っていうのは、何か提案されているんですかね。プログラムというか、ファンクションと言うか。ああいう呼継ぎをして、完了壁がこういうふうになるよとか。

36:最初の呼継で言えば、二つの建築のサニタリースペースが古くなっていて、その中間に新しいユニットバスをつくる、という提案などをしています。


赤松:でもね、やっぱり、あのー、その方法論は解るんだけれども。でも、具体的に、やっぱりそれによって、どんな、空間が生まれるって、どんな町が生まれて。だから、こういうふうに、もっとそれが、この先も、あの、今まで50年経ったけれども。その継いで行くことによって、違ったものが、また生まれて来るわけじゃないですか。それを生み出す、そのー、まず、根拠と言うか。なんでそれが、そういうふうになるから、いいのか、というところをちゃんと説明しないと。建築の説明にならないじゃないですかね。
 それはたぶん、今、質問した五十嵐さんにしろ、やっぱ凄く、何か未消化というか、なんか消化不良みたいな、感じがするんで。もしそれが本当に、ちゃんと有るなら、そこをまず表現し、表明しないと、駄目だと思うんですけど。

司会:どうですかその辺は

36:基本的に割り切れる、と言われてしまったら、割り切ってしまっているかも知れないですが。こういう可能性のオプションを提示することに、僕は凄い興味があって。
 で、その語り方の順番で、最後に構法の話が来るのではなくって、最初に構法が来て、それでどういう暮らしが、これからあるのかっていうのを考える。そういう順番なんです。


:それを考えたと。これから考えると

36:はい。

:そう。

36:でも、今回設計者の立場が、僕の中でもかなり、難しくって。住宅メーカーの設計者のディテールが、どう作られたかっていうのを、丹念に調べていく。そうすると、モジュールの話も経済的な合理の中で生まれていきます。基本的に、そこにユーザーとかはいない訳です。
 で、ある時代の建築家も、ある瞬間まで、そういうもので、システムの構築っていうところから始まっていると思うので。僕は、そういう住宅メーカーの設計者と建築設計者の間の、中間の立場で、今回この提案をおこなってます。


:やろうとしていることは、建築の設計っていうよりも、工業化住宅のシステムを何か、新しくしたいっていう、そういう事なのかな。つまり60年代の日本で、工業化住宅がたくさん提案されていったけれども、それをモジュール化と言われながらも、それぞれのメーカーごとに閉じていって。異なるメーカー同士ではくつっかない。貴方はそれを異なるメーカー同士をくっ付けたい。それをやりたかった。そういう事でいいんですか

36:はい。その通りです。

司会:それも言いきっちゃっていいですね

36:一番の興味としては、そこに在るべきものを、特別に操作して、設計することが可能か、っていうことで。その題材として、工業化住宅を選んだということです。


門脇:ちょっと擁護すると。一般的に言うと、近代化以前では、ある地域の構法って限定されるんだけど。それが乱立するのが、近代以降じゃないですか。
 「こういう住宅メーカーが色んな構法を開発して、それが同じ町に並ぶわけですよね。それが町の混乱を産んでいたのである」というのが一般的な言い方なんだけど。それを混在化させて、パッチワーク化させることによって、混乱を調停できるのであると。そんな仮説があるんだとすると、おもしろいなーと思うんですけど。

どうでしょう、その辺のリーチを、どこにゴールが在るのかと、みんな聞いているだと思いますよ

36:基本的に、70年代を選んだのは、どんどん、家の構法が各社クローズドになって、誰もこの家がどう作られたかを分からない。
 で、70年代前後、ぎりぎりまでは、少しわかる。引きはがせば分かる。そういうぐらいの、難しい過渡期の工業化住宅を選んで来て。
 だから、この提案ではそれぞれの家の成り立ちを、ちょっと崩して、ちょっと組み合わせることによって、その町とか、その家とかが、どのように、成り立っているか、露見させる事が、僕の中では重要で。

 だからこの題材を選んだと、というんですか。ちょっと答えになっていませんでした。すみません。


青木:全てが、バラバラのクローズの仕組みを持って、建てますよね。だから金継みたいな、継ぐ部分の工法っていうのが重要だっていう訳じゃない。
 で、そうすると、さっきクランプで止めるっていう工法っていうのが、一つのキー工法の一つだと思うんだけど。

 たぶん、それ以外も色々な工法があるんだよね。それはどのぐらい考え着いたの。たぶん、それによって敷地を跨ぐことが、そういうことも起きてくるんじゃない。

 で、金継の場合だと、バラバラな物を、瀬戸物の破片に対して、一個の工法で造れているじゃないですか。継げるじゃないですか。これは何か継ぐっていうことに関して、どういう具体的な提案が有っるか。もうちょっと話したほうがいい

36:クランプの提案に関しては、外装材とか構造体を棄損せず、後々の転用とか、後々の呼継のために、ただ掴んだだけっていうラフなものを提案していて。
 例えば、さっき言ったコンクリートパネルではシース鉄筋という、鉄筋が通っているので、それをアンカーボルトに木質パネルをつなげるとか。個別具体的な、この構法と、この構法の組み合わせだと使えるというのも提案しています。

 ただ、ユニバーサルに、どの外装材でも、どの構法でも繋げれる物っていうのが、クランプの物っていう形です。

青木:その繋げるっていう行為が建築の行為だ、って言えばいいんですか

36:そうですね。例えばモジュールが違ったりするので、そうすると、色んな空隙とか隙間が生まれる。それを屋根を架けるっていうところが、僕の中では金継の陶器の破片の部分と金の部分というのは、等価に扱っていて。だから、空隙に屋根を架けることも、建築行為と捉えています。、


司会:よろしいですか。

五十嵐:だから何なんだという、ところなんだけど。そこに落ち着くと思うんだけどさー。

司会:たとえば模型でね、繋いでだところが実は凄く魅力的な空間が出来上がっている所が一杯在るとか、っていう話にはなんないんですか。先生たち見てくださいよ、とかには成らないの。そういう作り方はしてないのかな、この模型は。

36:そうですね。ここには一つしか模型が置いてない

司会:そういう感じでもないということですかね、はい。分かりました。なかなか淡々としていましたけども。そういうことでよろしいですか。ではありがとうございました。皆さん大きな拍手をお願いします

 会場: 拍手 ぱちぱちぱち


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