「Fukushima Gofuku Remains」  

対立を越えた対話 事例としての「パグウォッシュ会議



鈴木達治郎氏講演記録 

2015年3月19日(月)

2015年パグウォッシュ会議長崎大会報告
   ─「長崎を最後の被爆地に
」─

   
                                                     WEB記録:佐藤敏宏作成。注:聞き取り違いあると思いますが・・。

こんにちは。今日は前座をやらさせたいただきます。前座と申しましてもパグウォッシュ会議の報告を一回も皆さんの前でやったことが無い・・・ということで、これを機会にお時間をいただいて簡単ですがパグウォッシュ会議の報告をさせていただきたいと思います。

お手元の資料に沿って、まずは復習ですが。「パグウォッシュ会議とはなんぞや」というときにですね。実は準備している最中にも「一言で言えないの?・・」と言われて。ながいーいタイトルが付いているんですけど、いろいろ考えた中に、WEBサイトにも書いているんですが、対立を越えた対話という言葉がありまして、これは非常にいいんだなーと・・・これを一つキーワードに・・・。

もう一つはパグウォッシュ会議の出発点である科学者の社会的責任というのが大変大きなテーマです。

この二つを行う、団体であると。しかも目的は当然ながら核兵器と戦争の廃絶

この二つを目的として、対立を越えた対話と、科学者の社会的責任ということで、詳しくはWEBサイト(日本パグウォッシュ会議)を見ていただくと、主旨とか、いろいろ書いてありますので見ていただければ・・・。

それが基本的な理念でありまして、それに基づいて全てのプログラムと、活動が行われています。


http://pugwash.org/

 その原点になるのが、ラッセル・アインシュタイン宣言です。これも長いんですけども・・・ 第一、上の段にあるのが、科学者の世界的責任と呼ばれている方で、科学者として水爆の危険性を世の中に、科学的に訴える

二番目に科学者の社会的責任、さらに、一人の人間として人類に訴えるということが加わってきます。これが今もずーっと継続していまして、我々は科学者でもあると同時に一人の人間として、個人として、このパグウォッシュ会議に参加して、意見を述べている、ということで・・。

個人の参加
というのが大きなテーマ、要するにその形式なんです。

 組織や国を代表している訳ではないと。これがラッセル・アインシュタイン宣言の大きな原点、我々の原点になっているものです。これを踏まえて、第一回のパグウォッシュ会議がカナダで開かれたと。これが科学の予想と書いてありますが、 一番北の端の赤毛のアンの舞台になった所の近くに在る美しい別荘で開いたということです。これが第一回です。これからパグウォッシュ会議が始まった。

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■■対立を越えた対話をするための要点

もう一度この理念について、お話したいと思うんです。対立を越えた対話と科学者の社会的責任、ということで目的は核兵器及び大量破壊兵器の廃絶戦争の廃絶。

1)対立を越えた対話の場つくり

 で対立を越えた対話をどうやってやるんだ?・・ということなんですが、まずはとにかく戦争はしない。軍事的手段で解決するんじゃなくって、国と国の戦いにある対立を、対話で解決しましょう。戦争が有る限り、いずれそのうちまた大量破壊兵器が生まれ、それが使われる。大量破壊兵器を無くすためには戦争を止めなければいけない。対立を越えた対話ということを実践する、ためには、そういう場を提供していかなければいけない。

で、さきほ申しましたように、個人の立場で参加する。対立を越えた対話を実践するためには、対立をしている国を代表して集まって来ますと、なかなか対立を越えた対話が出来ないので。「国はこう言っているけど私は違う・・」というようなことが言えるような場を提供しましょう。
で、個人の立場で、意見を交換するということで、対立を超えることが出来る。そういう場を作るためには、公開ではなかなか出来ない。公開で国を代表しているはずの科学者が「実は違う意見だった・・・」と、なかなか言えない。という事で、原則非公開で、本音で話してもらいましょうと。
がちがちの組織を作らない

 それから特にがちがちの組織を作らない。その都度その都度集まれる人が集まる、という事で会員制でもなし。こういう事でやって来ている組織なんですね。そういう非常に柔軟でしかも、逆に言えば曖昧な活動だったということですが、原則非公開で率直な意見交換を。これが原則でした。
)科学者の社会的責任

科学者の社会的責任はさきほど申しましたように、専門家として、一般の方が知らない事を専門かは知っている訳ですから、それを社会に情報提供する。特に科学技術のもたらす、良くない面

科学技術者は当然ながら、社会のために科学技術を開発している訳で。良い面は、当然ながらよく喋るんですけれども、悪い面はなかなか喋らないですよね。
科学技術の方でも。それをやらないと本来、科学技術の持っている潜在的な力というのは後世には伝わらないんですね。

負の影響をちゃんと予め予見するってなかなか難しくって、これは科学者でもなかなか難しい訳です。その時に、科学技術の社会に及ぼす影響というのは科学者だけではなかなか予見できないので、政治学者や経済学者や最近では社会学者ですね、法律の専門家。そういう方々と協力をするんですね。

でそのための、最終的には全ての情報を発信する

第61回パグウォッシュ会議、長崎?科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議 (pugwash.org)
4)具体的な行動を執る

その次も大事なんです。言っているだけでは駄目で。このパグウォッシュ会議では具体的行動を執る。なんらかの形でそれぞれの立場で行動を執ってくださいということを目標にしているということです。

これを執らないと、陰で、いくらでも自分が意見が有って陰で言ってるだけは誰でも出来るんです。最後は行動を執って、社会に貢献するという。行動を執るということがなかなか難しくって、この科学者の社会的責任というのは社会のなかで行動を執ることによって、初めて社会的責任を取る。

そういうことですね。これが理念になっています。

これらを通じて、最後実現可能な政策提言を行うと。これはもともと集まっている方々はノーベル賞を受賞されたような物理学者や著名な科学者の方々なので、政府の政策関係者にもアクセスが有る。そういった方々に提言をする。あるいは一般の方々に情報を提供したり、今はメディアが一杯有りますので、そういったところを通じて意見を伝えると。

 こっれがパグウォッシュ会議の活動であります。


2015年の長崎大会 のこと   会議の日程表へ
それを延々とやって来て、今年の長崎大会になったのです。じゃどういう事をやったかです。今年の特徴として、伊王島という所でやらして頂いたんですが、非常に環境がよくって、気持ちがよくって、毎朝海を見ながらご飯を食べて、夜遅くまで議論ができるということで、貸し切った。
他のお客さんは居ないことで、非常に、最初の第一回のパグウォッシュの伝統である、皆で同じ場所に泊まって、夜を徹して語り合うという、そういう雰囲気に少しは戻った。

 最近、パグウォッシュ会議はここ数回は大都会の、でっかい豪華なホテルに泊まってやっていたもんですから、昼間に観光に行っちゃったり、夜は皆個室に入ってしまったりする傾向があったんです。今回は非常に気持ちのいい所で議論させていただいたということで、この場所を見つけてくれた、白戸先生には感謝をしています。非常に素晴らしい所だったですね、ご飯も美味しかったです。
長崎大会

1)長崎大会の4つの意義

今回組織委員会として長崎大会の意義をどういうふうに作ろうかということで作ったのは5つありまして。4つぐらいか?

まず最初に何が一番大事かと言うと、ヒバクシャ長崎に学ぶ。当然ながら、専門家の方々に被爆地に来ていただいて、そこで実感していただくと。当然ながら専門家の方、被爆地に来られた方はいないんですね。広島だとまだ多いんですが。長崎まで来られた方は少ないです。(長崎の大地に立っていただく)これが第一ですね。

それから当然、先ほどの緊張関係にある、対立関係にある地域の方々に集まって頂いて対話の場を提供する。中でも北東アジアの話をしたいと。

最後は科学者の社会的責任の中で・・・日本でやるんだったら今回は福島原発事故の教訓についてやりたいと。この4つを大きなテーマにして組織委員会としてはプログラムを作ってきたわけです。

最後に長崎宣言を採択して発表します。

1)1日目のこと

これが本当に達成できたかどうかということです。ではプログラムを見てみますと、まずパグウォッシュ会議の方からサプライズがありまして、パグウォッシュ会議ノーベル科学賞1995年(平和賞)にとっている・・・頂いているんです。そのノーベル賞のレプリカを証書を長崎市と広島市の資料館に永久展示したい。

 これは被爆者の方々のこれまでの活動や現在の・・貢献に対しての敬意ということで、是非これを実現さしたいということで、パグウォッシュ会議から申し出がありまして。長崎市と広島市の方にお話をもって行ってですね、快くそれを引き受けて頂きまして。この初日の一番最初に式典を行うことが出来ました。今この隣の資料館の方に「ノーベル平和賞、メダルのレプリカと証書」を展示さしていただいています。これを是非見てください。
 それから、一番最初に被爆者である山脇さんのお話をうかがい、それから実際にここの史料館、それから小学校を訪ねて爆地で学び感じるということを最初にやった。これが上手く実現しましてですね。1日目の実際の議論に入る前に山脇さんの話を伺ったことでですね、参加者全員が非常に感動をしてですね、思いを深く被曝体験が染みついたと。それを踏まえたうえで議論が始まったということです。

 セッションではフレディフレディ総・・のメッセージをいただいきました。外務大臣は残念ながらこの日、外交に行って重なってですね、来れなかったんです。これもスピーチを代読して頂きました。ということでだいたい一日目の前半は予定通りに上手くいきました。
後半、午後ですね・・シンポジュームと言って、一番重要なアメリカロシアの外交官に来て頂いて最近の核軍縮について現状について意見交換をしたんです。新聞記事のように、ご存知の通りです。

ここでのやり取りは大変満足のいくものではなくって、なかなか外交官の立場を越えて議論することは難しいんで、しょうがないんですが。パグウォッシュ会議に来て頂いただけでも大変嬉しい事なんです。けども、もう一歩踏み込んだ発言を期待していたんですが、今回は無く。

 ただですね、新聞なんかで一部報じられていますが、会議に来られた実際の被爆者のお話もうかがえて、被爆地を訪ねて、我々とも意見交換し。私もロシアの方とバスの隣になって30分以上話したんです。そういう個人的な色々な体験はたぶん、おそらく将来の核軍縮会合にそれなりに影響を与えると、私は信じていいます

実際に被爆者の方々のお話を聞いてですね、お二人の意見を時々聞いてまして、やはり凄い心に残ったな・・・ということを表向きの公式の発言とは別に、そういうことを言っておられました。来て頂いた事は決して無駄ではなかったということですね。

 赤で囲ってあるところが、公開セッションで長崎大学で、医学部棟でやらして頂いて、外れた所は伊王島の非公開のセッション。非公開だったんですが、今回はマスコミには公開さしていただいたので、記者の方々には取材して頂いてですね、新聞記事にして頂いて、テレビで放映して頂いたということです。

ただ中身はあんまり報じれず、個別のスピーカーの非公式会議からの引用はやめてください、とお願いしました。
2)2〜3日目のこと

2日の朝はですね、南アジアの核問題を議論しまして、南アジアの核。インド、パキスタンですね。核兵器を実際に戦略を練っておられた キトアイ中将、軍人の方に来て頂いて、パキスタンの核戦略についてお話していただく。ここでも色々「核兵器の抑止力は必要だ」というパキスタンの立場を堂々と述べられたんですが、パグウォッシュ会議参加者と激しい意見のやり取りがありました。

3日目になりますと、北東アジア平和共存ですね、これは非公開のセッションで行われたんです。ここでも中国、韓国、日本、それからアメリカのスピーカーがお話して、それぞれの国の現状と今後の方向性について議論したんです。

中国の参加者の方が日本のプルトニウム問題を扱った
り、いろいろここでもやり取りがありました。ここは残念ながら非公開ですので、お話できません。将来に向けての対話の必要性という事については、合意したんですけど、なかなか歩み寄る感じではなかったですね。

 オープンのセッションで原子力の平和利用のスピーチについて、左下の写真ですけども、ここでも議論がありました。ここでは福島事故の教訓を黒川清先生ですね、国会事故調の議論がありまして。それから・・・と称してですね、下村先生と増田先生にお話いただきました。大変貴重なお話をいただきました。河野洋平さんにもディナースピーチをして頂きました。

それで最後に長崎宣言。写真、出てますがイランの核ですね。イランの核合意の問題についてもお話をいろいろ。イラン副大統領で原子力博士ですが来ていただいて、非常に貴重な議論を、意見交換が行われました。

ワーキンググループについて


ワーキンググループにお話を移したと思うんです。これは、著名な方々 ワーキンググループ8つありましてね。分かるところを説明したいと思うんです。中身は公開されていないのですが、要旨が今webサイトに公開されています。本文の方、英文ですが。ワーキンググループ2と6と7、8。この4つをちょっと紹介したいと思います。
2 グループ

2ではですね、どういう議論が行われたかと言うと、色々あったんです。やはり核兵器禁止をする方向で我々は活動しましょうということですね。

それから、段階的なアプローチやるんだ、というアメリカとロシアの方、核兵器をそういってるわけですが、それと、法的枠組みをすすめは矛盾しない。それから次3番目は大事ですね、市民社会と連携していくんだと。最後に非核兵器じたいこれは・・・ が丁寧に報告されましてですね。これを支持するということがあって。

6 グループ
6は北東アジアのm、東アジアのワーキンググループです。ここでは地域信頼の措置が欠けている、足りないと。

これを是非トトラップ・アプローチ、 トラップ・アプローチというのは非政府の機関が主催して行い、会議に政府、外交官や政府の代表者が参加して意見交換を行うということですね。そういう場がここの地域には少ない。足りないということで、これを作ったほうがいいんじゃないかと。

それから日本のプルトニウム問題が逆に中国の核戦略が不透明。アメリカと中国の核戦略の対話を促進すべきだという議論があって。で北東アジアの非核の可能性を追求すべきだと。これはここでも議論された。
7 原子力の平和利用

7は原子力の平和利用なんですが。ここで原子力発電について、けっこう率直な意見交換行われまして・・先生もそこに入って頂き議論して頂いたんです。、今までの、原子力の平和利用はリスクは過小評価だ、むしろ今までリスクは過小評価で利益の方、いい面は過大評価されていたということで、新しく原子力を導入する国に対しては慎重な対応を要請しましょう・・・という言葉になっておられる。

福島事故を踏まえて、工学的なリスクだけでは議論は出来ない事が議論されました。

 再処理の問題

それから、再処理ですね、ちょっとだけ話ますが民生用軍事用に係わらず再処理、プルトニウムの分離は止めるだという事で全員が合意したということは画期的だと思います。

今までなかなかこれは合意出来なかったんですが、今回初めてそういうが合意されました。核燃料サイクルをやりたい、進めたい国は一国ではなくって、国際的な枠組みのアプローチをすべきだと議論されました。

 
精神的な科学技術に対する影響

最後に精神的な科学技術に対する影響ですね。未来を予見することの重要性と専門家がちゃんと意見を述べることが大事だということですね。科学技術者の助言ということがキーワードになって議論されました。

実際に議論された議論はテーマとしてはこの自立型知性システムっていう難しいんですが、要するにロボットですね。ロボットを使って自分で考えて自分で敵を攻撃する、そういう自立型のロボットが開発されていましてこれを武器として使うべきではないという方向で今議論が進んでいるところです。
 長崎宣言 (を読む

長崎宣言ご覧になったと思いますが,これらの議論を踏まえてですね、作らせていただいたということで。

最初に長崎を最後の被爆地にという言葉が出てきて、被爆者の声を聞いて進めて行くべきだと。

これはが長い第一日目ですね。被ばく者の方の話をうかがい、遺構を訪ねたことが、一番最初にこれをもって来ようということに、なりました。

 実は組織委員会も、作った素案では長崎は最後の被爆地には真ん中辺に入っていたですけども、会議の参加者の方から冒頭に持ってきたいというふうになったということです。


それから、最も重要な事は兵器国に対して、核兵器の廃絶をすべきだと強調した。

それから核の傘にある非核保有国の声ですが、これもまた責任が重い。ということで3つの政策を採択した。 

それから市民社会と連携してやっていこと。これは核兵器の法的禁止を目指すということを明確に打ち出して市民社会とパグウォッシュ会議は連携しましょうと

次のプログラムにいきますと、福島原発事故を踏まえて原子力発電の安全の重要性・・の重要性を・・ところがありまして。この連続で、新しい科学技術のもたらす、影響について考えるべきだと。

原子力安全の重要性、また原子力技術に付随するリスクを封じ込めることの重要性を・・・・
これを考えないと、新たな危険がまた起きるということを警告しています。

したがって、それを知っている科学者の社会的責任が重要

それから、対立を越えた対話になります。これはやはり地域間の緊張をどうしたら・・・軍事で解決しようという方向に話が向かっている、そのことに対する警告を考えています。で、戦争は無くすべきだといことです

最後に、被爆者の声を聞いてですね、それでその声を次世代と・世界に伝承していくことが重要で、実際に参加者が、きのこ雲の下で起こったことを胸に刻んで、この長崎宣言を訴えると。

最後に ラッセル-アインシュタイン宣言を心にどどめ・・・のことを忘れようと、最後に書いて長崎宣言とした。


2016年以降のこと

 今後何をするのか?ということを簡単にお話して終わります。

まず第一に非人道性に議論から核兵器禁止の法的枠組みへの議論について、パグウォッシュ会議は市民社会と連携を図って進めていく。これが第一ですね。これは世界のパグウォッシュ会議の大きな目標として今後も続けていく。

東アジアで、どうするか?というとで、先ほど申しました。この地域の信頼醸成措置が足りないという事を受けて、パグウォッシュ会議では初めて東アジアグループというのを作ろうということが決まりまして、日本と中国と韓国のパグウォッシュ会議メンバーが定期的に集まりましょうと

ということで第一回の会合を来年の2月の27日になりますが・・・のプロジェクトの中でパグウォッシュ会議に参加していただいて、この東アジアグループの結成の議論を始めることになりました。やはり北朝鮮の参加を促す必要があるということで、ここは日本にはなかなか来れないということで、外でやる。中国とか、モンゴルのような所で、会合を開くというのがいいんじゃないかと。いうことを検討を始めたところです。

もちろん北東アジア非核地帯の実現に向けてアメリカとも連携してやっていきましょうということが議論されました。日本パグウォッシュ会議もですね、これを機に活動を続けていくこと、連携して行きましょうと・・・いうような議論が今も行われているところです。これが長崎宣言後、我々が実際に考えている状況です。

これが3年間の目標を示した絵なんですが、この中の長崎プロセスというのは北東アジア非核地帯をつくっていくためのプロセス、そのことを言っているんです。ここのところをパグウォッシュ会議と連携してやっていきましょうということで、今、検討をしているところです。

本当に今回パグウォッシュ会議について皆様から暖かいご支援、ご寄付を頂きましてですね、改めてもう一度お礼を申し上げたいと思います。

これを契機に・・及びパグウォッシュ会議と連携して北東アジアの非核兵器地帯の実現と、世界の核兵器の廃絶に向けて取り組でいく所存でありますのでよろしくお願いします、今日はどうもありがとうございました。

会場拍手 ぱちぱちぱちぱち

上記絵は 日本パグウォッシュ会議 サイトより


■ 2016/01/04 に公開 動画へ https://www.youtube.com/watch?v=4I4mXAYeBxg

-パグウォッシュ会議の報告-
長崎大学核兵器廃絶研究センター長 鈴木達治郎教授
日時:平成27年12月19日(土)15:00〜17:00
場所:国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館交流ラウンジ
主催:核兵器廃絶長崎連絡協議会(PCU-NC)

以下 掲載サイトより コピーです
第61回パグウォッシュ会議世界大会2015年11月1〜5日、長崎
パグウォッシュ評議会   「長崎宣言」(仮訳)

 「長崎を最後の被爆地に」―。原爆が広島と長崎を壊滅してから70年の歳月が流れました。それでも私たちは今なお、何千発もの核兵器がもたらす切迫した危険に直面しています。被爆者の平均年齢は80歳を超えました。今日に至っても被爆者は、自身の人生に想像できないような打撃を与えた核攻撃の影響に苦しんでいます。パグウォッシュ評議会は核兵器の廃絶を希求する被爆者の声に耳を澄まします。そして世界の政治指導者に対し、被爆者の叫びを受け止めるよう強く訴えます。

核兵器の脅威は今も増大しています。核軍縮は行き詰まっています。紛争が多発しています。核兵器転用可能な核物質の量が世界各地で増大しています。核兵器が法的に禁止され、廃絶されるまで、そして核兵器転用可能な核物質が安全な形で処分される日が来るまで、意図的ないしは偶発的な核兵器使用のリスクは常に存在し続けます。

すべての核兵器保有国は、核兵器システムの近代化計画を中止しなくてはなりません。核兵器保有国の近代化計画に割り当てられた数十億ドルもの財源は、核リスクの最小化、核の偶発的発射やサイバー攻撃の防止、軍縮の促進にこそ使われるべきです。そして最も重要なのは、核兵器保有国が核兵器の削減にとどまらず、核兵器の廃絶を確約しなくてはならないということです。包括的核実験禁止条約(CTBT)の迅速な発効も不可欠です。拡大核抑止(「核の傘」)に依存する非核保有国もまた、核軍縮を支持し、例えば非核兵器地帯への参加や創設によって、自身の安全保障政策を変革しなくてはなりません。

核拡散防止条約(NPT)の再検討(レビュー)プロセスやジュネーブ軍縮会議(CD)といった、軍縮・不拡散をめぐる既存の国際的な協議枠組みは大切ですが、その限界も明らかです。国々と市民社会、国際組織が連携して核兵器の法的禁止を目指す全世界的なイニシアティブが、核の脅威除去のために重要な役割を果たしうるでしょう。 




2011年に発生した東京電力福島第1原発事故は、原子力安全の重要性、また原子力技術に付随するリスクを封じ込めることの重要性を、私たちに思い起こさせました。現代科学技術が多くの分野で急速に進展しています。そのことが究極的には人間性にまで影響を与えるという点に十分な注意を払わなければ、新たな危険が鎌首をもたげるかもしれません。恐らく今日、科学者の社会的責任はかつてないほど重大なものになっています。

 「対立を超えた対話」。これはパグウォッシュ運動の基本理念です。核兵器使用の引き金を引くかもしれない地域的緊張は外交的な措置によって解消されるべきです。すべての当事者はあらゆるコストを払って軍事衝突を回避しなくてはなりません。戦争が実際になくならなければ、現代また次世代の大量破壊兵器によって、人類はその生存が脅かされ続けることになります。私たちは、ラッセル-アインシュタイン宣言の本質に立ち返りたいと思います。核兵器を廃絶し、究極的に戦争そのものをこの地球上からなくさなくてはなりません。

強固な道徳心と倫理観がなければ、人類は生き延びることはできません。広島、長崎の被爆者、世界中で行われた核実験で被ばくしたヒバクシャの経験を次の世代へと伝承していくことは、決定的に重要です。核兵器およびその他の大量破壊兵器が存在する限り、壊滅的な結末は避けられません。ラッセル-アインシュタイン宣言を思い起こし、長崎市民と被爆者の声を分かち合いながら、きのこ雲の下で起こった惨劇が深く刻み込まれたこの地から、パグウォッシュ評議会は今一度、人類の一員として、人類に向かって訴えます。「あなたがたの人間性を心にとどめ、その他のことを忘れよ」と。


(1508文字)(2015年11月7日) (訳;パグウォッシュ2015組織委員会)
2015 NAGASAKI DECLARATION(原文)


鈴木達治郎氏講演の一部 2016年03月02日長崎 特別市民セミナー
核兵器と戦争の根絶を目指して」 記録を読む