| 歴史的建造物の活用が地域を元気にする 2016年10月 | |
「歴史的建造物の活用が地域を元気にする」福島市のことを1時間話す知識は持ち合わせていないのです。こういうタイトルで少し概論的なお話をしよう、と思っています。 スライドを映させていただきたい。会場暗めにしてください。写真に私が写っているんです。背景に写っている所はアフリカのマラウイという国なんです。マラウイご存じの方いますか。世界で、GDPが下から4番目、そういう国です。あら切れちゃったね・・・ 映像切れ講演中断 なんでこの写真をしているか。この風景は貧しい農村の風景ですね、皆さんの中にそう思われた方がいるかも知れない。でも、私には凄い美しい風景に見えるんですね。なぜでしょうか。全部、天然素材で家ができている。かつ、自然の風景に見えます。けれど、トウモロコシを育てている畑です。地形にものすごく優しい。自然のなりに合わせた農業を営んでいる。みんな貧乏だけど平和に楽しく暮らしているんです。マラウイに行くとみんなニコニコしている。お金が無いし、発想の転換がぜんぜん違って見える。確かに非衛生的なところがあったり、水をとってくるのに苦労したり、生活するのにいろいろ不便はあるんです。けれども、そういうところがカバーできれば、家はこういう家で全然よいんです。泥壁で茅葺きです。お風呂もトイレも・・・・台所と居間が別棟になっていて、お風呂と便所がワンセット揃っているんです。発想を切り替えると、貧しいと思っていた所が豊に見えることもあります。 さきほど経歴を紹介していただきました。元々は文化庁にいまして、文化財保護のことをやっていました。登録文化財制度がスタートして、それを担当させてもらったんです。スターとした直後に大学に出る機会を得まして大学の教員になりました。 2011年の震災の直後、大学の役員になれと。で、今は常務理事をやっています。教員じゃなく経営者になってしまって。最近は大学施設の維持管理を担当してこいます。ですから、文化財の所有者の皆さんの苦労がだいぶ分かってきました。やってみりゃ大変なこともあるんですが、経営もそれなりにおもしろいこともあります。 今日は、最近のそういう経験と観点を含めてお話をさせていただきます。 |
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| まずは文化庁時代に戻り、最近の文化財、歴史的な建物を巡る、新たな潮流をお話しておきます。 今日は登録文化財の所有者もたくさんおられる。登録文化財というと皆さん存在は認知されてきたと思うです。指定とは国宝とか重要文化財。福島県の国宝は白水阿弥陀堂一つです。重要文化財もありまが100無いですね。数十個。登録文化財は福島市だけでもたくさんあります。 今、文化財の主役は国宝、重要な指定文化財から登録文化財に移っている。 2番目は守るから、どんどん使って残す文化財になってきました。 3番目、保存でも活用でもないですが、文化財の担い手が所有者だけではなくって大勢の市民が参加して保存とか活用をやっていく時代に変わってきました。スライドに小さな字で書いているのは最近それに合わせて文化庁がどんなことをやっているか、活用を進めましょうという指針を作り、NPO、市民の非営利の団体が文化財の活用だとか管理に関われるモデル事業を文化庁が始めています。 4番目は文化的景観が文化財になり里山や棚田も文化財なりました。多様化してくると。保存とか活用、言葉の一歩先にマネージメントする。この言葉もキーワードになります。戦略的にやらなければいけないですね。 今日は4番は省略して1,2,3番を少し話をしたいと思います、特に2番の守るかららドンドン使って残す文化財ですね。活用のところを主に話します。 |
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| 文化庁、あんまり知られていないんです。私がいた最後の頃─平成10年(1998)─文化財建造物を活用しよう。公開だけじゃなくって。使い続けて新しい価値を創出するんだ、パンフレットを出しました。私は平成11年に文化庁を出たんです。直後、13年、住民が参加して文化財の活用を進めるんだというこんなパンフレットを出します。国は10年以上前(1988)から、そういうことを言い出していたんです。最近やっと浸透してきました。浸透するまで10年ぐらい掛かるんです。 |
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分かり易い事例です。富山県富山市にある重要文化財、森家住宅です。富山駅から路面電車に乗って20分ぐらい行った所に東岩瀬の町並みがあって。その中で一番古い家の一つです。立派な明治初期に建てられた、素晴らしい町屋です。観に行くと、管理は共有化され管理している方が説明してくれるんです。素晴らしい町屋を観た後に二回目行くでしょうか?大きな家なので維持管理するのも大変です。頑張ってくださいと言われた管理者は、ずしりと来て、ますます疲れちゃうんですね。 これが今までの状況です。公開しているだけ。リピーターつくるために、─子供は来ないです─古い建物に興味があるのは大人だけです。子供が来る時は先生に言われて無理矢理くる。 この家はそういうことで、子供の絵の展覧会を、発表会を家の中でやって、(板戸に)べたべた貼ってあるのは子供が描いた絵です。この絵は展覧会の絵を描いた子供が集まり管理人のおじいさんの話を聞いていふ様子です。 子供の絵の展覧会には文化財が在るということと全く関係無いんです。展覧会やったことで子供が来てくれる。子供が来て管理人のおじいさんから、この家の囲炉裏をどう使ったかと話を聞く。その内の一人、二人が家の建物に興味を持ってくれるかも知れない。 ぜんぜん違う使い方をするのはそれなりに意味があります。10年前の文化財行政はこの写真を見て何て言ったか?凄い立派な拭き漆の板の建具に子供の絵をセロテープで貼ったりして、建具が傷むから駄目だ!気をつけてやってくれないと駄目だ。こういう言い方ですね。 何つまんねーこと言ってんだと思うんですね。傷んだっていいじゃないですか。塗り直せばいいんだから。物は傷むものです。剥がれたら塗り直せばいいし、痛めたことによって学ぶんです。大事なことはですね。 私も子供の頃は障子をビリビリに破いて怒られました。祖母の家へ行った。朝起きたらみんな障子が破れていて、こっぴどく怒られました。そういうことをやってみんな覚えるんですから。ちょっと傷むのが何だっていうことですね。 |
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森家はなにをやっているか。北前船で栄えた湊町です。そこに在る商家ですから、そこには北前船の展示がしてあるんです。右側の掛け軸の下に北前船、左側の床の間に置いてある船の模型も北前船。北前船の展示をやっていて勉強になるんですが、北前船の展示も二回観に行くでしょうか。行かないですよね。一回で終わりです。 じゃー何をやるかと言う、続き間で落語の高座をやってです。私も落語家になったつもりで上着を脱がさせていただきます。これから本番ですから。 落語と文化財と北前船、何の関係もありません。これも大事なんですね。なぜかと言うと、落語の会は続き間座敷の使いかによく合っていて、続き間座敷で5,60人集まって落語をやっている。5,60人集めて落語の会をやると2,3人が必ず「意外に和室の続き間っていいわよね」って言い出すんです。続き間の良さに気づいて、自分の家も続き間もっていれば・・・今度建て替えるようと思っていたけれど、あれ残そうか。こんど建て替える時に自分の家も続き間座敷を持った家を作ろうか・・・という気になってくる。 こうやって伝統や文化は引き継がれていく。で北前船の展示観ながら文化財の解説聞いても何にも頭に残らない。が、落語の会に行くと残す力にもなる。 さらに落語の会に限らず、どんどんどんどん使うということが盛んになると利用者が増えてきます。その人たちが「あそこの森家、住宅楽しいよね」と言って宣伝してくれる。楽しそうな所には楽しそうな事をやっていると思って人が見に来る。これがリピーターの効果になる。リピーターの中には、ここでこういう事をやったらもっとおもしろい、と知恵を出してくれる人が出てくる。より知恵が集まってどんどん魅力的な施設(町)になるんです。一回来て終わりの施設を使うことで違ったかたちで活きてくる。これが活用ということです。 ヨーロッパの人はうまいことを言うんです。文化財の保存技術というのは、特にドイツはおもしろい。保存するためには使い続けることだ、使い続けることが保存になる。使われる建物は壊さない、そういう言い方をしています。文化財の第一の目的は使うこと。ドイツでははっきり書いてあるんです。日本は守ること。守ることじゃなく使えば守れるんですね。 |
| いまの話を図式的に描いた、模式図です。10年前までの文化財行政の図で、行政は規制をかけて、所有者さんは維持管理をして修理をして維持管理して公開をするという図です。市民は公開している文化財を見学に来る、こういう感じです。 これだと、一回観て終わりの関係です。市民はどうか、所有者さんの説明を受けて頑張ってくださいよと言って帰って来る。所有者は非常にプレッシャーが掛かる。このままじゃ何とかならないから行政になんとか支援してくださいとお願いをすると。行政も支援をするために予算を確保しなければならない。市議会とか市長さんに頼んで、一生懸命予算を取ってくる。 ところがですね所有者さんには全然足りない。そうすると所有者さんは、こんなに頑張っているのに市はちょっとしか支援してくれない。市の文化財課だらしないと。文化財課は文化財課で俺たちこんなに苦労しているのに何でこんなに所有者から文句言われなければならないのか。とみんなくたびれ果てちゃう。 これが日本の文化財保護の縮図です。 NPOが、市民が、郷土の文化財を見学するだけじゃなく所有者さんと一緒に維持管理をしたり、修理をいたり、公開したりして、活動を一緒にやるようになると大勢の人と一緒にやりましょうという関係になってで、行政も、応援しようといろという人の声が大きくなるとですね。 こうなってくると、しめしめです。文化財保護も所有者さんだけの時はですね10軒、在ってもせいぜい親戚一同集めても50軒ですね。市民が全部入ってくると500票持つことになる。市議会議員一人落とせるようになっちゃうんです、選挙で。そうすると無視できなくなる。だんだん議会や首長さんの理解が増えてきて、ちゃんと動くようになるんですね。これが市民参加型のことで 大勢の人が観るだけじゃなくって文化財保護に直接関わることによって学ぶこと、楽しむことができるんです。こういう関係を築くことが大事ではないか?これが今福島市でこういう取り組みが始まっている、と感じられる人が多いのではないかと思います |
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| これを別な側面から観ますと、福島市の文化財の中には市が持っている公共の財産と企業や個人の住宅のような私の財産と両方あると思います。 公共の財産に関しては不特定に公開することが簡単です。民間の持ち物は、株式会社だったら収益をあげなくちゃいけないですし、個人の住宅だったら住んでます、人に見せることができないですよね。公開できなかったら、応援できないという話になっちゃう。で、一方で市の財産公開しているけど、公開して終わり。楽しく稼げない。稼ぐ方が楽しいです、人間は。アクティビティーがあるから。 実は文化財建造物の理想的なかたちは中間ぐらいが理想的です。ところが民間の個人住宅や企業の建物を誰彼かまわず見せられるか?そんなことはありません。 それをどうするか?所有者さんの会とか、地域活性化を考える会とかNPOを作る。NPOの中で見せていく。協力的な活動をすることで公益性を持たせて、私の物でも公開する。一方で公のもので稼ごうと思うと、指定管理者制度、そういうものが登場して来ています。そういうところでもNPOみたいなものが入ることによって、よりアクティビティーが高い施設ができる。公の物も民間の物もNPO、公益性をもった団体が関わることによってうまくいくという。 |
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具体的なおもしろい取り組みを重要文化財の例で紹介します。香川県の善通寺市に旧善通寺偕行社という陸軍が将校さんの接待所で使っていた建物です。将校さんが使う倶楽部建築でした。重要文化財になっています。 こんな形で竣工しているんです。陸軍将校の社交場でしたが前は郷土資料館として保存していた。郷土資料館の時代では二度と人が来ないです。埃かぶった閑古鳥が啼いている施設だった。 |
| それを重要文化財指定に掛かって再生するとき、陸軍将校じゃなくって市民のための社交場として再生しようと。そのための機能としては水回りが不足していた。喫茶機能が欲しい。で、それらは文化財の中では難しいので、新しい棟を新築しました。新築部に水回りとか喫茶の機能を入れ、本体の方は実際の社交場の建物として再生しました。 なおかつ気持ちよく使えなければならない。重要文化財にも空調設備入れ、照明も昔のものを使ってます。新しい照明器具も入れ補足照明し調光もできる。 |
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耐震補強もバリアフリーも対応しました。再生の前に市民で実験的に活用し、どういうにしたらこの施設が楽しくなるか、アンケートNPOが主催してやります。耐震補強も理解してもらうために見学会。子供を招いて耐震補強をやりました。 生しましたら、市が思っていたよりも稼働率がアップしました。喫茶店に、入る業者がいなく、頼んで週二日オープンですけれど、稼働率が6割超えました。今は喫茶店毎日やっているそうです。人気の施設になり成功しています。 学会をやったり、庭に出てパーティーをやったり。そのときは仮設のテントで厨房。うどんとか振る舞った。こういう時にアンケートを取ると、この建物厨房があって何か振る舞えたら楽しくなる、そういう意見が来るんです。 NPOの後ろで、そういうのが集まるような仕掛けでやっているんです。そうやって市民のアンケートをとる。 大事なのは、傷んでる状況で使い古しているときに市民に見てもらって、活用してもらう。そうすると出来上がった後に、みんな思ったよりいいなーと必ず言ってもらえる。。ぼろぼろの時は期待してないです、こんな傷んだ施設どうするんだと。税金掛けて、どうするんだと言っている人もいる。できあがって観に来てあれ!って思うです。 さらにはこういう活用をしたらいいという意見を言った人は、意見が採り入れられました、とうことになる。ほら俺が言った通りにしたらうまくいったじゃないかとみんなに言ってくれる。古い建物は再生してできた日から評価が上がるんです。 新築の公共施設ですと逆なんです。新築は事前の実験活用ができません。建てるときにみんな期待に胸が膨らむんで、できたのを見てあれ!思ったより使いにくいとか。できた日からだんだん評価が下がる。古い建て物は出来た後とどんどん評価が上がる。これから公共施設作るなら古い建て物の再利用がいいに決まっている。 |
| 市民による実験活用効果として市民の意見を取り入れる。再生をすることによって夢が実現する。新築にできないことをリアルな空間体験をし、傷んだ状況を知ることによって、期待と現実の違いでむしろ期待より現実がよくなるんです。 建設に要する費用も実は改修は新築よりも費用が掛からない。改修に対する誤解、税金の無駄遣いじゃないか、こういうふうにやると誤解が解ける。改修にしかできない効果がたくさんあるんです。皆さんに知って頂きたい。 これが前置きです。 ★★★以下、福島市の課題について語られる。 |
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残りの半分で福島市から頂いた課題に答えることです。福島市からいただいた課題は旧家の古民家・文化財に対して点在して面的に広がっていると。そこに旧家を大事にする会、市民の取り組みも始まってる。茅葺きの担い手の育成も取り組み始めました。 いろんなことをやろうとしているんだけど、これをどのようにして歴史まちづくりにつなげていけばいいんでしょうか。こういう課題をいただきました。 |
| これが回答なんです。 すぐにつける薬があったら誰でもやっているよ、ということです。そんな回答はねーよ、と言うんです。それだと呼ばれた意味が無い。で、一応、私なりの回答を用意しておきました。 私なりの回答は場所の魅力を高める。文化財本体もそうです。もうすでに文化財になっていて充分魅力あるじゃないかと思われるかも知れません。が、そこの魅力をさらに高めること。本体だけじゃなくって周辺を含めて魅力を高めていく。 次にその魅力をさらに周辺にどんどん波及させていく。これは文化財だけじゃなくって、文化財の在る場所も魅力を高めることにつなげる。そうやって地域の魅力が高まって来たら、地域同士をつなぐ。点在していると先に地域をつなぐことに頭がいくんですが、つなぐのは後なんです。 1,2が先で3番目。この順番でやるのがいいと思うんです。これが一応私なりに用意した回答で、地道でながい活動ですけれども、こういうのに取り組んでいただきたい。 |
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とくに1のために 1,2で1が主力なんです。そのためのキーワードがあります。キーワードは何かと言うと2つ、コミュニケーションとハンズオンとハードとソフト。五感にひびく魅力。その三つをあげさせていただきます。 1番目のコミュニケーションとハンズオンって何か。これは博物館でリピーターを呼ぶ時に言われているキーワードです。歴史的な建物じゃなくって博物館とか資料館、美術館とかですね。英語ではミュージアムという総称しますが。ミュージアムでリピーターを呼ぼうというときに、博物館とか美術館は何度も人が来てくれなかったら困ります。これが業界で言われていることです。 コミュニケーションってなんでしょう。人から話を聞く。最近の資料館はボタンを押すと音声がしゃべりますね、あれが駄目なんです。人から聞かなきゃだめです。直接人から聞いて、しゃべっている人も魅力的じゃないと駄目。あの人の話を聞いてもう一回聞きたい、そういうふうにならないと駄目。人から聞いた方がよっぽど効果が上がる。人は人間の話を覚えているんで、機械がしゃべっちゃ駄目なんです。 ハンズオン。展示の場合に触れる、体験できる。よく展示品に触っちゃいけませんと。触れる、子供がべたべた触っていい。 これを建築で拡大解釈すると、ハンズオン、建物の中で実際の本物の空間で体験ができる。なおコミュニケーションは所有者さんとか直接人の話を聞けて、ふれあいがある。そういう所に人は友達を誘って来たくなる。 ハードとソフト。これは、建造物は観光のときに言われるキーワードですね。観光はハードとソフトと両方揃わないと魅力的な観光地にはなりません。観光の専門家がよく言っている話なんですが。 ハードは登録文化財になっている建物がハード。ソフトは何かとそこでの暮らしだとか、名産であったり、いろんな物がソフトです。ハードとソフト両方あるところは魅力的。ソフトだけでも駄目だし、ハードだけでも駄目。 ソフトだけだと、どうなっちゃうか。東京で売ればいいになっちゃう。食べ物はそうですね。福島まで来なくって東京で買えちゃう。ハードとソフト。地元でその空間で味わうから美味しいんですね。 五感にひびく魅力、今の食べ物は味覚ですよね。それから耳です。人の声、建物見るのは目です。臭い、肌触りですね。人間の五感に響く魅力がある所、そういうものが多ければ多いほど人は何度も何度も行きたくなる。 あとですね少し大事な視点としては通史と郷土史、全体と詳細です。ディテールの話を聞くのが人間は楽しいんです。ここでこんな事件があってとか、凄い細かい話も。建物で言うと欄間とかですね、建具はとかですね。細かい所が興味を覚える。細かい所の説明があればあるほど、ああ奥が深いなーと思うんです。 ところが細かいところばかり説明しちゃうとですね、それは行き過ぎで全体ですね。福島県の民家というのはこんな感じでという、全体から、その中でここにこんな特徴があって、両方が大事。バランスよく通史と郷土史。日本の歴史のなかで明治維新の何とかがあって、誰でも知っている歴史から入って、おじいちゃんおばあちゃんの話になると話が通じやすい。おじいちゃんおばあちゃんだけだとミクロのこと、だんだん分からなくなって来ますから。通史のところに結びつくとですね。 古民家だと先祖の方に必ず立派な人がいる。ああいう立派な家ができてと言えるんです。いかに立派な人でもさすがにその家を建てた人をみんな知っているわけじゃない。 ところがその人の交友関係を探ると日本史の中で絶対有名な人と付き合っているね。こういう人と付き合いあった人が建てたと言った瞬間に、通史をちょっと触れるだけで人は凄いなーと、分かり易くなるんです。 通史と詳細のバランスをとれた解説みたいになると凄くいいですね。そのときに注目したらいいのは建物の背景にある歴史です。特に人物や事件。 事件といってもですね、2,26事件みたいな大きな事件じゃなくっていいんです。ちょっとした、ここで何をしたとか。たとえば横山大観が泊まったとかですね。だれか人が泊まったとか。 襖絵なんかよくありますね、額とかも。福島県知事とか額を書いてまして。あの知事は途中辞めたんだよとか。おーとかになるので。そういうディテールと事件ですね。それが楽しいんですね。そういう解説があるともう一回行きたくなるんですね。 |
地域をつないでいく。地域の中で周辺との関係。文化財の関係は何でつないでいけばいいか。ストーリーとか名物とかソフトがつなぐ役割を果たしている。 たとえば養蚕農家、家は養蚕農家ですけれど、桑畑はあそこに在って、畑の場所は周辺にあります。周辺との関係が結びついていく。 組み合わせが大事とありますね。名物で美味い物。だいたい地域の名物を食べたい人は古民家が好き。古民家が好きな人は温泉が好き。組み合わせが大事であります。合わないのがある。釣り客は成果しか頭にない、どんな宿に泊まっても同じだったりするんで。 一方、ハードでつなぐ方法、サインとか駐車場とか情報拠点。ある所に行くとそこに周辺の情報が得られる。ハードでつなぐ方法もあるけれどもソフトでつなぐことが大事で。ハードでつなぐ方はみんなだいたいの行政はやっているんですよね。人でつなぐ、ボランティアガイド、語り部です。人から話を聞くのが楽しいんですから語り部でつなぐ。 私はいろいろな地方へ行っています。野球の打順、勝てるチームにしなければいけない。野球は1番から9番まで役割がある。4番バッターばっかり集めても勝てない。渋くヒットを打つ、着実に打点を稼ぐ、たまにしかホームラン打たない、いろんなやつがいるからおもしろい。 地域のソフトとハードもいろんなものが混ざりあって、一つの調和があって勝てるチームになる。私の好きな横浜DNEはやっと三位になりました。去年までどうしようもなかったです。今年は4番がちゃんとしていて、そこに向かってつなげる。 そういう意味では皆さんが登録文化財は4番バッター。周りの打線が組めてない。そこで打線が組めるような地域の魅力を広めようとして、地域ごとに勝てるチームを作る。地域ごとに良いライバル関係になって競争していただきたい。 隣に家がある地域よりこっちの方がいいじゃん。そうなるといいんですね。お互い意識はしつつでも同じ方向は向いている。勝てる組織はみんなそうなんですね。組織の中で競争はあるけれど、みんな同じ方向を向いている。みんなバラバラの方向を向いて競争をしたら足の引っ張り合いになって、いろんな同じ方、向きながらいいライバル関係で地域同士で競い合うことが大切です。 |
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| そうは言っても、古民家の周りは住宅地開発がされちゃって、つなぐソフトは無いって思われるかも知れません。つなぐ物を見つけるときの参考に国際機関による産業遺産の定義を出してみます。 産業遺産に限る必要はないです。幅広い文化財を見つける時に参考になる見方です。製造拠点のある施設、原料産地の施設、どういう供給施設とかです。この当たりまでが産業遺産と思う人が多いですね。 富岡製糸工場や九州山口の産業遺産。こないだ重要文化財になり、世界遺産に認定されました。工場とかそういう物だけが産業遺産と思っている方多いんです。実は産業遺産には交通関連施設、労働者の住宅とか学校とか宗教施設や娯楽施設。これらも産業遺産の一部だと、国際側から言われている。資本家の家、下に行くほど凄いですよ。産業労働者の食糧供給に使われた農地。農地も産業遺産だ。伝統芸能、民族音、楽郷土料理。その産業で栄えたお金をつぎ込んでやった祭りはみんな産業遺産だと。そういう言い方をしているんです。 そういう意味で言うと周りの住宅地だからといって残っている旧家と関わる文化財の規定、歴史文化遺産が無いという地域には掘り起こしていくと地域にはあるんです。そういうものとつないでいく。 そうやると、どうなるか。観光、観光とよく言うのですけれども、観光のときに皆さんどんな人に来てもらいたいのか、リピーターだと言う。福島は古民家だと言うんですね。そういうところを掘り起こすとリピーターが付いて来てだんだん地域が元気になる。 |
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| その最も代表的な例。イギリスの世界遺産になっているアイアンブリッチ・ゴージというのが地域全体を博物館と見立てて、アイアンブリッチ・ゴージミュージアムと地域を称しています。 アイアンブリッチ、世界で最初に出来た鋳鉄橋です。右側の写真です。鉄の製鉄をした所が歴史的建造物、展示物になりつつ博物館になっている。これは分かりやすいんですけれども。そこに残っている古い町並み、地域住民が産業革命の頃のコスチュームを着て、昔作っていた食べ物を再現して売って楽しんでいる。彼らのお小遣いになるんですね。 この住民たちはどこから来ているかというと実はニュータウンから来て、コスプレして物を売ってアルバイトして楽しんでいる。地域が歴史文化を楽しみながらかつちょっとしたお小遣い稼いで。地域の活性化をしている。そんな事例です。 こういう所に行くと、楽しいから買いたくなっちゃうんですね。おもしろいんですね古い町並み、シャッター街を再生してますから全部がオープンしている訳ではないんです。地元に行くと月曜日と金曜日は何屋さんが開いています、という看板がでている。逆にシャッター街はシャッター街なりに楽しんでいる。この店は金曜日しか開きませんとか。ここの店に来たかったら金曜にもう一回来てください。こうやってリピーターをお誘いする。そんなことですね。 |
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文化財保護法の保護とは保存と活用のことを言っております。日本語としてはおかしいんですね。日本語では保護とは守ることなんで。でも法律の定義では文化財保護は保存と活用の両輪で成り立っている、と法律に書いてある。 ところが、いままでの文化財保護の保存と活用はほとんど公開そのものだった。ここを直さなければならない。特に私が専門にしている建造物の世界ではみんなに見せることよりも、使い続けることの方が保存につながるんです。 建物は文化財であるだけじゃなくって、不動産ですから。不動産は活用。テレビのコマーシャルでやっていますよね。あなたの不動産を活用して資産価値を向上させましょうと。それと同じです、文化財も。死んでいたら資産として向上しないんです。生き生きとして資産価値をあげていく、大事なんですね。 使わない文化財は資産価値が低下しているということです。資産としても向上させて文化財としても保存できるようにしていく、これが理想的な姿です。 |
| 最近の空き家の問題がたんてきに語っております。共通点があるんです。 日経新聞に空き家の問題が載ってた記事です。地方自治体、空き家で悩んでいるんです。空き家は使われなくなったら、不良資産化します。負の遺産だっていう。が、これは空き家になった古民家を解放して住まいを介護施設にして、民宿にまで利用して、若い女性がやってる心暖まる記事として書かれてます。古民家再生が地域の力になっていく。日経新聞にでているんです。 空き家の活用は負の遺産解消であり、空き家が古民家ならこれは地域の力になる。この古民家が文化財だったらさらに、観光資源にもなるかもしれない。負の遺産が資産になる。これほど効率のよい投資はないじゃないか。都会で大きなマンションに投資するよりも、こっちの方が投資効率がいいじゃないか。 これぐらいのことが起きうる時代になってきました。空き家も悩んでいるばかりじゃないです。こう思うとまだまだ地方には隠れた資産が一杯あるんです。そういう見方も出来るんです。 |
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歴史的建造物の活用がなぜ有効なのか。 何度も繰り返しておりますが、利用していると保存や公開が達成できる。もっとわかり易い言い方をすると、家だと開け閉めして空気を流通してると、締め切った家は傷んでしまう。開け閉めしている家は傷まない。さらに、毎日使っていると傷むところが分かる。たまにしか使わないと分からない。床がふかふかするなーとか、元がこうだったかもしれないんですが、毎日使っていると、ある日ふかふかするとこれは虫が食っているかもしれない、とすぐ気がつく。使うことで破損もはっきりしやすい。 入場者が増えたりする事は観光にもつながったりする。実は今地方の活性化のために政府は新しい観光戦略と称してしきりに交流人口を増やす。交流人口を増やすとは何か、わかり易く言うとブラタモリの人を増やすことですね。 観光で交流人口と勘違いしている自治体は、観光バスで来て爆買いしてくれる人を増やそうと思っちゃっている。九州あたりにそういう自治体があるんです。爆買いしてもらうために港湾整備し船で入れるようにもしましょうとか。莫大なインフラ投資で使っちゃう。 そうじゃない、ブラタモリの人みたいな者を増やし、そういう人にリピーターになってもらう。コミュニケーションとハンズオン、で観光で交流人口を増やしましょうと。 この場合の観光、わかり易い言い方すると、皆さんもたまに贅沢するときに、晩飯や昼飯をよそに行ってお食事してこようと。やりますよね。これが観光です。二泊三日の温泉旅行じゃなくっていいんです。 私は杉並の阿佐ヶ谷に住んでいます。今日はちょっと贅沢しに神楽坂に飯を食いに行こう。神楽坂に観光に行ったことになるんです。こういうレベルの観光が交流人口を増やすということです。だから魅力的な場所には何回でも足を運ぶと、観光になる。交流人口で人口を増やす。何回も来てくれない所は交流人口は増えないです。 キーワードがもう一つあるんです。町そのものが博物館や美術館のような存在になっている。歴史的な建物がその中の展示物の一つである。そこで説明してくれるボランティアガイドさんや地域住民は学芸員だと。 お店でアルバイトしていた人、物を売っている人が学芸員、みたいなもだと。その人が地域の魅力を口で伝えてくれる存在です。こういう取り組みが今だんだん日本中に広がりつつある。こいいうことをやると所が地域の歴史文化を大事にしている所で増えつつある。 |
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歴史的建造物を残すということは、何か.。もちろん価値ある建造物を残すというストレートな意味もあります。もう一つは地域の歴史を物語る物を残す。この二つは文化財。 もう一つは、それが生き生きと再生したことで、新しい価値が生まれる。さっきの日経新聞もそうです。古民家が介護施設になったり、民宿になったことによって。違う価値が生まれる。それが市民のシンボルや誇りになって地域のアイディンティテーになる、ということです。 これはまさに地域のブランディングでして、ブランドの無い所は顔の無い町であります。よその町と一緒です。地域の生き残りを賭けた闘いに勝てないのではないか。こういうことです。 よく言うんです。傷んだ建物が在って、この建物をどうしようか、地域で悩んだときに、耐震補強したり再生の改修のために、公的な投資を入れる。びびっちゃう自治体がものすごく多い。けれども、初期投資をするかしないなかで上の(建築文化財、歴史、愛ディンてぃてー)三つが無くなるか、無くならないか、それが変わってくる。無くなったら取り戻せないです。 ちょっとの初期投資でこの三つが活きて、あとで大きく返ってくるか、どうか、ということです。それを考えるんですね。 失った事って何か。失った後に残るのは空き地か宅地分譲か、宅地で人口が増えればまだいいんでけども。地方都市は人も増えない。駐車場か空き地になるばかりです。そんなんで、いいんですか?魅力がどんどんどんどんなくなる。アイデンティテーを失った町はどうなってしまうのか。日本はまだそこまで行ってませんが、外国は悲惨ですよ。犯罪がどんどん起きてくる、価値がどんどんどんどん下がってくる。 そこで一瞬、厳しくっても投資した所はアイデンティテーを残して生き残れるかも知れない。この当たりがですね。こういう時代がすぐそこまで来ています。 |
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私はこういう講演会を頼まれる度に、これをキーワードにしているんですね。人口減少や高齢化社会のなかで地域の価値を再考する。地域の価値がキーワードですね。訳すと何か、地価です。今は土地の価格だと思っているが、違う。地価とは地域の価値。 |
地域の価値を再考する。右肩上がりの時代は土地の値段。なんでか?みんなが同じ環境で同じ事しか考えてないからです。駅に近い、面積や部屋数多いので値段が決まってます。土地の価格は駅に近いと値段が高い。地域のアイデンティテーも何も無いんです。にきわめて単純な数字で表せるようなことで決る。 若干違う要素が入って来ている。コンビニがあるか無いかで地域の価値が違う。不動産の借りる人が最近では近くに病院があるか無いかですね。駅に近い、部屋数が多いとは違う価値観で不動産の値段が決まるようになりつつある。 どの町に住んでも条件は同じで、都市への一極集中とか、郊外ならどこでも同じ町を生み出したんです。人口減少や高齢化社会はどうなって来ているか、病院、コンビニがあるかどうか、が問題になっている。突き詰めていくと、どこの町を選ぶか、という時代になってきた。 東京でも、選ばれる町にならないと人は減っていっちゃう。選ばれる町は価値が保たれる時代に変わりつつある。まさに都市間競争の時代にある。人が町を選ぶ時代にある。 どのような町が選ばれるのか?住みたい町なんです。人が住みたい町ってどこか?訪問したい町が多いんです。神楽坂とか、谷中、根津、千駄木とか。川越、横浜は人気がある。昨日も川崎に講演を頼まれて行ったんです。川崎市の自分の家を説明するとき、横浜の近くって言ってませんか、そうなっちゃう。武蔵小杉の人は川崎と言わずに武蔵小杉に住んでますと言ってる。地域の価値で言い方が変わってくる。 福島の人は福島に住んでいて、ちゃんと言えてますか。こないだ県北の国見で講演したとき、仙台よりちょっと手前とか・・・言ってないですか。住みたい町はこうじゃ駄目なんです。 横浜とか神楽坂とか住みたいというよりも訪問したい魅力ある場所がある。横浜だと港と洋館ですね。港と洋館に住みたいわけじゃない。港と洋館が魅力あるからその周辺に住みたいんです。魅力のある観光的に成功した、ど真ん中に行きたいんじゃない。その周辺は訪れたい場所が近くにある。歴史文化の果たしている役割おおきい。 川越は蔵の町。近くに鶴ヶ島とか坂戸という町がある。鶴ヶ島の駅前の観光施設に何とか川越と川越の名前が付いてます。それぐらい川越の威力が大きい。神楽坂もそうです。神楽坂の路地をつぶして出来たマンションに路地と板塀の町の神楽坂のマンションって売ってます、凄いですよ。 歴史や文化は町の売り物になっている。そう考えると、町全部が訪問したい場所になる必要はない。いかに訪問したくなるような町を作るかと。自治体の町作り力が問われていると思う。 |
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左が川越です。左の上は神楽坂。右は谷中です。後ろに建っているマンションがあるから売れるんです。東京では最近、レストランとかお店に改装したところが大流行なんで、みんな行ってます。 そう考えると歴史的建造物と地域の関係は関係が大きい。歴史的建造物や町並みは地域への波及効果がすごく大きいんです。人気の地域と歴史文化は表裏の関係でして、川越、蔵の町並みがある。そのおかげで鶴ヶ島や坂戸まで影響がある。 |
| 地方における高齢化や人口減少のことを考え、ご存じの岐阜県白川郷とか、沖縄の竹富島は周りの町村に比べると高齢化率は低いです。人口減少も低い。高齢化の、スピードがぜんぜん遅い。若い人が生活できている。名だたる観光地だからと思います。 最近は元気が出て来ている所、福岡県の八女の八女福島と秋田県横手の増田町。全国的に有名な観光地でもなんでもありません地域作りに取り組んだおかげで、元気が出ている。 成功の理由は歴史文化をブランド化した。成功のために投資している。資源を消費や浪費しないで地域の価値をアップしている。消費・浪費は町を壊していること。 |
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八女福島、屋根の三角形が見える町並みで、国の町並み保存地区に認定。静かな町ですが、週末になるとですね |
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観光客が来てる。福岡から日帰り1時間半の位置。車でいくと1時間から1時間半の日帰り観光地で。福岡から多くの観光客が週末になると来ている。町並みの保存をやったおかげで来ている。 |
| 八女、左が提灯屋さんで右が仏壇屋さん、右上が酒屋さんです。伝統的な職人さんの商売が成り立っている町で、八女が成功したのは一つ切掛けがあります。 提灯屋さんも仏壇屋さんも物作りは家の後ろの工場でやっていた。町並み保存の担当者が知恵者で表側の通りの町屋が空き家になって来た時に考えたんですね。 裏で物作りをやっている人たちを頼み込んで、拝み倒して、頼むから表の町屋で作業をしてくれと。表で仏壇作り、提灯作りをやってもら。それが観光客の人気になり、お陰で仏壇屋さんとか提灯屋さん、他の物作りをしたい若者がここの町屋の空き家に入ってくれた。今や八女の保存地区の町屋は空き家が出るのを待っている若者がいるんです。保存地区でないといやだという。自分のアトリエを整備するのに補助金が出る。だから保存地区の中で空き家が出るのを待っている。 |
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職人さん同士が、お互いの仕事を見た関係で、お互いの仕事を知りました。お互いで違う新しいグッツを作り出したりしてる。それが観光客に売れる。 さらに提灯とか仏壇は問屋を通し店舗に卸していた。それが観光客が直買いしてくれる。彼らも実入りがよくなる、いい効果が生まれます。八女の担当者は左のうらぶれた飲み屋街があるが再生すると言って頑張っています。成功するのかは分かりません。空き家はほぼ解消できたので、のみ屋の空き家を何とかするぞと。 |
| 保存地区にしてぽっぽっと町並み整備を続けている段階です。空き屋、空き店舗が増加。手工業が継続する町の特性を活かして店舗で工業製品を製作してもらって、町並み保存による観光客の増加が、工業製品の売り上げ増にもつながって、都会の芸術家を引っ張ってきて空き屋の借り主にして、職人と芸術家の出会いで新しいプロダクトが生まれたりして。これが観光客を呼ぶんです。 まさにデフレスパイラルだった所をいい方向のスパイラルに町が変わっていった。そういうところです。 |
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秋田の横手・増田町。増田町はですね、母屋の後ろに蔵がある。蔵が母屋やと同じ屋根に入ってまして普段は見えない。蔵が素晴らしい立派ですから、年に一回、蔵の日をやってます。この10年ぐらい毎年行ってました。来る人が10倍に増えました。 |
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こんなに人が歩いているんです。賑わうと八女と同じで週末になるとぽっぽっ観光客が歩いているような町になった。店舗の中にカフェが出来たり、市が空き屋再生した家にパン屋さん、近所の主婦がパン屋さんをやりたいと言って借りてくれ、大流行になった。 |
ここも投資した結果観光客が少し来てくれる。空き家などに店が入ってどんどん元気が出てきてる。 |
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| 空き家空き店舗が増加し─立派な家が空き家になった─稲庭うどんの製造者が出店したんです。偶然のラッキーで、その家の蔵を公開してくれた。立派な豪勢な蔵だったものですから、漆蔵資料館という名前になっている。この町の蔵は凄い魅力のある、観光客にアピールするんだと気づきました。で蔵の日を決め、なおかつ廃業しちゃった酒屋さんの酒蔵を観光案内所とイベントスペースにして、町づくりに取り組みだした。 町並み保存で観光客が増加し観光案内所。使っていた旧酒蔵に横手市の新しい企業が飲食店として出店。市は次の空き家に観光案内所を移した。 そうやっているうちに空き店舗にカフェ入ったりパン屋が開店したり。空いている家を市が再生して使っていると、そこを使いたい、という民間が出てくる。上手く引き継いで次の空き家を再生していく。いい順番に物が回転してるような状態です。このような投資を続けることが良い循環を生んでいる。 |
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最後。こういう町でどんな投資をやっているかと言うと、修理と修景と言ってます。一つは古くなって傷んだ物を直して使う。ぼろぼろになった物でも直せます。木造は偉大ですね。 右側、景観に合わない物は古い建物にマッチングするような風景にとって邪魔にならなければ、馴染むように変える。修理と修景というのが二つの大きな柱です。 町並みとか景観整備は進んでいくが、増田も八女も10年ぐらい地味に続けてるんです。1年に二軒づつやっても20軒変っていくから、10年後には町が違った姿になっていくことになります。 |
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等身大の事例。長岡の事例です。トタン板を木の板に変えシャッターの色が板の色に合わせた。こんな程度でも風景が整うんです。 この写真にはもう一つ凄く大事なところが写っているんです。建物ではない、ビフォアアフター。右の花、垣根です。左側の家は市の補助金でやっている。こうやって家を整えていくと、隣の所有者の人も町並みに協力しようと思ってくれる。花を植えよう、花を植えてくれる。花を植える発想が大事。補助金出すほうばかりじゃない。 自分たちで自分たちの町を美しくしていく、こういう活動が大事です。 |
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改修するだけで何となく伝統的な町に来た感じがする。最近建て替えた人はそれなりにお金を持っています、こういうことをやってくれる。 |
| もっと簡単な例。空き店舗になっていた。小田原でやった研究室のビフォーアです掃除しただけです。掃除しディスプレーを奇麗にした。掃除してパネルをやって展示しただけ。そうするだけで死んだような家が蘇ります。 これは仮設で作ったんですが、オーナーがこのままにしておいてくれと。パネルをやって展示して、バラを育いる。そのまま花を飾るから、やっておいてくれということになりました。 保存は掃除からです掃除して花を植える |
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最後。地方と大都市圏の関係は、総務大臣をやっていた片山さんがよく言っている話なんです。途上国と先進国との関係に置き換えてみるとわかり易い。地方は実は万年赤字貿易状態。何でか? 都会の物だらけ、それが蔓延している。人口も流出。そのとき、途上国は何をやっているか、一生懸命産業振興とか輸出品を出そうと思うんですね。途上国が必ずやっている政策は自然や風景や伝統工芸品、歴史文化自然が資源で途上国は勝とうとする。 地方と途上国の違いはなんでしょうか。発展途上国は人口が増加している。で先進国がそこから稼ごうとして狙いに来ます。日本の地方は人口が減少しているので狙われない。大手も出て行っちゃう。この違いは歓迎すべきです、大手が出ていくんだから地産地消に戻すチャンスです。都会の物を買わずに地域で経済を回すチャンスだ。 |
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| ところがもう一回大手に来てもらおうとしてる地方が一杯ある。アホじゃないかと思うんですね。地元で経済が回るチャンスです。と思わないと地方は勝てないです。 最後は私の専門の建築。家の建て替えは生涯で最も高い買い物と言われている。ですが、福島県内を見渡すと、ハウスメーカーの家だらけです。大都会へ資本が流出している。これでいいのか?住まいづくりの投資を是非地域に戻して地域内で経済循環を作ることです。それを考えていただきたいんです。 いきなり全部やれと言っても出来ないでしょう、そういう中で町並み保存とか民家への保存、それらは最も効率の良い地域循環のための投資じゃないですか。というふうに思えるかどうかですね。 |
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歴史的建造物の活用がなぜ有効なのかと言うと、修復工事がもたらす地域の活性化です。歴史的建造物は地域工法を使っていますから、茅葺き。福島市も茅葺きに取り組もうとしています。良い例です。修復には地域の職人や工務店さんの力が必ず必要になって、かつ修復工事は新築工事に比較して人件費率が高いんです。ここに国の補助金なんかを持ってくれば最効率のよい地域投資です。 大規模な建設だったら大手のゼネコンがもっていきます。地域に入ってくるお金は、上前をはねられて、ちょっとしか無いですよ。 古民家を直す方がよほど地域に金が落ちる。歴史的な建物は木造だから、地域の木材を使う、さらには職人は工務店。工務店さんは地域の祭りを元気にしてくれる人が多いし消防団に入っている。工務店の職人だということです。 地域防災は地域の職人や工務店が担っているんじゃないか。ということで職人力は防災力と言っているんです。 |
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| 新潟の中越地震の話です。お寺、1週間後早く復旧していた。なんでか。出入りの大工さんがいたからなんです。出入りの大工さんがいないところは復旧しないんです。時間が掛かっちゃって。家がどんどん傷んでくるから所有者の人も諦めて壊しちゃう。 ところが日本は耐震補強とか事前のことばかり言ってます。事後の復旧が早いほうが元気が早く取り戻せる。地元の職人さんや工務店さんが元気な町は復旧も早いんです。 |
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地域を元気にする職人力。 職人力は防災力 職人力は町づくり、地域や経済を元気にする。国産材を使った家造り、人力は最も環境に優しいエネルギー。 飯食ったら力が出る。手仕事の大事さが教育につながる。文化財保護や地域の観光振興にもつながる。地域と職人さんを非常勤の公務員に採用して地域の活性化につなげる制度を国がつくったらいい、と思うんです。 奈良県は文化財が多いので建具屋さんとか宮大工さんを非常勤の公務員に採用しているんです、凄いでしょう。そういう力が地域を元気にするんじゃないか。 |
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おわりに 歴史的建造物の活用とは、20年後、我々の世代は亡くなって、それでも地域が元気でいるために継続した長い取り組み長い投資だと。地域づくりは(ローマは)一日にしてならず。 成功しているところは効果の連鎖が長い取り組み、おかげで効果の連鎖が発生している。福島市もこれからです。息の長い投資に取り組んでいただきたいと。 |
建物は先人が残した遺産、地域の資源です。補助金や観光収入は外貨を獲得することになる。 家屋は生涯一番高い買い物なので、地方の資本を流出させずに地産地消でいきましょう。地産地消から経済循環を生んで新しい産業創出をして。茅葺きなんかもしかすると日本全国の茅葺きを福島の職人がやるようになるかも知れません。 輸出産業、大内宿の茅葺き職人さんはいろんな所に出かけて行って仕事をしています。東京当たりでも仕事をしています。輸出産業になっている大内宿の茅葺き職人さん。 そういう意味で福島を豊にしたものは建物だけじゃなくって養蚕とか農作物とか色々ある。資源を活かした地域産業の創出です。これは建築に限らない。 観光は遠くから人が来てくれます。地域の生産者の物を消費者が直買いしてくれる。観光に生きていこうなんて思わない方がいい。人が直買いに来てくれる、それがいいんじゃないか、と思うんです。 |
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| 最後、私の研究室これをキャッチフレーズにしてやっている。歴史的な建物の価値を発見。見つけただけじゃだめでプロデュースして光らせなきゃだめだ。発見と創造と共有です。 20年ぐらい前につくったものです。最近は発見と創造ぷらす共有と言ってます。ご静聴ありがとうございました。 いじょうです。 |
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