2022/10/01 幸家大郎さんに聞く  @大阪市 作成:佐藤敏宏
 2022年10月1日大阪市港区

 その1  その2  その3 

朝潮橋駅から事務所へ向かう車の中 

佐藤:この場所に転居して何年目ですか?
幸家:3年目ぐらいですかね。
佐藤:以前は天川村にも住んでましたよね?
幸家:子供と奥さんが天川村にいるんですよ。上の子は僕のところから通ってます。
佐藤:娘さんと二人で大阪市の暮らしなんですね。
幸家:下の子は中学生で奈良の方にいます。ここからだと2,3時間ですね。娘は大学1年生で心理学勉強しています。高校が工芸高校でクラフトで課題が一杯出て楽しそうではあるんですが、課題でまいった・・・みたいです。その後研究室に残って勉強する方向性はあったんですけどね。

佐藤:心理学勉強するとその後の進路は病院に務めるのかね。
幸家:方向性はまったく聞いてないです。
佐藤:小さい頃から自分が進みたい職業が決めにくい、いろいろ多様な職場があり過ぎるから、若い人達は迷うだろうね。情報量が多すぎて選択するのが難しそう・・そんな気がする。
幸家:周りの友達はデザインを活発に楽しんでいるので、最近は羨ましそうですね。
佐藤:自分のやりたいことを見つけだせれば・・・いいので、親は支援するだけでいいよね。
幸家:はい。PCとか自由に使っているみたいです。
佐藤:お父さんの世代とは情報の摂取の仕方と量も、まるで違うから、子供を静かに支援すればいいんだろうね。今回の聞き取りでは、小学生や中学生にも会ったけど韓国のイケメン歌手グループに夢中で踊っていましたよ。

幸家:あ、着きました。このビルに住んでます。

佐藤:
ここは、大阪湾の突端じゃないか? 古いね、鉄骨造ですか。

 (目前の路を車が行き交う、騒音)

幸家:鉄骨造で古いですね。隣がビルのオーナーさんで自動車修理工場です。
佐藤:階段の中、暗いね(笑)誰も住んでないのか?・・と思っちゃいそう(笑)
幸家:階段の蹴上の寸法がたまに違うので、危ない・・・で気つけてください。
佐藤:たしかに危ないね。蹴上も踏み面も寸法がバラバラなので歩きにくいね。
(玄関扉をあけて入る佐藤)
お邪魔します。大阪の港!見晴らしよくって、快適じゃないか。どうも・・・初めて来たけど、お久しぶりです。

大阪湾は俺の庭だ─現在の家を紹介 

幸家:ご無沙汰してます。

佐藤:幸家さんとは30年ぐらいの付き合いですが、大阪で若い人聞き取り15年目になったので、ここら15年で〆ようかな・・・と思いやって来ました。コロナ対策のマスクどうしますか?
幸家:大丈夫です。電車とかややこしいですね。

 (写真を撮っている 佐藤)

佐藤:港から風が吹いてきて気分いいね。船を一艘持っている?・・・舟は造ってはないの?
幸家:何か係留したいなと思っているんです(笑)
佐藤:幸家さんだと船造りも朝飯前なんじゃないの?丸太から削りだしてもいいし、FRPでも造れそうだし。船を造ると大阪湾は自分の庭!だ。日頃の活動範囲も広がるよね。
幸家:確かに。

佐藤:幸家さんは大阪市内を転々としていて、いろいろな場所で会いましたね。ここは「ザ水都・大阪」に相r応しい場所だし、湊を見下ろせるいい眺めだね!環境いい場所じゃない!部屋までの階段アプローチが奇妙だけど(笑)

幸家:前、暮らしていた場所と比べると、こっちの方が開放的ですね。ここで寝泊りしています。1階に道具を置ける所を借りたいんですけどね・・・いろいろ探しています。

佐藤:俺がここに来て泊まるのは大丈夫なの?
幸家:ここで大丈夫ですよ。キャンプ用のベットもあるんです

 (同居している、お嬢さんがあらわれ挨拶し合う)

佐藤:今回はコロナ騒ぎがあるので大阪駅の隣、福島駅の傍に宿を見つけました。1泊平均で5500円ぐらいでした。
幸家:5500円は痛いですね。ここは風呂はシャワーだけです。
佐藤:最近のホテルはバスタブ無しでシャワー室だけ、そういうタイプが多いような気がするよ。ここのシャワー室も自分で造ったんでしょう?

幸家:はい、スケルトンにして造りました。内装も全部自分で造りました。
佐藤:台所もリッチな設備あるじゃない!内装はガルバリウム鋼板貼りだし(笑)

幸家:洗濯パンあるじゃないですか、あれを二連でつなげて、シャワー室にしたんです。
佐藤:ここの家も創意工夫が一杯溢れてますね。自分で制作しちゃうし。幸家さんらしい暮らし方だね。カーテン仕切りは今時の流行りで、方々で見ます。




幸家:空調機が一個しかないので、カーテンが無いと冬と夏がキツイんですよ。
佐藤:もの仕事場にも幸家さん自作ロケットストーブあるじゃない!
幸家:冬はほとんど、これで暖房は賄えますね。L字のところまでがロケットストーブなんですよ。それに蓄熱材を入れたのと・・・蓄熱材は石を入れているだけです。あとは全部放熱で空洞です。一生懸命燃やしても、この辺の放熱部でも手で触れるぐらいに温度が下がるんですよ。燃やした分は部屋に放熱してくれるので効率がいいですよ。

佐藤:ここはいいよ、大阪湾が幸家さんの庭になっている。俺のホテルからは中之島のビルの突端が見えるだけですよ。水都大阪の水面は見えないので便利だけど貧相だよ。次回くるときまでにカヌー造っておいてください(笑)ここから土佐堀とか安治川とかも行けるでしょう。
幸家:あそこが安治川の河口ですね。
佐藤:ハザードマップはあるの?水没するのはどのぐらいなの?3m高ぐらいの津波はくるのかな?
幸家:津波ですか?10m以内ですね。
佐藤:避難所とか知らないの?
幸家:屋上に避難しようかなと(笑)ここの直ぐ上の・・・屋上あるんです。
佐藤:そうか、ビアガーデンもキャンプも屋上でできるんだね。
幸家:出来ますね。テントも置いてありますので。家賃4万円ですけど、もうちょっと安かったら良かったんですけどね。「ボロボロでしたから内装は自由に手を入れていい」ということです、改修しました。インターネット環境はレンタルWi-Fもiありますよ。


ロケットストーブと煙突が見える
港区に住んだ理由

佐藤
:午前中に重源も改修した狭山池に行ってて、写真撮り過ぎだったから電源少なくなっちゃいました、スマフォの電源貸してくれますか?
幸家:接触問題ないですか?
佐藤:電流きてますよ!

幸家:コーヒーいけますか?
佐藤:カフェインだめです。水は持っているのでお酒以外は不要です(笑)大阪湾と堀をカヌー漕いだら問題になるのかな?
幸家:誰も漕いでないから、普及するという意味でいいんじゃないでしょうかね。
佐藤:「堀の町を復活させよう・・」と旗に書き入れてカヌーに付けて漕げばいいんだな。
幸家:この場所を借りたのも対岸の人とご縁があってです。倉庫を借りてプロダクトの製作をやっている人がいるんです。そこにいろんな人が集まってワイワイやってます。そこに集う人たちの関係で空いた所を探していたら、ここを紹介してくれました。で、対岸のプロダクト連中は水上自転車とか実験的に作っていたりしてます。

佐藤:ここの内装、気合いれてガルバリウム鋼板だね、古いレコードも一杯あるね。
幸家:昔、聞いてたんだけど持っていく所がないので置いてます。ポップスとかばかりです。懐かしいからたまに聞いてますね(笑)



狭山池の木製水路など。狭山池博物館
温泉水を常飲している幸家さん

幸家:温泉水マニアで(笑)温泉水採ってきて呑んでいるんです。癖ありますけど美味いですね。大阪の温泉なんですよ。
佐藤:健康に配慮してるね、鉱泉ってやつかな、硫黄分が入っているね。これ呑んで健康になろうとしている・・・・お互い年取ったね(笑)

幸家:ここの水道水、呑めないんですよ。
佐藤:建物も水道管も古そうだよね。
幸家:だから、温泉採りにいってパックに詰めて呑んでます。ここから車で1時間ぐらいですかね。(笑)2,3ヶ月に一回ぐらい採取にいきますね。がばーっと採って帰ってます。腐らないんですよ。
佐藤:どこから来た水が鉱泉になっているの?
幸家:琵琶湖と言ってましたかね?・・・わかりません。千メーターぐらい掘っているんじゃないですかね、ここの傍に源泉かけ流しがあるんですよ。

最近HP開設

佐藤:
千メーター!掘るんじゃ千年前の水かもね、健康管理も温泉水呑んで体調は、いい感じですか。仕事は相変わらず設計の仕事やってますか、工事ですか?
幸家:設計施工ですね。設計だけは最近ないですね。どこかで工事は入ってますね。
突然ですが、最近HP作ったんですよ。

佐藤:
お、情報発信だ、いいね。こういう生活はなんて言えばいいんだろうね、エコな生活ですか?
幸家:エコが目的でもないですね(笑)前の家もこのロケットストーブを使っていたんです。
佐藤:ロケットストーブはなんで持ち歩くほど気に入っちゃったのかな。
幸家:住みつくみたいな感じがよかったのかな。
佐藤:熱効率はいいですか?
幸家:いいですよ。

 幸家大郎さんのHPを見ている

佐藤:このモニターに現れた家には行ったことがないね。 
幸家:2,3年ここに居ましたね、鉄工所の腐った部材は取って佐藤さんはここは泊まってないですよね。
佐藤:前回は印刷屋さんだった木造建築を改修した戸建てに泊まっていた。三角に構造体が刺してあった。鉛の活字が一杯残っていた。
幸家:あれ(谷6シェル長屋)が出来たばかりでした。谷町六の方ですよね。
佐藤:そうそう、コイン1個で美味い料理を提供する店にも行ったよ。
幸家:10年ぐらい前ですね。(下2枚絵:谷6シェル長屋 2012年)

ロケットストーブの上に蓄熱砂利が載せてある

安定した低空飛行

佐藤:今年、大阪での聞き取り活動15年目なので〆にきました。幸家さんとはそれ以前から大島さんを介して交流してましたね、福島にも何度も来ていただいたので、大阪の聞き取り対象者とは別枠の方です。幸家さんは有名にもならず、相変わらずの生活と建築造りしている、私にとっては珍しい人ですから聞き取りは続けますよ。長年にわたり安定した低空飛行を続けていますね。
幸家:(笑)安定した低空飛行(笑)
佐藤:会ったときから変わってませんね。他の人は有名人になっていたりします。海外に仕事を展開している人もいる、暮らしぶりの中身と海外での実態は調査してないので、中身は分らいんだけど、聞いた話しね。リーマンショックで一度店をたたんだ人も復活してました。15年前の大阪は柳原照弘さんの紹介してもらった人をを聞き取りしました。だから、建築系の人は少ないかな。事務所を始めたばかりの家成俊勝さんは大学の先生になりました。

幸家:私も安定収入めざして、大学職を受けたんですけどね、まんまと不合格でした(笑)京都芸大で専任の公募があったんで受けたんです。今は非常勤は精華大学でやってます。安定収入をもとめて(笑)募集は専任なんで、まあまあよかったですよ。精華大はただの非常勤ですよ。
佐藤:専任講師に採用されるのは、博士号もってないと難しいでしょうね。
幸家:無理でしたね。
佐藤:安定した低空飛行やって、派手な建築造ったりして目立たないと。私立大は有名人を看板に学生集めたいわけだし、人寄せパンダが要るんだろうね。幸家さんは弟子はいないんですか?
幸家:この前までいました。お金みつくろって何とか給料を支払っていたんですが・・・仕事がなくって無理やな・・・と思ったんでしょうね。
佐藤:大阪市は福島市とちがって経済規模が大きいから、いろいろ職がある。だから職を渡り歩けるチャンスは常にあるよね。幸家さん自身は若い時分には吉田保夫先生の所では無給で長年働いていたんでしょう?
幸家:そうですね。一月分もらったことはあるんですが、その後は無し・・・でした(笑)完全にボランティアまでもいかないかな(笑)

佐藤:正木悦子さんも吉田学校の生徒で、同じような生かたしていて、吉田派の面々は変わっているよね。幸家さんは大学は何処で卒業したんでしたっけ。
幸家:九州の大学出て、一度アメリカに出ました
佐藤:思い出した「アメリカでお金持ちの飼犬の散歩のアルバイトしてた・・」と言ってたね。当時のポートフォリオもいただいたので保管してます。あの時からずっと一人で手作り、設計施工は続けていますから凄いですよ。今時、日本じゅう見渡しても設計施工建築家一人は少ない、そのうえ幸家さんは現代アートと建築融合したり、使い分けも達者だから、仕事きそうなんだけどね。幸家さんが吉田先生の学校に入った動機はなんだったの?


一人、設計施工

幸家:動機ですか。正木、山盛、末松、藤原さんとか、水谷さんは一時有名になったかな。
佐藤:全員に給料払ってない、吉田事務所では何をしてたんですか?
幸家:現場があるときは設計して建ててましたね。僕が行ったときは老朽ビルを全部リノベで、そういうの・・・ばっかしでした。自分たちで請負って造る。
佐藤:リノベ建設時の廃棄物はどう処分してたの?

幸家:詳しくは知らないですね(笑)そのときは自分で造ったり、今でいうリノベションとか、そういうのがやりたかったんですね。そういう事をしたいのと、設計業務として設計事務所に何件か行ったんです。けど、もうちょっと現場で造りたいのがありまして、それだけで吉田さんの所に行ってました。

佐藤:その通りにその後の歩みはなっているね。自分で請負って図面描いて、自分で造る、全てが一体になっている。図面だけ描いている人は、リアルな現場感覚はなかなか身に付かないと思うけど、造るとダイレクトに素材に触れるし、現場観は身に付いてしまうよね。だが、身に付く良し悪しはあるんだけど、自分で造ることに縛られるというのかな。建築設計やリノベの設計施工の道に入ったということだ。
幸家:はい。
佐藤:ミニミニ・ゼネコンだね。
幸家:今は一般のみなさんDIYブームで素人の方もやってますからね。今のDIYと一線を引いてやっている人たちもいます。例えば、外国人で日本に来て、日本人の嫁さんをゲットして、土壁職人の弟子に入って、土壁を一式習うんですよ。左官として自分でできるようになって、自然素材を使って家を建てたり、そういう人と連絡し助け合いながらやっていますね。かなりオーガニックな宣伝を調べて、それに特化したような事をやっています。そういう人たちと何人か知り合って、彼ら外国人はDIYと一線引いてます。僕はね、全部適当にやってきましたからね(笑)

佐藤:
幸家さんは一般人的DIYとは線引きできない?
幸家:考えとしては、一応、HPにまとめた積りなんですけどね。解体はだんだんやりにくくなってきて、解体業の免許をもっていてマニフェストとかややこしいみたいです。最近そっちの方は分けて発注してやらないと、全部は出来ないですね。

佐藤:前回泊めてもらった元・印刷屋さん(谷6シェアハウス)の改修は工事はすべて自分で施工したような気配だったけど、設備もそうでしたか?
幸家:接続配管と電気と左官はお願いしてます。内容は工作のレベルですからね。糊で付けてとか、ビスで付けてとか(笑)自分のレベルではスピーカーとかストーブ作って遊んでいるのと、技術的には・・・ビスと鋸とインパクトで出来るぐらい・・・な感じです。出来ない処は職人がやる。
佐藤:奈良の天川村の旅館は工務店が入ったんですよね。
幸家:
工務店がはいりました。ああいう大工仕事とはちょっと違うんですよ。
佐藤:
ホームセンターの材料では質が落ちるでしょうしね。

幸家太郎さんの理念

理念 / 周り巡る環境づくり
古代からの叡智によってつくられてきた生活環境のなかで私たちは活かされている。
その叡智は、自然との連続した繋がりとして暮らしを育んできた。

そもそも建築はフリーエネルギーである。
暮らしのなかで有機的に自然と繋がりながら、
さまざまな喜びのエネルギーを増大させていく。

風はそよぎ川はながれ、自浄しながら循環していく。
滞らせてはならない。

排水路工事する 窯蔵(乾燥室)を造る

幸家:これが一番最近のやつです
佐藤:最近は水路造りしてなかったですか?
幸家:基礎を造るときに水が吹き出して。これは広島県の実家の乾燥室現場です。
佐藤:実家の水路づくりですか。既存建物でしたか?
幸家:解体して持ってきたものを設計し直したから移築です。都市計画外地域です。断熱材がセルロースナノファイバーです。材木の天然乾燥をしながら造りました。(大学構内の)これが解体になって、それををもらって移築。大阪市大とは材木を天然乾燥させながら小屋を建てたときに、材木の乾燥と森林のことで学生さんと奈良の山に出入りしワークショップに行ってたんですよ。今、先生は退官されましたが、その時の続きです。材木の乾燥に関して、湿気がどう動くか、そんなことを研究している先生でした。今もここにセンサーとか入れさせてもらって、要は材料を低温乾燥させるための小屋なんです。

佐藤
:電気は使わないんですか。
幸家:電気のヒーター使うんです。いくいくはロケットストーブとかで乾燥できるようにしたなと思ってます。内側に漆喰塗って湿気を吸わせてこの壁を通して外に出してくとしています。両面とも透湿材料で、外の方が湿気が多い場合は入ってくるように動くと思うんですけど。温風はヒーターです。
絵3枚 幸排水路工事、家大郎さんFBより

佐藤:第一号乾燥室が出来たと。
幸家:できたのは今年(2022年)の夏です。漆喰の下地のところから左官屋さんです。広島に行って泊まり込んで造っていた感じです。実家の仕事は弟が継いでいるんです。
佐藤:長男大阪にいるから弟さんが家業を継いでいる(笑)実家の水はけが悪いから排水路を造って建てたんだ。

幸家:そうなんですよ、水が逃げる所がなかったんですよ。FBにはその過程をおおまかに載せています。基礎は配筋など頼んで建て方をして、大方のところまでは建設屋に任せました。

佐藤:
水路に当たる土の色がなんでこんなに黒いんだろうね。
幸家:もともと田圃という話しなんです。周りが埋め立てで塞がれて水の抜け道がないので、汚泥化してガスが出ていて。土が腐っているんですね。この辺から裏山の水が湧きだして。
佐藤:行先がないので、ぐずぐず腐敗していたんだ。
幸家:そうなんですよ。周りは昔は田圃で、排水しながらアクス(悪水)溜まりって言って潮の干満で、悪い水を溜めちゃ、潮が引いた時に出すような、そういうので暮らしていたんだけど、皆さん畑やめて、埋め立てだしたんので、水の逃げ場がない。
佐藤:埋め立て前はバッファーゾーンがあったんだけど埋め立てたから備えの場が消えてしまった。
幸家:畑をやりながら排水して。
佐藤:塩田跡地じゃないのかね。
幸家:最初は塩田だったんです。それを埋め立てたんです。塩田にするのに水門があって、悪水溜みたいなのがあった。その次が畑でして、排水だけはうまく使っていたんですけど、今は周りを宅地にしたので逃げ道がなくなっちゃったんです。水が引かなくなった状態でした。どんどん吹き出して収拾つかなくなって。選択肢が2つあって、一つはケミカルなものを入れてカチンカチンに固めるのと、どうにか排水するのと。猛反対くらいながらどうにか排水しますと、「排水やらして」と。でやりました、その方法が暗渠を入れて笹とか枝とかで、泥を濾しながら水を抜くように、穴あきパイプも入れて水道を造って、とにかく低い方に送るようにして、送ってやった先がここなんですけど、ここから先がこんなになっていて(笑)路面まで水が来るんですね。ここから先をどこかなと探していて・・・敷地の中の一番低い桝がここで、なんとかこの桝にサイフォンで送ってやろうかと。最後はここに流れていって、排水するんです。ここらは水位はそんなに低くはないんですね。ギリギリいけるぐらいで。
佐藤:高低測量してなかった?
幸家:水が貯まるおりに、レベルは測って、どのぐらいまで来ているのかはやっていました。
佐藤:土木排水工事だね。


2022年
窯蔵の写真: 野崎英之さん

窯蔵はセルロースファイバーによる高断熱性+透湿性を持つ壁体により、木材低温乾燥/食品低温加工が可能な〈窯〉、さらに木材の保存や低温加工時に出現するフィトンチッドなどの有効成分が満ちたリラクゼーションスペース=〈蔵〉としても利用できる多機能な小屋の開発。

木材天然乾燥と材料のストック、備蓄倉庫、居室の機能を持ち合わせる〈不震庵〉を解体・設計変更、移築したアップサイクル・プロジェクト(幸家さんHPより)








幸家
:炭と枝と石と葉っぱで、有機物とか無機物で。土中環境という本が出ているんです。ああいう内容でやる土木工事の講習に1年ぐらい行きまくっていたんです。仕事まったく無い間ですね、金払ってずっと行っていた。先駆者がおって全国に弟子を持っているんです、矢野さんという方です。そこに習いに行ってました。
何か魅力的だったんですよ(笑)ここの水路のやつも送りだして、違う配管も避けながら、サイフォンで送ってやる。毛細管現象で送るしかなかったんです。サイフォンをつなげてやって、ここも溜まって堀みたいに水が貯まるんです。なんとか一番低い所まで送ってくれるようになって。竹とかロープとか使いながら。毛細管現象で麻縄をずっと束ねて吸い上げるんです。寄せて、寄せて、水が通っていくようにして。何とかグダグダやりながら、一部ユンボで建設屋に掘ってもらいましたけど、他は自分で造りました。
何とか水は逃げました。上から来た雨も排水できました、何がどうなのか?目に見えない話なので分らないんですけど。

佐藤:膿んだような土壌は消えたんでしょう。
幸家:ハイ、土の質が変わるぐらい膿んでいたということなんです。掘り始めたときは凄いガスでしたよ、虫が湧いてました。けっこうなガスですね、1日中、頭くらくらしました。
佐藤:危険な作業じゃないか!毒ガス発生してるんだ。
幸家:ほぼ人体にはよくないですよ。1時間作業して吸っていたら本当に気分わるくなりますよ。


幸家大郎さんFBより

佐藤:
話し変わってこの窯蔵でドライフルーツも作れるよと。ロケットストーブは今流行りなんですか。
幸家:低温乾燥はぽつぽついろいろな所でやっていて、Z工法という、住宅でも断熱材使って湿気を外に出していこうというのは既にあるんです。漆喰でも材木でも湿気を通す材料だったらなんでもいいです。15pの腐らない断熱材が入ってます。
佐藤:外壁から外に湿気をだしてやると。
幸家:それに空気層があるんですよ。で、大阪市大から広島にもって帰った建物、木を積むだけなんです、実(さね)とか入ってないので、水を切るのに外部にもう一枚貼ります。湿気は棟からと縁から抜けます。空気が恒久的に循環するようにしてあります。窯蔵は完成したね。ですが、「まだ忙しい・・・」とか言って稼働させてくれないんです(笑)

新型コロナ騒ぎあれこれ

佐藤:
兄貴、実家の庭先に変なの造っちゃって・・・と言われた?
幸家:この時、コロナ騒ぎで大変でした。僕がどこかのバイト現場からコロナをもって帰ったみたいで。この時は実家・田舎で大騒ぎになって周りに嫌われながら造った(笑)僕と父親だけ感染せず、セーフで周りは蔓延(笑)。病原菌扱いされてしまって・・・。で酷かったですよ。島だから周りからよけい白い目で見られて。
佐藤:小さな地域だと自主警察がでてきて極端に反応する傾向にあるからね。多様な感染症に遭っても、感染し免疫力つけて生き抜いてきたのが人類史なんだけど、自分だけは病原菌保菌者になりたくない、って考えて防備しても、不可能でしょう。例えば、結核菌は紀元前のエジプトのミーラからも発見されている。菌は数千年生き抜いて、予防接種できてまだ50年ぐらいでしょう。耳慣れない感染症があらわれると、DNAにある自分の免疫力を、健康な人も信じることができない心境になって、保菌者を排除しちゃう環境が出来上がるようだね。みなで虐め合うと悲惨だよ。感染しないのに心が弱って死んでしまったりする。悪いのは島の外から来た奴だ!・・・つるし上げられちゃったと。


幸家大郎作ロケットストーブ
幸家:佐藤さんはコロナ菌大丈夫でしたか。
佐藤:予防接種4回終えて、5回目の予約きているよ。
幸家:そっちの副作用の方がたいへんなんじゃないですか?
佐藤:どうなんだろうね?副作用は軽くなっている気がする。早々とコロナに感染した方が真の免疫力付いちゃうで、若い人なら感染選んじゃうんじゃないかな?

幸家:僕はワクチンしてないんだけど、おかしいのが一度来たんですよ。関節が急に痛くなるやつです。同じ現場にいた仲間に電話したら、みんな40度ほどの熱だしていて「それやな!・・・」みたいな感じでした。人に勧められないんですけど、これ(薬)1本で対応しているんですよ。日本で製造していて、インドはこれでコロナを克服したみたいです。日本はいろいろな利権などあるので、使えない。飲んだら瞬間治りました。熱もでずケロっとしてましたね。たくさん買った奴がいてお守りで渡されたんです。それを呑んで効いたもので(笑)医師も、効くの知ってますね。南アフリカあたりではこれを呑んでいるらしいです。薬としては安いと思います。お守りのつもりで持ってます。いざという時に持っていたほいが、いいんじゃないかな・・・と思っているんです。1錠100円ぐらいです。自分の判断で、呑んで死んでもいいと(笑)飲んで助かりましたし。
春先に罹ったんです。僕が実家に帰って一晩だれかと飯たべて、ほとんど接触してないんですよ。大阪に戻って来て、その何日後に実家に電話したらみんな感染しているって!?

佐藤:幸家さんが原因だと言いきる根拠はどこにあるんだ?

幸家:明らかに「お前や!」みたいな感じだったですよ。みんな島から出てないし、島の同僚が一人居て、そいつがアルバイトで現場に応援に行っていた。そこで作業した奴が皆感染しちゃったんです。もう一人の奴が島の子で、バレるんです。僕とそいつが広島から持って帰って来た、とバレるんですよ(笑)すぐ噂になって、「へぇー・・・」と思いましたね。噂が広まり、精神的には辛かったですよ。感染源を辿ると現場しかないんですよ。現場に、一人調子のおかしいのがおったんですよ。

(共に笑う)

「あいつや!」とは言わなかったですけどね。

佐藤:皆、いずれ感染する病だから、犯人捜ししても意味のないことだけどね。そう簡単には人は死なないでしょう。
幸家:3月ぐらいの話しですからね、もっと前のやつは危ないのも、あったみたいです。いまのやつは変異しまくって、感染力だけは凄かったですよ。

佐藤:幸家さん、感染源にされちゃったって凄い経験だね!故郷では差別の対象者になってしまったと。気の毒!
幸家:そんなこと、ばかしですよ。何やってるんだろうねって感じ(笑)




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その2に続く