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福島第一原子力発電所の事故によって起きている様々な問題を勉強し始めました 勉強過程の記録をつくってみますご活用ください
放射線被曝とその影響について
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これはとても不思議なことで 25:43 たとえば200ミリグレイを当てた場合いでも、これもロートカムさんのペーパーですけれども。200ミリ当てますとだいたい一個の細胞に10個出来たり8個出来たり6個出来たりというカタチで、2本鎖切断が形成されるわけですけども。

24時間経ちますと、この白抜きの棒グラフですけども、ほとんどが0であったり1であったりというカタチで修復されるということなんですね。

結論から言いますと2000ミリグレイであれ、1000ミリグレイであれ、200ミリグレイであれ、その2本鎖切断が出来るのは極めて綺麗に線量相関で線形反応なんですけども、修復は、2000ミリグレイ当てた細胞の方が遅く、時間が掛かって修復されるのか?と。200ミリの方が早く修復されるのか?と。なかなかそうい関係に行かなくって、一定の時間が必要なわけですけれども。修復される方法は線形反応じゃなくって、早く、早く24時間経ちますと修復されてしまう、ということなんですね。

壊されるのは線量に沿って綺麗に壊される率が出て来るんですけれど。修復は24時間経ちますといわばほとんどが2000ミリグレイであれ、200ミリグレイであれ100ミリグレイであれ、ほとんどが修復されきってしまう。こういう関係にあるんです。

ここで初めて壊されるのは物理的な現状ですけれども、修復は生態的な現象、生物学的な現象ということがよく解ると思うんです。

これは200ミリグレイでしたけれども、こっちは20ミリグレイ。20ミリグレイ当てますとだいたい細胞一個に1本の2本鎖切断も形成されなくなって。だいた0.7個ぐらい形成されるんですね。それが24時間経ちますと0.1個ぐらいに減ってしまう。0.1個形成されるってことは、10個に1個形成されるという言い方でもよいわけですけども。5ミリグレイ当てますとだいたい0.22個形成されると。しかし24時間経ちますと、だいたい0.1個ぐらいに減ってくるカタチで。24時間の間にかなりの率で元に戻ってしまうということでが起きると。


だいたいCT撮りますと、色んな場所によっても、線量が違いますけども、だいた10ミリから20ミリ線量浴びることがあります。CT写真撮るとですね。その場合いでも24時間でこのようなカタチで0.1個ぐらいにばーっと減ってしまうということになるわけですね。

1ミリグレイのレベルではどうなのか?ということで、非常にこれは興味深いことで、ロートカロさんのペーパーが出た時に、私たちも驚いたんですけれども。1ミリグレイの場合いですね、そもそも、0.1個出来てですね、これは24時間経ってもなかなか消えないんですね。消えない。

つまり沢山出来た2本鎖切断は速やかに消すんですけれども0.1個という出来たのか出来てないのか分かんないものは非常に消しずらいのかもしれませんね。

24時間経っても0.1個の率はほとんど変わらない。つまり修復機序というのはこの場合いあたかも働いてないかのような!?かたちで残って居る。しかし生体は本当によく出来たもので、実は今までの実験は細胞そのものは生きていて、酵素反応は生きていてるんですけども、細胞の分裂は止めているんです。分裂させないで、細胞の酵素反応、生きている状態は保ちながら、分裂はストップをさせるという、実験的な手法で、止めているわけです。ですから酵素反応は自由に起きるとそうすると24時間の間にだいた修復されてる。

しかし先ほど言いましたように1ミリグレイ、レベル。これは1.2ミリグレイの実験でしたけれども。1ミリグレイとか2ミリグレイのレベルでは出来た数は少ないんですけれどもなかなか、消えないということが起きます。消えない時どうなんのかなー?と思って観てたらば、今度細胞分裂をゴーサイン出している。細胞分裂したときに出来た2本鎖切断は見事に実は消えて行くんですね。消えて行く。

1個の細胞の時に酵素反応で何とか修復するわけですけれども。それが修復出来ない、微量な傷の処は細胞分裂する時に先ほどの細胞をまるごとアポトーシスで捨て去る、というカタチで、無くなっていくと。

これトーロカさんのデータでですけれども2003年に解ったデータなんですね。そんなに昔のことではない。むしろごく最近のこと。


問題なのは、先ほどの実験もそうなんですけども、急性照射と実験室で細胞に比較的瞬間照射するんですね。急性照射と言います。瞬間照射。現在の私たちの外部線量の被曝は慢性照射。もっと言いますと非常に低い線量の持続的な照射。学問的に言えば低線量率の持続的な被曝というのが我々の今受けている体の被曝の状況なんですけれども。先ほどの実験系、多くの実験系は実は急性照射なんです。高い線量であれ、低い線量であれ、急性照射なんですね。

ですから、生身の我々の体とは自ずと違う処があるんですけど、そこはなかなか区別出来ないので、実験系が難しいので、急性照射で代行しているって面があるんですけども。慢性低線量率の持続的照射の実は実験系というのは、高自然放射線地域の状況を探ることでやる。

で日本の年間の線量はだいたい1.5ミリシーベルトと言われています。外部被曝線量が1.5ミリシーベルト。西の方が高い、東の方が低いわずかに低いと言われていますけど。1.5ミリシーベルト。世界には非常に高い所が沢山在りましてむしろ日本は低い実は国なんですね。

中国の陽江という所はだいたい上海に近い所ですけども、だいたい3.51ミリシーベルト/年です。ケララは3.8ミリシーベルト。最大の所では35ミリシーベルトなんていう所も在る。ラムサールは一番有名で日常的に毎年10.2ミリシーベルトいう線量、自然放射線量、いうことです。だからラムサールの子ども達はおぎゃーと生まれた赤ちゃんが毎年10ミリシーベルト受けてて、10歳になったら100ミリシーベルト受けると。20歳で200ミリ、30歳で300ミリシーベルト受けると、いう低線量の慢性持続被曝がこういうカタチで生じているということです。

従ってここでの疾病の動向を観ることは極めて興味深いことであって、調査がずーっと続いております。一番有名なのが陽江の調査です。これは、高い高いと言われているグループも、1というのが コントロールですけれども。高い高いと言われているグループを三つに分けまして、その中でも低い中程度、最も高い所、高線量地域をさらに三分割して比較した図ですけれども。

この茶色いのは固形癌 オールキャンサー。癌ですね。この少し黒っぽいのが白血病のグラフです。そうしますと、どのグループもですね、だいたい1前後ということで自然放射線量の(高い)地域では発癌の増化は無いということが解ってます。

これはケララでもそうなんです。これは非常に不思議なことでありまして、じゃまったく何も起きないのか?ということなんですけども。実は起きているんですね。

やはり染色体を実は調べています。これは2004年のペーパーで、日本人の林さん、林先生が調べたものですけども。

実は染色体の変化には大きく二つ分けて考えることが出来ます。一つは不安定型染色体と言ってですね、なにがしかの事情で染色体異常が出た場合いでも、それが1年とか2年の間で淘汰されて消えてしまう染色体が不安定型染色体。やがて消える染色体。

もう一つは一生続く染色体異常ですね、これを安定型染色体異常と言います。この安定型染色体異常が将来の癌に繋がると考えられている訳ですね。 35:21でこの陽江の人達調べますと、まず線量で調べ。白いオープンサークルがコントロールで、低い所に住んでいる人達です。この黒丸が高い所に住んでいる人達。それぞれ、線量を測ることが出来ますので、土壌線量から計算して。測ることが出来ますので、100ミリ200ミリ300ミリということで、調べてグループ分けしますと、黒の人達は積算線量が上がるに従ってだいた右肩上がりの不安定型染色体のリスクが増加していると。いうのがここからだいたい解るわけです。

線量の低いコントロールの地域に住んでいる人達は不安定型染色体異常は増えないということが解るわけです。で、じゃーそれは、加齢のせいではないのか?つまりこの人達は生まれた時から10年15年20年経ちますと必然的に線量が増えて来るわけなので、加齢のせいじゃないのか?いうことで、先ほどの白のコントロールグループも年齢でばらしたと。同時に黒丸の人達も年齢でばらして観たと。いうことなんですね。

そうすると白の人達は確かに加齢によって、少しは上がって来ると。年齢が行きますと不安定型染色体が増えると。しかし高い線量の所に住んでいる人達はこの、コントロール分の加齢による影響と思われる数値より更に上を年齢が行くとということは線量が行くとということになるわけですけどもね。上がってくるということで。このばらつきは放射線に密接に関係して起こっていることが解ったと。

ですからこの間、自然放射線は何も影響しないんだと、生まれた時からずっと慣れ親しんでいるので影響しないんだとことではなくって、自然放射線っていえども我々の染色体を捉えて異常を起こしているということがここから解ると。

ただ、安定型染色体異常はどうか?

ということですね、安定型染色体異常。先ほどの不安定型は数年で消えていきます。残らないんです。じゃ安定型染色体異常はどうか?というとこういう説明は省きますけれども、安定型染色体異常観ますと、まず線量で観ると100、150 200だいたい100ミリから200ミリ、だいたこんな処にこう。縦軸が1000個当たりの安定型染色体異常の個数ですね。1000個で何個?安定型染色体異常を持っている細胞があるか?ということを示したものですけれども。

線量で観るとこんなかたちに成っていて、高いのか低いのかちょっと、ここと比べると横線の引けそうな気がしますけれども、そこは解らない。年齢で観るとどうか?ということで先ほどのコントロー群も年齢でばらつかしたと。丁度この黒丸と白丸が重なってしまうと。

これはどういうことか?というと結論的には安定型染色体異常については加齢の影響をもろに受けていると。あるいは加齢の影響というのは放射線以外の様々なリスク、染色体異常を引き起こすリスクを同じように持って、それを反映していると。

つまり線量のこと、線量のことは反映しなかったと。いうことなんですね。コントロールの対象がまったく重なってしまったということなんです。

従って高自然放射線地域の人達の染色体異常について言うならば、不安定型染色体異常は確かに線量に綺麗に相関して発生するけども、そこから安定型染色体異常へのチェンジといいますか、変化といますか、それは起きてないと。いうことなんですね。そのことが、さきほど安定型染色体異常というのは一生持っている染色体異常で癌化に繋がるという考えている染色体異常ですけども。

結局安定型染色体異常がコントロール部分と全く変わらないという染色体からも言えることが、先ほど見せました癌の疫学調査においてもまったく増えてないと、いうことに、繋がってくるデータということが解ると。

これはケララもそうです、他の高自然放射線地域もそうなんです。不思議なことなんですけど。

もうちょっと突っ込んで言うならば、低線量率ならば、少なくっとも、その積算どのようなものであれ、安定型染色体異常には繋がらないんじゃないか、というとうことが解ったということなんですね。問題なのはどの位の低線量率なのか?

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