福島第一原子力発電所の事故によって起きている様々な問題を勉強し始めました 勉強過程の記録をつくってみますご活用ください
原発事故と4っの事故調査委員会報告
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4っの事故調比較表    (書き写しにつき誤りもあるかと思います) 

民間事故調

東電事故調

 国会事故調

政府事故調
1−委員会名 福島原発事故独立検証委員会 福島原子力事故調査委員会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
1−2)委員長 北澤宏一 前科学技術振興機構理事長 山崎雅男 東京電力代表取締役副社長(当時) 黒川清 元学術会議会長 畑村洋太郎
 東京大学名誉教授
1−3)方針 真実、独立、世界をモットーに、政府と東電の責任を検証する。できるだけ具体的な事象を対象としたケーススタディーを通じて問題点を明らかにすることで事故の真相に迫り、背後の制度的な問題点を浮き彫りにする。 今回の事故からより多くの教訓を得るためにとくに重要と思われる点を中心に、可能なかりぎの現場確認、記録類の確認、関係者へのヒヤリングなどの情報収集を行い、得られた情報を基に解析手法を用いて事象進展の評価結果を合わせて客観的に解明。原子力発電所の向上に寄与するために、必要な対策を提案する。 憲政史上初めて、政府からも事業者からも独立した調査委員会が、過去の規制や事業者との行動といった問題の根幹にも斬り込む。「国民による国民のための事故調」「過ちから学ぶ未来に向けた提言」「世界の中の日本という視点(日本の世界への責任)」から総括 従来の原子力行政から独立した立場で技術的問題のみならず、制度的な問題も含めた、包括的な検討を行う、ことを任務とし調査・検証を行い、事故および事故による被害の原因の究明と被害の拡大防止及び同種事故の再発防止等の政策提言を行う
1−4)中間報告    ー 2011年12月2日   ー 2011年12月26日
1−5)報告書提出 2012年2月27日 2012年6月20日 2012年7月5日 2012年7月23日
1−6)全体評価 一番早くまとめられたが、スポンサーを非公表にしていることに、信頼性の陰りを感じさせる 当事者報告書。教訓を学び再発防止につなげる危機感に乏しい 国会がリードした第三者委員会。この「憲政史上初」の結果を国会がどう受け止めるかが注目される 当事者の報告書。官僚群が支えた。分析と教訓の一般化に重点が置かれている。
1−7)地震による配管損傷の可能性 地震の発生から電源喪失までのあいだに原子炉の圧力や水位の急激な低下などは見られず、地震による配管損傷は考えにくいが、解析が望ましい。 本的な原因は想定外の津波であり、主要施設には地震による損傷は確認されていない。重要度の低い機器も機能に影響する損傷はほとんどない 主因を津波のみに限定すべきではなく、地震による損傷の可能性も否定できない。地震動で1号機のIC(非常用復水器)配管に細いひび割れが生じ、そこから冷却水材噴出事故が起きなかったとは断定できない 津波到達までのあいだ、冷却機能の喪失に結びつくような配管破断の可能性は認められない。地震発生から津波到達までのあいだ、小さな亀裂やひび割れが起きた可能性は否定するものではない
1−8)1号機非常復水器(IC)や3号機高圧注水系(HPCI)の操作 運手員はICの弁が閉止し、制御できなくなることを懸念していたが、発電所対策本部などはICが稼働していると思い込み、冷却機能が途絶えたことに迅速に気づかなかった。HPCIについても知識が不十分。 操作手順書で定められる原子炉冷却材温度変化率毎時55℃を順守できないと判断したからICを手動で止めた。ICの状況把握やHPCI停止などの情報共有が遅れたことによる事故対応の影響はない ICは運転員が手動で止めたが、複数の運転員から「原子炉圧力降下が速いので、IC系配管などから冷却材漏れがないかを確認するため、ICを止めた」という説明を得た。(地震動による配管破損問題に言及) 東電本店がICが停止したのに稼働していると誤解。東電内でICの機能などが十分理解されておらず、運転員も、IC操作に習熟してたとはいえない。HPCIは現場の独断で止められ、その後再起動できなかった
1−9)事故処理のリーダーは誰だったのか 「菅首相が取り寄せるべき電池の大きさや重さまで自分で電話して訊いている姿に、一国の総理がそんなことまでと、ぞっとした」という証言を特筆して、官邸の主導体制のお粗末さを指摘し、「稚拙で泥縄的な危機管理だった」と厳しく批判している。 官邸からの指示や命令がしばし現場を混乱させたと、やんわり指摘している。言外に現場の対応は適切だったと意味をもめている 官邸から頻繁な電話による問い合わせや初歩的な質問などにより、現場は余分な労力を割かれた。官邸の過剰な介入が現場の指揮命令系統を混乱させた。官邸の危機管理体制が機能せず、東電と政府の責任の境界が曖昧だったとことが被害を最小化できなかった、としている 菅首相以下関係閣僚や原子力安全・保安院長、原子力安全委員長らと、各省庁の幹部らを集めた緊急参集チームが特別にわかれていたため、「十分な情報がないままに意思決定せざるをえない場合いも生じた」としている。また菅首相の事故翌朝の現場視察には疑問が残るとし、菅首相が同日夕の海水注入の是非を検討したことも適切でなかったとしている
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2−1)東電の「全員撤退」はあったのか 東電が聞き取りを拒否したため解明はできないが、全員撤退を考えていたのでなかったら清水社長が官邸の政治家に何度も電話をかけるという異例の行為に説明がつかない。菅首相が東電に乗り込んで強く覚悟を迫り、撤退を取り止めさせたことを評価するとしている 一部撤退は検討したが、全員撤退は考えてない。清水社長と海江田経産相との電話連絡で食い違いが生じた可能性がある、としてる 東電が全員撤退を決定した形跡は認められない。官邸の勘違いで、清水社長の曖昧で要領を得ない説明にも原因がある。菅首相が東電本社に乗り込んだことで、全員撤退が阻止できたわけではないとしている 東電の現場には全員撤退の意図はなく、清水社長の電話を官邸が誤解したのだ。清水社長が官邸に何度も電話をしたのは、それまでに菅首相から情報提供の遅さを注意されていたからで、不自然とはいえないとしている
2−2)テレビ会議の映像になぜ音声がないのか オフサイトセンターや東電を結ぶテレビ会議システムにつていの説明はあるが、記録映像や音声の有無については何も触れていない 映像に音声付きと無音声の部分が混在している理由について説明しているが、東電本店と福島第二以外で録画されたのかどうか説明はない 情報共有にテレビ会議システムを活かせなかったという視点からの記述はあるが、映像の音声の有無に関する記述は何もない 全面撤退問題をめぐる事実関係の確認に記録映像を参照したとの記述はあるが、映像の音声の有無に注目した記述は見当たらない
2−3)原子力ムラにどもまで迫れたか 「安全神話」についての第9章を設け、原子力ムラが福島原発事故にどのように関わったかを検証している。しかし「安全神話」が何ゆえつくりだされたかなどについて、構造的要因をより深く追求することはしていない 言い訳に終始している印象がついよい 特に第5部(事故当事者の組織的問題)で原子力ムラの状況を排他性や閉鎖性と共に示し、事業者が規制当局を「虜」にした行動を分析した 事故の背景に、さまざまな問題点が複合的に存在した、としているが、なぜそのような問題が生じたのかについては、現象的な分析に終始し、「ムラ」状況の本質的な分析を避けているように見える
2−4)個人の責任追及 「今回の原発事故は人災」との見解をとっているが、東電、国の誰に責任があったのかについては言及していなかった。 記述なし 当初から事故の責任の所在を明らかにすることを目的に掲げ、「人災説」を打ち出したが、個人の責任まで踏み込まず 最初から、関係者の責任追及を目的とせず、組織的・社会的責任を明らかにする方針で臨んだ。関係者の聞き取り調査も原則非公開とした
2−5)組織の責任所在 東電に「第一義的責任」があり、背景には原子力の安全文化を軽視してきた東電の経営体質と経営風土の問題が横たわる。原子力行政の推進と規制の区分が曖昧で安全規制の無責任状態が生まれた 津波対策で国の明確な基準がなかった首相官邸の現場介入で事故対応に混乱を招いた。原子力関係者全体が想定事象を大幅に上回る事象を想定できなかた 規制する立場と、される立場の逆転関係が起き、規制当局は電気事業者の虜になっていた。関係者に共通するのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心。東電には事業者としての資格があるのか 東電の初動対応の不手際、政府の避難指示や情報発信の不備など、東電や政府に複合的な問題があった。津波による全交流電源喪失が招く過酷事故(シビアアクシデント)への備えがともに圧倒的に不足していた
2−緊急事態宣言がなぜ遅れたのか 第3章「官邸における原子力災害への対応」で、緊急事態の報告を受けた首相ほか官邸中枢は、異様な状態と混乱に陥った。と状況解説を行っているが、緊急事態宣言に対し、さほど重要な検証事項との認識が無いのか記述がない  記述なし 緊急事態宣言の発出は、原災法の規定上、原災本部、現地対策本部、原災本部事務局の設置の前提として必要であり、政府による事故対応を開始するうえで不可欠である。緊急事態宣言の発出が遅れたのは、菅首相が自身の危機感を事故の役割に即した行動につなげることが出来たかったためと考えられる、としている 海江田経産相が、原災法15条にもとづく原子力緊急事態宣言の発出の了解を菅首相に求めたが、菅首相が今後の事故の見通しや、関連法の規定の質問をし、関係職員が明確な答えをできなかったなど、事実関係を明確にしている。そのうえで進行している事態や関連法の詳細についての把握より、まず緊急事態宣言の発出を優先すべきとしている
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3−1)避難情報の出しかたに問題はなかったのか 放射能物質が放出される前に、あるいは直後に避難を行うとする「予防防護措置区域(PAZ)を採用していなかったため、緊急事態宣言時に、「現時点では放射能は出ていない」という理由で避難指示を出さず、最終的に避難指示がその2時間後だったことは見過ごせない、としている  特段の記述なし 政府は住民に判断する材料となる情報を提供せず、避難の判断を住民個人に丸投げしたと厳しく指摘 各自治体の避難状況を個別に整理し、SPEEDIの活用という視点が欠落していたと指摘。住民避難に関しては、避難訓練など事前の備えが必要だが、「安全神話」に寄りかかっり、避難訓練もシナリオに沿ったパターン化したものとなっていた、としている
3−2) SPEEDIについて SPEEDIの予測データが官邸トップに上がらなかった要因を分析し、SPEEDIは本来期待された役割を果たせなかったため、事故発生直後の避難指示が遅れた可能性があると指摘  特段の記述なし 政府の公表時の不十分な説明により、あたかもSPEEDIの予測結果があれば避難に役立ったとの誤解を与えた。緊急時対策支援システム(ERSS)による放出情報が得られない場合には、それのみをもって、初動における避難区域の設定根拠とできるほどの正確さをもつものではない、と指摘 SPEEDIの予測データが提供されていれば、避難に活用できたと指摘
3−3) 低線量被曝問題に踏み込めているか 国際放射線防護委員会(ICRP)や国連科学委員会、アメリカ科学アカデミーBEIR報告書が重視するしきい値ないしモデルをそれへの異論とともに紹介、各論併記にとどまる  記述なし 低線量健康影響にしきい値がないというICRPなどの科学的な評価結果を、その根拠とともに紹介異論が退けられる論拠も説明している ほとんど記述なし。(事故原因や推移についてのみ記述)
3−4)リスクコミュニケーションについてのとらえかたは 誤解や信頼を失ってしまった事実について記載、その分析はあるものの、市民の権利としてのリスクコミュニケーションという認識は薄い  記述なし 受け手の立場に立った情報公表を課題として指摘するなど踏み込みはあるが、市民の権利としてのリスクコミュニケーションへの言及は不十分 民間事故調同様、広報、情報伝達(リスクメッセージ)の失敗分析にとどまり、市民の意見、権利を重視したリスクコミュニケーションには届かず
3−5) 原子力規制に何を提言しているか 「提言」はなく、最終章「福島第一原発事故の教訓」で規制組織の独立性や危機管理時の縦割り打破、トップダウンの必要性などを指摘 16章で「国への提言事項」を6項目挙げているが、事故当事者の立場から事故対応における国への要望内であり内容に乏しい 7項目にわたって提言。規制組織にノーリターンルールの例外なき適用を訴えるなど、もっとも具体的な提言をしている 「総括と提言」で23項目の提言をしているが、全体的に具体性に乏しく精神論にとどまっている。政府に厳しく実現を迫るはくりょくには欠ける
3−6)「倫理の視点」からの評価 「安全」に関し、関係者は空気を読み合って話題にしないという自縄自縛に陥っていたとする 第三者の視点からの検討はない 規制される側が規制する側を情報量で圧倒し「虜」としていたと指摘している 関係者に対して、安全に関するABCを改めて指摘している