HOME    佐藤敏宏のことば悦覧録        
   
橋本浩司さん編    金沢市 2014年5月28〜29日   真夏日 
                その01 02 03 04 


 2008年4月29日の
 橋本浩司+中村彩さん聞き取り記録へ

   

 01 橋本浩司さんの自宅にて 

 
佐藤:2008年に聞き取りを おこなったんですけれど、真ん中に311の地震が入っちゃって。5年毎に聞き取る約束が 1年伸びてしまい6年目になってしまいました。2008年当時は建築家として独立されていませんでした

橋本そうですね
佐藤:独立し建築と造園の事務所を開所されたのは いつですか
橋本2008年の11月 確か春にインタビューあった。
 

中村:2008年春です

佐藤:2008年の春でしたが 「中村彩さんと2人で開所したい」という話しだったですが 所員が3人増え お子さんも産まれて。家庭内外 ともに大発展してますねー 凄いですねー。

橋本:今は事務所には 男が3人いるんですよ
佐藤:建築系の人々ですか
橋本みんな 建築です

佐藤:仕事はどのような内容ですか
橋本:相変わらず古い建築の改修が7,8割ぐらいですかね
佐藤:そうですか。古民家改修とか
橋本町家の改修とか

佐藤:登録有形 文化財の改修もですか
橋本:違います。普通の民家、町家の改修をして お店にしたりとか。
佐藤:金沢では まだ町屋の改修はありますか
橋本:ありますね

佐藤:311津波被災後 石巻市本間家土蔵修繕工事などで 橋本さんにも被災調査のお手伝いしていただいてから、福島でもヘリテージマネージャーの講習会がありました。そこで60時間受講し、さっぱり分からんのですが古建築のあれこれについて 

 ともに ふふふふふ

橋本:ヘリテージマネージャーの講習は 全国でおこなわれているようですね
佐藤:全国組織にするという話しもありました。橋本さんや武藤さんたちは既に金沢で古建築の調査や改修の実践を沢山されているので いまさらの資格です。古い建物を顕彰し残していくための 契機にしようという話しです。
 24日にも猪苗代で古倉庫を坪あたり工事費を150万円ほどかけたらしい 美術館に改修した18間蔵の改修後の建築を見学してきました。 新しい建築でも充分つくれそうな状況下でも改修する姿勢もあります。古建築改修に別な建築の意味を、観光資源や教育施設などという 新しい用途発見が意図のようです。凄いお金のかけ方です。使い方で古建築の性格も社会的意味も大きく違いまね。

橋本:文化財ならそうですね。
佐藤:古民家改修などの依頼は若い人からが多いのですか
橋本:ばらばらですね。年配の方もいるし。20代の人も居るし。
 

佐藤:
古民家改修など依頼は 設計施工が多いのですか
橋本工務店の人に頼んで工事をします
佐藤:現況を調査し、歪み沈みなど全て調査しですか

橋本:一応そうですね。図面を書いて。間取りから変わったりするので。ほとんど間取り変わりますね。

佐藤:
大規模の模様替え、大規模修繕になるんですね
橋本:最近は確認申請を出す方が多い。なにか「ゲストハウスにしたらいい」とかで・・。

佐藤:用途変更を しちゃうこともあると。 設計料というか監理料はどのように決めていかれるんですか
橋本:何%という。新築と一緒です

佐藤:既存古建築の調査に多数の手間を掛けないと図面はできないので 新築と同じ%では辛いですね。
橋本:大変です。調査費をいただけることもあるんです

佐藤:橋本さんは子供が産まれたので 割り増しをお願いしたいところですね (笑
中村:そうなんです ふふふふ

 
佐藤:2008年以降、順調なペースで仕事も展開したんでしようか。最初はおふたりでしたか。野田さんはすでに居ましたかね

中村:1年ぐらい経ってから
橋本:1年後くらいから、野田さん加わると
佐藤:野田さんは調査のスケッチ、手描きも達者、上手なので やる〜って感じですね

橋本そうなんです
佐藤:岩手県の越喜来湾に在る 千田家の調査していただいて、スケッチ巧いし、金沢ゲストハウスの管理もしているし 金沢俺レクチャの司会もしていたし。 何でもできるんだなー と思ったです。もう 独立したのかな
橋本まだ居ます まだ資格がないので

佐藤:筑波大の仲間と共に、金沢に町の調査に来て。その結果、野田さんと斎藤さんが居着いてしまったんですよね
中村:そうです。ふふふ

佐藤:金沢の地力すごいよね〜。 アトリエワンの弟子達 入植って感じですよね。金沢を切っ掛けにし 全国各地に配置されていくんだ〜。 凄いシステムですね 

  ともに ふふふふ

佐藤:橋本さんはゼンカイハウス・宮本事務所でそれまでの最長7年間ですたか修行して、イタリアの古建築旅行・修行へ発ち。その後は帰国し金沢の古建築改修を目指して修行型サラリーマンをやってました。大学の人々が金沢に来て古建築調査などおこなう場合いとどういう違いがあるでしょうか 変わらないですかね

橋本:
結果はそんなに違いはないと思います。調査に関しては違いが無いと思います。ただ実際に、どう修理すのか、というところが重点なので。腐り具合とか傾き具合とか。そいいう調査は 学生さんは あまり、しないですね。建った当初の姿を追い求めるという感じです。

佐藤:橋本さんの場合はがらっと現代的に変えてしまう場合いもあるんだと
橋本:変わる時もあります
佐藤:発注者の要望に柔軟に対応しているんだと
橋本:そうですね

佐藤:寒い暑いについての対策はどうしているんですか
橋本:予算があれば外貼り断熱、土壁の外側に断熱して、板貼りにするとか
佐藤:屋根も新しくして外断熱するなど 色々なタイプの改修があるんだと
橋本:予算に応じて、選択して工事します

佐藤:フェースブックから甘納豆屋さんを新築したという情報が入ってますが 新築ではないのですか。黒いRC造のようにも見えましたが。
橋本:改修です

佐藤:あ、そうなの! 明日見学させていただきたいです
橋本:そうですね。甘納豆屋さんは見学してください

佐藤:webデータでは新築に見えましたねー
橋本:新築もあるんです奥に見える3階建て新築です。手前のお店の方は改修です。
佐藤:角地で凄い目立ちますねー 奥の3階建ての建築は木造ですか
橋本木造です 外壁は杉の45角をばーっと貼っているような。マッシブな感じです。この中にある土蔵もなおしたんですけど。
 

佐藤:古いお店の改修部分と 古い土蔵部と 新築3階建ての木造建築が三棟群をなして在るわけですね。黒い仕上げの色の材料はなんですか
橋本:杉の角材にオイルステーンを塗りましたちょっとハンサムな感じをお客さん要望されたので
佐藤:オイルの臭いはしないのですか

橋本:大丈夫ですね。一応柱は真壁で貫構造で土壁で真壁っていう自分で縛りをつけて。そうは見えないんですけれども。

  共にふふふふ

佐藤:RCで作ったのか、と思う ちゃうぐらいだね

橋本:そうなんです。店舗の方から見えるんですけど。 吹き抜け部は大壁ですけれど。あとは真壁にして。これは古建築が劇的に変わったバージョンの代表みたいな建築です
 

佐藤:
今風に見えますね。 これで古建築改修って言われても 一瞬では そうはみえないですよね
橋本:そうなんです 

佐藤:土蔵は改修に見えるけれど 
橋本:土蔵は傾きをなおして、壁塗り直して。まどり、階段の位置も変えました。

佐藤:6年前はサラリーマンで古建築を改修しておられました。 独立してからの仕事は何がどう違いますかね。
橋本:どうですかねー・・・。
佐藤:いずれ独立すると腹を据えてやっていたので 変化ないですか 期待されたり責任の持ち方が違うのかな

橋本:自分で決めれるのは。楽しいですね

佐藤:宮本事務所でデコン風・現代建築をこなされ 金沢では古建築改修も優れ 自由自在ですね。 建築はなんでも対応できちゃうね

 ともに ふふふふふ

橋本:場所は金沢のにし茶屋街の中です 総工費は2億も、いってないです。

佐藤:完成して 中村さんの感想はいかがでしたか。なかなか内の夫やるわい!ですかね

中村:ふふふふ 街の にし茶屋街って。特徴のある街区なので、その中でランドマークじゃないですけれども、ちょっと目に入るような。街に馴染んでいるけれど目に入るような建物になったなと思います。起爆剤と言ってはへんですけれども。

佐藤:特徴ある にし茶屋街の西の角に建っているので 目立ちますね。この建築にはテーマがあったのですか。特別の景観地域なんですかね

橋本:そうです。ここまでが 特別の地域で 縛りの無い地域との境にあるので どうつなげるのか?っていうので、色々細かい操作はしているんですけど 。建築的に奇抜なことは全然してないんですけれど。こういう表現と 昔の伝統的な表現とどうやったら、無理なく自然 に見えるか?とか。 段々板の幅を変えていったりとか。

佐藤:防火構造は中に仕込んであり 仕上げは幅の異なる杉で覆っているんだと。なるほど。
橋本:そのまま 修理するということじゃないのもありますけれど、素直に昔の姿に直すっていう仕事ももちろんあって。どっちも楽しい

佐藤:特別に目立つ建築だけ作るぞーではない訳ですね。金沢に新古建築 どちらも出来る建築家が暮らしているっていう処が面白いですね
橋本:そうですかね

佐藤:古建築も新建築も達者にこなす人、なかなか居ないと思いますね 珍しい建築家としての生き方だと思います。金沢周辺には古民家は沢山あるんですか

橋本:ありますね。農家というか。

佐藤:橋本さんが建築周りを手がけ 庭は中村さんが設えたと
中村:そうですね
佐藤:庭造りはどのようなテーマだったんですか

中村:ここはですね 地域全体がちょっと斜めになっていて、段を解消するのにいりずみ街の所々に見えるんですけれども。これも蔵を直す時に石垣を全部組み直して

佐藤:土蔵は全部持ち上げ修理したんですか
橋本:で、沈み全部 基礎を下に作りなおして。落として
佐藤:地形の勾配によって出来る段差は石垣で解消したと
中村:金沢って街の中に水路がけっこうあるんです 用水路。この辺にも昔あったんだけども。そういう風景を中に作りたいなーと思って。

佐藤:鞍月用水などですね 犀川から浅野川まで つながっているのかな
 
 

中村:これは井戸を掘ってですね敷地内に掘り川を設えました
橋本:水はポンプ・アップです。
中村:ここのオーナーさんが地域に貢献したいという要望をもっていらっして
 
   こどもさんが 写真集をみたいと ぐずっている

佐藤:好きなんだよね お父さんが作った建築の写真集が、すきなんだよね。 はいはい。オーナーは地域貢献が好きな人なんですね

橋本:街と一緒に成長したいという考え方です

佐藤:そのような考え方をお持ちの方と どういう経緯で 仕事がきたのでしょうか

 その02へ