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橋本浩司さん編    金沢市 2014年5月28〜29日   真夏日 
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 03   翌朝 5月28日金沢市内  

佐藤:今朝一で見せていただいた住宅と工房の群建築。木造建築で傾斜地に建ってですね、大変工事や法律対応が難しいそうです。1番に気をつかったのは周りの風景を活かし 建物の内部からもそれを眺めることが出来るということですか
橋本:そうですね。



佐藤
:北側を背にして建てられていて 隣の家も連鎖反応がおきた 黒い渋い仕上げになってきている。思わぬ橋本建築効果が現れ。橋本さんとしてはここまで影響を与えるとは

橋本:まあ まあそうなんですかね。ありがたいです

佐藤
:変形かつ急傾斜の敷地に建てたと。外壁は杉材に黒のオイルステーンにて仕上げていると。

 図面を広げている

佐藤:下の建築と上の建築は対応しながら 南面の庭を夏は芝生の中を階段で下り、冬はそりにのって下るふふふ。 玄関+車庫は雪国なのでタップリととってありますね


橋本
:そうですね。あとは坂の流れを受けて まともなボリュームをボンと置くと違和感があるので一寸平屋の部分も前に作りたかったのもありますね。
 

佐藤
:改修なった甘納豆屋さんも群建築になってますよね。大きなボリュームと小さなボリュームと中間的なボリュームを調和させ配置していると。 この下の工房は小さくってちょっと離れて建っていて。居間から工房が見える 働き者の発注者さんでもあるような作りですね。


橋本
居間から仕事場が見えるようにしています。 西面の窓は森に対している。竹林に正対しているって感じです。三つの風景にちゃんと形を合わせて、風景を見るだけというよりも、敷地の関係性をそのまま形に立ち上げた。素直に立ち上げたらこうなったという。



佐藤:そのことによって屋根が変形になったと。
橋本:そうですね。そのままの崖の流れを階段でぐるっと回して2階に行くというふうに考えたんですけれども。

佐藤:一階の居間と台所に間の仕切りは なぜつけたんですか
橋本落ち着きたいという。リビングなんですけれども庭って言ったら変ですけれど冬の北陸はあまり外で寒くって出たくない環境なのでここで地形を全部味わえるような雰囲気にしたい

佐藤:町屋のように土間のようなもので竹林につなげるという発想は無かったんですか
橋本:そうですね 視覚的には庭として 土足で行き来できるようにはしてないですね。

佐藤:今日見学させて頂いた建物外壁は全て黒の仕上げだったんですが。黒のこだわっているんですか
橋本全然ないです 偶然です



佐藤
: 床と天井は杉板を貼っているんですね
橋本:これは能登ヒバっていう材料ですけど。 吹き抜けのあるところだけ節のある材料を使いました。

    電話がなり話しだす橋本 

橋本:立面的には端正な感じじゃないです。下から見あげたときに自然ボリュームが高くなる
佐藤:地形の建築の形状が素直に対応していますね。 壁は漆喰仕上げですが白く見えますが
橋本:2階は予算の関係でクロスにしました。残りは漆喰です。砂漆喰って言って漆喰の下塗りの粘りの強いやつを 厚めに何回も塗り重ねて。8ミリぐらい塗った
 

  




佐藤:次に甘納豆屋さんの話しに 移りります。偶然だそうですが 外壁が黒で建築群に仕上がっているというのが共通してますね

橋本:何期かにわかれているんですが全体の方が分かりやすいんで。
     (図面を広げる

 連続していはいるんですけれども。最初にをなおして。

 

佐藤
:この建築群は にしの茶屋街の街区の西角に在って、露出面積が多いですね
橋本:そうなんです。
佐藤橋本建築群で街区を一端締める感じになってますね ふふふふ

橋本:そうなんです。1階が厨房です。
佐藤:豆を1階で煮て甘納豆にし南側の店にて売り出す と。間にある 土蔵はこれから店に仕上げていくんだと 土蔵の2階は暗くないですか

 

橋本
:土蔵 ここは1品だけ高級なものを売る予定です
佐藤:もともとは古文書蔵ではなくって倉庫で使われていたんですか
橋本:普通の倉庫として使っていたんです

佐藤:瓢箪がた変形敷地なので町家崩してきなプランになっていますね どちらの建築からも通路を介して行き来できるので 中庭だけは水路も作られキチンと残され守られたと。 工場は元々あったんですか

橋本
:北がわ奥の3階の新建築部分、ここは駐車場だったんです。今の町家部分の1階の奥だけでこじんまり作っていたんです。繁盛しとても生産量が追いつかないので思い切って作った

佐藤:高評がたち 甘納豆を増産するために北側の駐車場に工場を作ったと。店の繁盛とともに橋本建築が増えていったと。店の成長と橋本事務所の成長が平行し進んだと

橋本独立したら声が掛かったんです。 今はここで梱包した品をがんぎじゃないですけれども冬、天候悪いので がんぎふうの通路を通って店舗の方に運んで行くっていうルートを採ったんです

佐藤:道路沿いに屋根のかかったバックヤードふうな仕立てがしてあると。柱は建てづに がんぎふう通路だけを確保したと

橋本腕木を出して。全て木造です
佐藤:工場の方は3階建ての木造建築ですが 耐火構造とかは要求される地域ではないのですか

 

橋本
準耐火でしたかね。確認申請通して。あまり凝ったことせずに在来の3階建ての工法で。どっちにしても部屋が最初からわかれていたので。1階にはけっこう柱建ててます
佐藤:防火地域ではないから 3階建てでも耐火構造はもとめられず現在のような性能でつくれたと。
橋本3階は倉庫なのですが

佐藤:豆荷重大変 重そうですね
橋本大変でしたね。構造屋さんに計算してもらって建てました。店舗部分と工場部分をつなげると 問題があるので離れて建ってます

佐藤:店舗部分とは不可分であるけれども法律も構造も別々の建築なんだと
橋本切り離して建具だけ入れてるんですけど

佐藤:外壁は厚さ12ミリの杉板を使い、オイルステーンで仕上げている。頂いた情報では鉄板に見えましたが現地に来て観ないと分からないですね黒い仕上げは
橋本:そうですね。本当に真っ黒の写真なので

佐藤:奥の方の工場・厨房棟が古くて 南側の店になっている方が新しのかとweb写真では想像しておりました ふふふふ 現地に来てみると逆でしたね 店の2階にいたっては古い建築の面影がないほどですね 白と黒のインテリアだ。

橋本:そうですね。これはちょっとそういう振り方をしましたね。 
佐藤:中庭は1階からも2階からも見通せる作りになってますね
橋本:最終的にはすっきりしたんですけれども、かなりお客さんとは色々やりとししました無理に西側に詰めてもらって。ここだけは開けた方がって伝えて。

佐藤:筒状の通路に店が設えてあるという形式ですよね
橋本:そうです。店を抜けて土蔵のところに行ってもらうような形です

佐藤:入り口の部分は一度振ってあるのはちょっと残念に思いますが

橋本:これは、助成金の関係で、最初は真ん中やったんですけど。町家、茶屋建築で玄関真ん中ってのはあり得ないので なんとか振ってくれんかと

佐藤:あ!そうなんだ。 真ん中から入れる方がドラマ性がありますよね 
橋本:最初そうしてたんですけれども 指導が入って。ここはどーんといきたかったんですけれども 
佐藤:その方が 中庭の存在と奥行きのある場所であるとの印象は強くなりますものね

橋本茶屋の町並みで奥がうかがい知れん建てもばっかなんで。ここはどーんと抜いて。ちょっと日が蔭ると中庭の奥まで見えるので。 全体は長屋門のかたちを踏襲しましたね。軒下の空間にしても、形式にしても・・・

佐藤:奥に行くほど下がっているので この差をどう処理するのか 悩みながら設計をすすめられたように見えます
橋本そうです。こういう瓢箪型敷地形状で北側へ下って複雑な形になってしまうと・・・完全な完成はもうちょっと先なんです

佐藤:そんなことで 3人の所員の方も 元洋裁学校の現シェアオフィスの中に すし詰めになって設計しつつ 金沢の町と一緒に事務所も成長展開していくと いう感じですね。いいですね。

橋本:さっき言われたみたいの地方で白い箱つくっていても、あまり意味が無いですよね
佐藤:そうは言われても 橋本建築群はかなり個性的ですよね
橋本そうですね意識的に普通はあまりしない木材仕上げをグラデーションにしたりとか
佐藤:押し縁入れたり 片方は入れなかったりと細かい操作をしている 上下の仕上げの幅も変わているし

橋本三段階に敷地に合わせて屋根も落としているんですけど。このボリュームにしてもぱっと見は和風なんですけれども、途中から傾斜を利用して白壁を無くしてしまって。ここだけ観れば普通の現代建築に見えてもおかしくないような。徐々に徐々に変えていきました。 

佐藤:口で説明されると分かるけど、現場で観ないと 写真では伝えられない 分からないですね
橋本唯観ると真っ黒な箱
佐藤:そして中に立派な蔵が仕込んであるのは写真では分からなかったですね
橋本そうですね

佐藤:瓢箪型敷地というか変形の敷地形状とそこにある勾配を活用して甘納豆屋さんの橋本建築群が出来上がったたと。

橋本:こういう ややっこしいことは前の事務所でけっこう ふふふふ 訓練されたと思います。これは全然 大丈夫ですね

佐藤:ありがとうございました また5年後に来ます
橋本:はいありがとうございました
佐藤:そうだそうだ 聞き忘れるとこでした 職人大学校のことを つづいてお願いします

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