HOME     文責・作成・佐藤敏宏         佐藤敏宏の京都ことば悦覧録 2017年1月27日から2月2日
ことば悦覧録

   
 
 山崎泰寛さん井口夏実さん 2017年1月29日京都市内にて
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その01
 
  こいちゃんが そばに寄って あそんでいる

佐藤:山崎さん 滋賀県立大学  環境科学部  環境建築デザイン学科  准教授 に就任されたとのことおめでとうございます。すでに1年ぐらい経ちましたか
山崎:去年(2016年)の10月からだから、まだ4か月です

井口:こっちにおいで ママのお手伝いして 洗濯物
こいちゃんやだー だっこ〜

佐藤:おじさんがいるから 興味もって来るんだね。おじさんのところに おいで
こいちゃんやだ パパがいい
佐藤:むすめさん傍にいても 聞き取り続けても大丈夫ですか
山崎:大丈夫です
佐藤:じゃー続けます 准教授になられて まずはおめでとうございます
山崎ありがとうございます



佐藤:通勤時間 たくさんかかりそうで たいへですか。
山崎:電車とバス使うと2時間はかかちゃうので、ちょっと大変だから自動車で行こうってことにして。それで1時間半ぐらい

佐藤:ご苦労様です。 8年前に聞き取りさせていただいたときは雑誌社の編集者でしたよね。2009年8月8日記録へ
山崎はい
佐藤:取材や編集のプロでしたので、博士課程に入学され大学の先生になるとは、夢にも思ってなかったんですが、計画的に進められていたんですか、何かの出会いが重なり偶然そうなったんですか

2009年の夏2ショット 深夜 北山にある川勝さんの居間で長い聞き取り中

山崎偶然じゃないんですけど。教えたりすることに興味があったし、研究も雑誌の特集を作るのと一緒で、みんなの知らない面白そうなことを出来るだけ調べて。で、新しいことを言う。そこは一緒だと思うんですけど。だから、興味なかったわけじゃないんですね。

佐藤:横国時代に映画評論を教えてた先生とマンツーマンで指導され、その先生に感動したという言葉が記憶に残っているんですけど。先生と生徒のありかたも自分でも実践してみたいなーと、ずーっと思われていたんですか
山崎ずーっと 思ってたわけじゃないです。どうせやるんだったら、そういう事はあってもいいし。うーん、社会学とかやったり、編集の仕事をしていると、みんなが当たり前だと思っていることか、思い込んでいることを そうじゃないこともあるよ言うのが大事だから。

佐藤:普通や当たり前って「そうじゃないんだ」と解ると社会のことが面白くなって見えてきますよね。そこへ導いてくれるのが先生ぐらいしか居ないかな
山崎:そういうことは大人として学生に対して言えるかなとは思います


佐藤:2011年に東日本大震災が起きて、京都の方々からも私に向けて義援金が送られてきましたので気仙沼で港町づくり活動をしてみました。(活動内容 掲載誌 『雑口罵乱』)
 被災地にお金を支援してくれる人はどんな暮らかなーと思い、京都にに訪ねてみました。山崎さんは博士課程の学生さんでした。


2012年2月頃 博士課程での研究の様子 3分30当たりから・・山崎さんの説明あります


MoMAで行われた日本の建築の展覧会について、展覧会の中身ではなくって企画したり編集したりした人について研究しているということでした。「編集者なので編集者に興味を持つのかなー」と思ってたんですけども。出来上がった論文は大学のサイトで公開されてます。


1950年代のニューヨーク近代美術館が日本の建築界とデザイン界に与えた影響に関する研究
  
 2009年の聞き取り時にM・建築家が建築編集者の山崎さんを攻撃してたのを傍で見てました。要は俺の広報機関になれってことでした。そこで敵味方に分けて建築家のためになる編集者は味方で嫌なこと書くやつは排除と。現在の蔓延している政治家と同じ姿勢でした。
 で、そういう攻撃も体験されているのに建築学生を支援・応援する先生になられたのは「なんでかなー」と思いました。そこが聞きたいです


山崎:うーん。
佐藤:建築を作っている人は自分を広報してくれる編集者を歓迎するが、批評批判する人は避ける傾向があるんでしょう
山崎どうなですかね建築は面白いと思っているんです。編集者とかで建築家と仲良くなったりし過ぎるのは間違っているとは言わないけど、僕はあまりよくないなーと思っていて。
 人として付き合うのはいいと思うですけど、建築家と、なんて言うんですかね、仲良くなり過ぎるのは 好くないなと思っていて。いろいろ困るじゃないですか。

佐藤:客観性をもっ他者がそばにいて言ってくれるのは大切なことだと思います。
そんな建築の世界に編集を経験された山崎さんが入っていくと 苦労を多く背負い大変じゃないのかなーと思いますが・・

山崎そんなことないと思いますけどね。むしろ、大学へ入って1年生、2年生は高校生の続きとは言わないけど、非常に社会化されていないっていうか、変に建築教育化されていないから。

日本の建築の教育って、建築家が凄く教えている場合が多くなっているから。建築家の教育みたいに偏っているときもあると思うんですけど。それは、うーん。ちょっともったいない
 建築ってもっと面白いのに。面白いはずなのに、建築家が一番偉いんじゃないけど、建築家を目指そうみたいになりかねないから。

 目指したい人は目指せばいいと思うんですけど。建築の設計の勉強をしたうえで、設計できるって凄く大事な能力だと思う。変わった能力だと思うので。
 それが出来るようになってから、公務員みたいに発注する人になるとか、お店やるとか。なんでもいいんだけど、そういう事ってあっていいと思うんですよね

 それが、建築の設計を仕事にするために、いろんな事をやるのは、かえって色々狭めているように思わなくはなくって。大人になってからじゃ遅いとは言わないけど。

私自身は設計の勉強をしたわけじゃないんですけど、大学生に入ったぐらいの頃、その4年間をどう過ごすのかという頃に関われると、多少 意味あるんじゃないかなーとは思いますね。

佐藤:設計の勉強はせずとも大勢の建築家や建築の研究者などとは関わってきましたよね
山崎そうですね
佐藤:雑誌編集では出来上がった建築の話を聞いたり、それを設計した建築家の話を聞いたり、論文書いたりと 建築とはかかわり続けていますよね
 設計をしない人間が建築を観たときの豊かさというのが建築家は充分受け止め生かせてないんじゃないか、建築を学ぶ道は色々あるけれど建築家像が強くってそこに若い人がハマってしまうのはもったいないと思う姿勢も持ってる。山崎さんのような姿勢は歓迎すべきと思います。

山崎:もちろん設計する人になってもいいと思いますけどね。なんていうんですかね、想像力。いろんなことが起こる、想像する能力 大事だと思う。

能力があるっていうことと、実際に形にする能力、その二つの力が建築を学ぶことの一番面白いところだと思うんです。それが出来るのが設計で、教育の一つだと思うんですけど。そこさえ出来ていれば何でもいいとは言わないけど。 必ずこうならなければいけない、そういうふうには思わなくって。

佐藤:MoMAでのアーサー・ドレクスラーさんの仕事、彼は建築家でもないのに、こんなふうに建築を面白がっていたというようなところの話をお願いします

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