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  佐藤敏宏の2013年ことば悦覧@大阪 
今津康夫 編

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佐藤:藤村龍至さんは縮退する社会に対して建築家として色々行政や身の回りの社会に提案して積極的に活動し 公共建築を小さく活用して財政負担を減らしていくという提案をしてますからね、そういう意味ではだいぶ建築家が置かれている環境も変わりましたね。


今津:これもヘアサロンなんですけど。
佐藤:ぱっと犬に目が行ってしまいましたが 
今津:はははは 
佐藤:犬を造ったんですか
今津:ビトラ いい犬ですわー
 

佐藤:これは家具がくねくねうねっているですか
今津:はい。受付カウンターなんですけど こんなんなんです
佐藤:壁がえぐってあるのでね じれているように見えてるわけだね
今津そうです。

佐藤:この作品はミニマムじゃないですね ちょっとデザイン姿勢が変化し始めたのか
今津:うん。
佐藤:素材も2重になってますしね

今津そうですね
佐藤:パン屋さんのような一枚板じゃないしねー

今津:こことここでは高さと機能が違うので、それをくっつけるのに
佐藤:店内の椅子もデザインされたんですか
今津:それは購入したビトラの家具ですね  板壁の後ろが水回りでシンクが一杯並んでて。
佐藤:バックヤードですね



今津:シャンプーの色とか調色するような
佐藤:材木を使ったのは パン屋さんデザインの影響すかねー

今津
:オーナーさんが使っているシャンプーとかが、オーガニックないいやつでして。なので、そういうコンセプトを施主から聞かされたので、こういう杉の間伐材とか。とかこういうのを置いてますね。これも設計一年ぐらい掛けたので。色々考えれたので、落ち着いて

佐藤:カーテンとかも自分で選んでいるのですか?
今津:はい 選んでます。
佐藤:椅子とかも選んでますか
今津:お施主さんと一緒に選んでます

佐藤:今津さんの仕事は色々な発注者がいるようなので 対話の練習と空間作りと同時に出来て うらやましいですね
今津ふふふふふふそうですか ありがとうございます。確かに色んな人がいますね

佐藤:店舗などは回転が早いから 自分がデザインし監理した空間も無くなるのが早いってこともあるんでしょう

今津:まあ幾つかありますかねーここ最近は無いですけど。事務所やり始めたときは無くなったのもありますね。

佐藤:沢山 練習出来る場もあるけれど 消えてしまうデザインも あると。

今津:これは郊外型のヘアサロンで。同じ坪数なんですけど 席数が少なくって。よかったので。鏡の配置ってヘアサロンって以外に一律なんですけど。
佐藤:個室タイプじゃないんですね。

今津鏡の配置を卍型に3mの配置 植物は沖縄から運んできたんですけれど、その回りにばらまくみたにすることで。

佐藤
:観葉植物枯れたりしないんですか
今津:大丈夫ですね 花が咲いたり
 

佐藤:ミスト 吹いたりしているんですか
今津:この当たりはしてますねー
佐藤:この植物は生きているんですよ
今津:生きてます 生きてます

佐藤:内部は空調するのでだいぶ乾燥しそうですよね。 樹木の回りで髪をきりますよと これはミニマムじゃないですね発想が
今津確かに

佐藤:家成さん効果ですかねー はははは だいぶ変化しましたねー 発注者の影響を受けてということですか 自分からですか
今津:面積に余裕があったんですよね。なので普通に鏡並べてもも、すかすかになりますし。大きな木を置くスペースも在って。

佐藤:今津さん 本当はオーガニック好きなんですか 驚かせるのが好きなんですか
今津:どっちもあるんじゃないですか
佐藤:どちらもあると なるほど

今津:幾つかヘアサロンやっていて 鏡の置き型がつまらなーとずっと思ってたんですよ。でもそれは効率考えるとそうしかなかったので。諦めてたんですけど。ここではちょっと 鏡が映り込んだりするし効果。そういうのやってみたかったんですね。

佐藤:
直線で並んでいる場合は似たような風景しか鏡に映り込まないからね
今津:そうなんですよ
佐藤:この卍方配置だと 色々な方向の風景が映り込んでて、お客さんも移動するんでしょう 
今津:そうなんです。

佐藤:移動するたびに鏡に映っている風景が変わると 多様な場に見えると という感じですね これはまた一つ脱皮したと
今津:へへへへへ 
佐藤:樹木も植わっているしね 凄いね
 

今津:
緑も色々映り込むので

佐藤:木も使い さっき紹介いただいた薬局とも繋がっていて 木が好きになってきてますですか

今津:ふふふふふふ 緑嫌いな人なかなか居ないですもんね
佐藤:そうですね 存在感あるので 和んじゃいますよね  サボテンも植わっているんですね 植物好きなのかな

今津:一緒に畑まで行って、選んだりしましたね。
佐藤:鏡に色々映ってて面白いですね

今津このオーナーさんはこれが凄く気に入ってくれて。新し店も
佐藤:発注されたと ちえーん店ですか 全国展開中の
今津:5,6店舗ですけれどもね。 コンセント1500ワット運ぶのに10台ぐらのやつ要るんですけど。それも露出にして 自立したアイディアをぽんぽん入れて。これも書店建築に載せてもらって。

佐藤:ヘアサロン業界では柳原か今津か みたいに有名なんですか
今津:いやいやそんなことはないですわー ふふふふ まだまだです



これは住宅のリフォームなんですけど。 マンションのスケルトリフォームですね。これも凄い地味なんですけど。

佐藤:元の間取りについた窓がそのまま残っていると
今津:そうですね
佐藤:ワンルームにしたのかなー。また一端戻って ミニマムなデザインですね



今津:
とても地味なんですけども、僕としては色々細かい処まで考えたので、割と(今津)らしさが出ていると想いますね

佐藤:古い建物と対話するというか 新しく接していく物との対話というかな、どういうふうに考えて居るんですか?機能的に考え優先していくんですか それともデザインとして

今津:機能的にまず考えて切っ掛けとしてね マンションって柱が4本じゃないですか。6本在って。大梁がね暴力的に十字に走っているですよ。 今ないですからねこんな構造。それを現しにして、この梁に壁が当たらないようにルールを設定して

佐藤:隙間を意図的にずらして 十字梁の ふてぶてしさを共有して楽しんで暮らしていこうみたいな 
今津:せつかく築40年マンションのリノベーションなので、新築で出来ないような。まあ地形ですよね。

佐藤:闘わない そうですね。そういうものと自分のデザインをいかに対話させていくか?っていう楽しみがあるよね
今津:そうですね
佐藤:色使いが共通してますよね ブルーと白と茶色と、それは今津好みですか

 

今津
好みですね。黄色だとねちょっと目むきますし。ブルーだとちょっと冷たい感じなんで。
佐藤:これは色ガラスですか

今津:色ガラスです これは扉なですけど

佐藤:蝶板がどこにあるかわかりませんね
今津:こうするんですよ
佐藤取っ手がL字型になっていて扉とは分かり難いようなデザインだと。絆創膏貼ったみたいな 寝室になっているんですか

今津ただの収納です
佐藤:仕掛けが大仰なわりにはただの物入れだと、割にはこれで張ってますね
今津:こいつだけ出したんですよ



佐藤:他はコンセントとかは露出していないですよね
今津:露出してないです こいつだけ ここに照明器具があるんですけど 電気の流れを見せて
佐藤:電気の流れをデザインし可視化して 原発事故の影響ですか?
今津:ふふふ そんなこと全然ないですね。まったくないですね。天井に付けているのこれだけなんで。



佐藤:この照明器具は変わった形してますね
今津:投光器を特注でライトグレーに塗って、天井からちょっと離せて、天井に向かって強い光をバシャーっと当てて間接になるっていう。

佐藤:でかい投光器つかって熱くならんですか
今津:そうでもないですね大丈夫です

佐藤:やっぱL字型の この取っ手が笑えますね
今津:この場所にある建具の取っ手。直接付けてもいいんですけど でも角にあるので。
佐藤:おしゃれですね

今津:キッチンもステンの一枚板で、L型に折って。 ここはスパイスラックになっていて。


佐藤:竣工写真はカメラマンに依頼しているんですか
今津:はい。学生時代からの友達で、彼は建築の専門じゃないので、建築はほとんど 僕と僕の回りにいる何人かしか撮ってないですよ。今は僕の兄貴とスリランカに行ってます。カメラマンとして優秀ですね

佐藤:この壁は?
今津:僕が作った壁なんですけど 十字型のフレームに当てないっていうルールなんで。開けたら開口部が繋がっているというふうに

佐藤:新設した物と既存がはっきり分かるように可視化して 既存の構造と対話して協調し合う物どうしにて 作っていくという 闘わずのデザインですね
今津:ふふふふ

佐藤:ちょっと手入れさせていただきます 済みませんと 闘わず でも全体を調和させようと 排水パイプも出てますね
今津:そうです 排水パイプも出して、床柱に見立てて
佐藤:状況対応に機敏で柔軟な感じですね。与えられた環境を読み切って、闘わず勝利してしまうと

今津:ふふふふ



佐藤:出来上がって快適に住まわれていますか
今津:そうですね快適に住まわれてます
佐藤:大阪では このような既存のマンションの改修も需要が沢山あるんですか
今津:はい 今はローンの仕組みが変わって、中古のマンションを買うテナント、リフォームの値段と、昔は2本やったんですけど。一昨年ぐらいから銀行がリーフォームのローンも住宅の金利で貸してくれるようになったんで

佐藤:それ以前はリフォーム資金の金利は高かったんですね、住宅金利じゃない 改修費の金利は別だと
今津:昔はそうやったんですよ
佐藤:新築の時代からリフォームの時代へ変わったんで 資金の金額もふくれ銀行も触手を伸ばして低金利にしたんだと
今津銀行も1番とりっぱぐれないですものね。だから今めちゃ増えているみたいですね。僕自体はあまり増えてませんけれども。社会的には凄く増えている

佐藤:この写真は住んだあとの様子ですね。
今津:そうですね
佐藤:珍しいですね人が居るところの写真っていうのは これも雑誌に載せたんですか
今津:載せました





佐藤:今津さんの手法というものが段々明確になっていくって感じですよね
今津:自分でやっているのは分からないですね〜
佐藤:そうか 自分では何をやっているか分からないもんだよね、あとでだんだん分かって来るもんかも知れないですね これは平屋ですか?

今津:
法的には3階建てなんです。

 

佐藤:3階建てに見えませんね
今津:はい こういう斜面にまたがって建ってまして。
佐藤:開いているところは床下じゃないの
今津:敷地が2段階に造成されてまして

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