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  佐藤敏宏の2013年ことば悦覧@大阪 
今津康夫 編

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今津:それにスロープをまたぐようなかたちでちょっと浮いてまいて。で法的にはここは1階やという判断で

佐藤:つーつー外部床下のよう なんだけど 1階だと

今津:で これが2階ですね。3階が 屋根裏みたいなものが在って
佐藤:建築基準法じょうは3階だと
今津:これが1番新しいですね。今年(2013年)出来やつなんで。この住宅も奈良ですね。



佐藤:トップライトありますね
今津:あります。換気もしないといけないんで。
佐藤:外壁は鉛ですか
今津ガルバリュームのグレイ塗装です。凄く安い 倉庫とかで使う材料ですね。これはいつもお仕事で 照明のプランをお願いしている方がクライアントで。で彼もプロみたなものなんで。非常にキャパが広くってやりやすかったです。

佐藤:扉の枠が建物から飛びでているっていうのが脱ミニマムに見えますが 何でですか?
今津:ここがトンネル状に向こうまで繋がっているんですけど。扉を開けた時の開放感。

佐藤:両方に角が突き出たみたいに 枠が出てるんですか
今津:なってます 

 

佐藤
:あ 本当だ、角が突き出たみたいになってアクセントに表情になっていますね。角無しだと普通かなー、2本窓枠の角が出ていると 何か主張しているみたいに、誤読してしまいますね。
今津:設計しているときは屋根の形とかが色もそうなんですけども。風致地区で、奈良で片流れはあかんとか。フラットルーフはあかんとか。決まってましてね。

家型が1番コスト的にも同じ断面が続くんで、いいと思って。家型にしたんですけど。施主自体は活発な方なんで。家型って内向てきなイメージがあるじゃないですか。閉じられた。そういう家族だけの家を 閉じ込めたくなかったんですよね。

なのでここをばーっと開放して、外に開けることで、内向きな家型がもっている特性をうまく、和らげようと。ここはワイヤーが走っていて。いま ノウゼンカヅラ植えているんで、数年後にはここがパーゴラに

佐藤:植物がふたたびここで登場って感じですね
今津ふふふふ
佐藤:ミニマムデザインだったら角が無い方がすっきりだけど このあたりが変化して来てる 色々変わってきている。今津さんちょっと変わりだしたな−って感じですね。角とっちゃうですよね。何か変化があったんですねきっとね。

佐藤:プランはどうなっているんですか
今津:プランは図面みたいのは 一切ないですね
佐藤:すとーんとしてて 真ん中に階段が在って、機能が別れている手前が

今津:リビング。
佐藤:壁がべたーっと成っている処はなんですか
今津: 宇宙船みたいに真ん中から入っていく

佐藤:仕切りがはっていて ベランダ風なんだ
今津:そうです。インナーバルコニーみたいな感じになってますね
佐藤: 新しい性質の場が出来てしまってますね、なんで中間的な場を設えたんですか
今津:元元はこの屋根の ここが全面ガラスやったりしてたんです



佐藤
:薬局でできなかったのでここで復活ですね〜 ふふふ
今津ふふふ 全面じゃなく。ここだけですよ。サンルームみたいな扱いだったんです。このSDも制作物なんで、機密性が悪いんで。内側にもう一個木建てして、ここは半屋外みたいな空間にしようという話しにしてあったんですけど。トップライトがなくなってもうて このトンネルだけが残って。 それでも充分ですけど

佐藤:当初のアイディアを死守しないで 状況に合わせて最初のプランを変えながら柔軟につくっていくという
今津:施主と最後まで残したいねーって言っていたんですけど。コストがりがりで、残りませんでしたねー。  照明プランナーの人なので こいうのを特注っていうか彼がデザインして。

佐藤:フィラメントむき出して見えるんだ
今津:真鍮の無垢棒を削り出してソケット入れたりして。
佐藤:どんな光になるんですか



今津:電球自体が 昔ながらの裸電球
佐藤:デザインしたソケットは市販しているんですか



今津:してないです。彼に頼んだら作ってくれます。1個1万円ぐらいですよ。真鍮の無垢を削り出しているので、見附が数ミリあるので、1/1で観るとだいぶいいんですよね。



佐藤:お、鳥がいるみたいですね
今津:これも施主が
佐藤:しゃれでつくったと なるほど

今津キッチンも家具でフレームだけつくってもらって、その上でモルタルを打つ。という超アナログなキッチン。引き出しとか一切無い。
佐藤:いいね 小賢しいことは一切しないと
今津ふふふふ。そうですね。こんなキッチンですね。

佐藤:天板がモルタルになっているんですね
今津:そうですモルタルです 


佐藤:建物は全て木造なんですか
今津:1階が鉄骨 2階のスラブがRC その上は木造ですね。構造計算としてはルート1かな。ちょっとややこしいです。これも子供が二人いるんで。走り回ってますけどね。3階は屋根裏みたいに。コスト的にも 日陰の話しもあったんですけど。0.5階みたいになっていて。これ子供のスペースですね。




佐藤:今津さんは理論的な文章を書いてこれから 設計するですか?
今津やらないと思います、煙に巻くようなことはやらないと思います
佐藤:普通の人が読んでも分かる文章でまとめると
今津そうですね。コンセプト文も単文でそうしてますし。 奥さんが家で仕事するのでちょっとした仕事場があります。

 カステリオーニの照明とかが沢山コレクションしてて。ありますね。

佐藤:イイ照明器具を眺めながら時を過ごし発想を豊かにすると
今津:そうなんですよ
佐藤:行き詰まる これを見あげると。そういう暮らし方いいよね
今津:はい。凄い素敵な照明ですよね 



佐藤:1階はすでに遊び場になっているじゃないですか ハンモッグ吊って
今津:そうです。今はウッドデッキひいて、外構工事間に合わなくって 急いで写真撮ってもうたんですけど。 
佐藤:2階の床下が子供の遊び場になっていて 何となく東南アジアっぽいですね
。これが最新作であると。

今津:はい これもコスト的にもかなり苦労して出来たんで、やっと出来てよかったなーと。
佐藤:まとまった新築建築だしね、造成地に段差があって そこにどう応えるかと。家型は風致地区だからこうせざると得なかったんだと、ということもあるんですか。

今津
:そうですね。家型とコスト的などこを切っても同じような断面にしたらいいと
佐藤:ぷらんには仕切りがほどんど無いんでしょう。
今津そうですね
佐藤:全てつながっていて 装置で見えなくなると。この当たりに風呂とか便所が入っているんですか。
今津冷蔵庫の奥が風呂です

佐藤:風呂なども仕切りなしですか
今津:仕切ってないですねシャワーカーテンだけですね 空調も施主が前 住んでた  馬力が足りへんのにそれでいいということで 移したんで 効かないですねそもそも。


佐藤:完成おめでとうございました。最初にインタビューに来た時には今津的作り方ってのがハッキリしてなかったような気がすたんですが、だいぶスカッと分かり易い建築(家)になってますね。最初の住宅の説明聞いててもよく分からなかったです
今津はははは
佐藤:沢山な出会いがあり 多様な ミニマムな店舗とかも作られて 今津的作り方っていうのが分かりやすくなった 。それがいいことなのか悪いことなのか分かりませんが。どうしても作りながら、自分の枠を作って填まっていくっていう事態もあるじゃないですか。それ過剰適応し すぎると飽きちゃって壊したり 一層磨きを掛けたりして違う質のものにしていくのか? など色んな作法があると思うですけれども。これから5年間はどうでしょうかね。5年後の目標みたいなものがあればお聞かせください

今津:いやー 自転車操業でやっていうだけですわー

佐藤:馬の骨建築家だと言っているそうですが
今津誰が言っていたですか
佐藤香川さん 馬の骨建築家同盟だってはははは。大学では教えてらっしゃるんですか


今津:摂南と母校の阪大で非常勤講師をやってます

佐藤:だれから呼ばれたんですか
今津公募あったんですよ、数年前にそれに応募して。でも、阪大の教授から公募やっているから出してみて〜って言われた
佐藤:どうですか 教育の場に関わってみて

今津:週一回の非常勤講師で設計製図みているだけじゃー う〜なんか〜。帰ったりすることは出来ないんですよね
佐藤:技術者養成の場に入るみたいになってしまう 議論して何かを作り出す場には居ないという
今津:去年から3回生やっているんで。まだそういう議論する局面が無いこともないですけども。

佐藤:卒業設計の講評会には自主的に行っちゃうんですか。興味がないから行かないですか
今津いやいや 阪大に行くぐらいですかね
佐藤:後輩が何を作り出しているのか観に行くと 
今津:そうですね OB講評会みたいなのがあるので。それに顔だしたりしていますけどね〜。

佐藤:前回の聞き取りで 特徴的で印象に残っているのは 色んな建築を仲間と観て歩いて 朝から晩までワイワイしているという件ですけれども。奥さんからもあきれられてしまうっていう 私的イベントの件ですけれども 今はどうなんですか
今津はいやってます

佐藤:モダニズム建築を見学してるってことでしたか?建築の種類な何を観て歩いてるんでしたっけ

今津昔師匠がつくったマンションを観に行ったりしてたんですかね。あれからいったら グラントワって内藤さんの島根か。瓦のやつ。あれごっつ遠いですけれど。あれ日帰りで観に行ったり。

佐藤:相変わらずの強行スケジュールですね 議論の中身はどうなですか。デザインイーストみたいに ぎゃーぎゃー多面的に騒ぎ盛り上げるようなことは参加してませんですか
今津:まあそうですね この前の家なりさんの キャンプ。小豆島のシンポジュームみたいなにのは行きましたけど。

佐藤:リーゼント被っての写真撮ってましたね ははは 気に入ってるんですか
今津あそこに行ったら ああいう鬘があって撮るっていうプログラムやったんで

佐藤:今津さんも〜そんなひょうきんな処があるんやなーって
今津ははははは ありますよ 大阪人なんで

佐藤:議論にも参加しつつ若い学生の指導もし始めている機会を積極的につくっているんですか たまたま

今津:偶然ですね。呼ばれたら行きますけれども。家成さんとか香川さんとか、リアルタイムでしゃべって、自分の意思とずれずにね、伝えれる人って居ると思うんですけど。

佐藤:
だんんだん香川さんは馬の骨だしてきてますよね 建築系の賞をもらったりして
今津:僕はそういうタイプじゃないんで

佐藤:建築の依頼は近辺ですか
今津岐阜で調剤薬局やったりとか 東京でインテリアデザイナーの友達と共同設計で住宅やったりとか

佐藤:今津さん自身がインテリア−デザインもできるのに 協働でするのは
今津:彼はインテリア−なので、建築の免許がないので、一緒に組んでやろうかと。

佐藤:どうですか 自分の作り方と違うかたとの協働は
今津違いますね 任せるとこは任せて

佐藤:ガバナンスだけすると
今津エンジニアとしてフォローしたり

佐藤:そろそろ終わりにします 若い人とがんがん議論してつくるタイプじゃないんだと 色々向き不向きはあるので 今津なりにはっていくと 丁度 1時間なので ありがとうございました また5年後に来ます 

今津 佐藤 共に  ありがとうございました



 2013年 9月17日 今津康夫さんに聞く 読んでいただきありがとうございました 次回の聞き取り記録は 2018年の予定です どのような作品を世に出しているでしょうか お待ちいただければ幸いです

 文責 佐藤敏宏