HOME  作成 佐藤敏宏
      
聞き語り記録 
記録一覧  辻琢磨さんに聞き語る (SDL2018最も若い審査員)
 01 02 03 04 05 06 07 08 09 


2018年4月6日
新宿駅南口14時集合
傍の焼き肉店で

  ■ ページ見出し 

 01 初・審査員でしたか
    審査を振り返って 
    語り語らせた 
    統制され過ぎた運営

 02 人間らしいことを 
    全員異なる評価基準 
    町場のイベント・学生のイベント

 03 渡り歩く 
    才能ってなに 
    知的感動あり

 04 辻の思い共有されず
    審査員長の選択 
    タバコ吸わせろ 
    辻の後悔 
    リアルティの有無 
    終焉でどう 

  05 一位じゃなくって全然いい
    普通に就職する 

 06 記録を見ながら語る 
    審査時間の問題 
    評価基準 

 07 一位を決めた時 
    卒業設計で何すべき 

 08 辻さんの卒業設計 
    言葉と物について 
    三人で独立して 

 
 09 まず、浜松で 
    遊びをもって 
    自主トレ・読書・勉強会 

 01 

初・審査員でしたか

佐藤:フットサルで足を痛めたとのこと、痛そうですね,すみません。エスキス塾講師の堀井義博さん (後日公開)と35選でもファイナリストになれなかった須藤悠果さんに、聞き取りました。それぞれ3時間ほどのweb記録ができたので、審査員をされた最も若い辻さんに会いに来ました。
:3時間もですか。
佐藤本戦は、実質3時間は無いんじゃないかな。
:短かったですね。



佐藤:10人のプレゼンと質疑応答と、審査員の票入れと、一位決めまでと、一位の挨拶と、審査委員長の総括。それらを辻さんにも見てもらうためにweb記録に仕立てたので持参しました。
 辻さんは一番若い審査員だったのですが、SDLの審査員は初体験でしたか。

:そんなには審査員やってないですね。ディプロマ京都は一週間前に、審査員やりましたね。

佐藤:ところで、卒業設計日本一展に辻さんは出品した事あるんですか
無いです
佐藤:辻さんが学生だった頃は、SDLや各地での卒制展は賑やかな時代だったんじゃないですか。SDL2018は今年が16回目でした。

:僕らの一年前が大西麻貴さんですよ。
佐藤:辻さんが大学四年生というのは今から何年前ですか
2008年ですね。SDLは5、6回やっていた
佐藤:2008年ですか第一回ラウンドアバウトジャーナル開かれた)。2005年の日本一位の大室佑介さんと同世代だと思ってました。
:大室さんは、たしか二回目の一位じゃないですか。3,4才上ですよ。
佐藤:辻さんは卒制展に出品していなかった。
そうそう

佐藤:聞くところによると、今は学生に大人気だという辻さんです。SDL2018の会場を体験して思ったことですが、年上の審査員と辻さんの考え方は違っていましたね。辻さんは愛称・ターザンを推していました。その辻さんの姿を見て、他の審査員は笑ってた方が多かったですね。若いうえに他の審査員とかみ合ってないので、興味がわきました。
辻:ターザンは福岡のデザインレビューで一番に成ったみたいです。福岡までは行ってないですけど、結果が流れて来て「ターザンが一位です」みたいな「えーえ」みたいな。ハハハハハ「一位〜」


審査を振り返って

佐藤:SDL2018でターザンを最後まで推してたいのは辻さん。青木審査委員長の一言で、日本一位の決め方が変わり、一位の人を選ぶためにだけ投票し決めることになりました。
そうですね、あれは、何て言うのかなー。一番共感できて。

店員:はい
佐藤:火つけてくれますか
店員:これが前菜です。
:はいはい


佐藤:辻さんフットサルで足を捻挫しても飯を食う。これも撮っておくか・・
ははは 足が痛くっても飯は食いますよ
佐藤:自分で焼いて食って
店員:網が温まるまで一分少々おまちください
:はい 

佐藤:ターザン推していたんだけど、一位決定時にはターザン推さず。こいつは三位の玉でもねーよと、捨てちゃった。
はははは
佐藤:なかなかの変化で、よく分からなかったんだけど
一位に成るか話題に上がらないか、って感じではいましたね。割と捨て身でいったような感じはあります。ターザンに審査員の皆が乗っかるとは思ってなかったですね。盛り上げれるような、議論ができるかなーと思っていたんですけど。
 個人的に押せる案と、順当に行けばこれっていうのが一応あって。順当に行けば基礎か塩が密度が高かったので。「それなんだろうなー」と思っていたんです。でも、推し切れる魅力っていうか、隙がない感じがしたんで。多角的に議論できそうにないなーと思って推すならターザン
 むしろ他の日本一、二、三はあんまり肩入れできなかった。

佐藤:その意思を、辻さんは壇上で表明していたから。
敷地とプログラムが無いっていうのは・・、一位は美術館でプログラムはありますけども、思い入れがないし。敷地の設定とプログラムの設定を放棄すると何をよりどころにして評価したいらいいのか、分かんない
佐藤:SDL2018の一位から三位までは、ほぼそれらが無かった。

:頂きまーす。 (焼き肉を食い始める辻)
 僕は、特に予備審査からずーっと全部観て。審査の経緯も観てずーっと、みんなで共有して、絞っていくプロセスがあったので。
 10に絞った時点で、「この10だったら、どれ行ってもいい」っていう感じにはなっていたんですよ。だから一、二、三、ああいう形で評価がありましたけど。順位決めっていうのは、生ものなんで。そこに至るプロセスを、ちゃんとチームで、僕はチームみたいだなーと思ったんです。審査員で共有しておけば、議論の展開もどう転んでも、面白くなるなーと思っていたんで

総合的に見て、赤松さんほど、不満は無いですね。ははははは


語り、語らせた

佐藤ふふふふ。学生と審査員の言葉の数を積み上げてグラフを作っり見たんんだけど、辻さんは壇上でよく喋ったし、学生にしゃべらせましたね。
しゃべっていましたか
佐藤:審査員初デビューでも、多数の言葉を発してましたし、学生にも喋らせてました。

はい
佐藤:グラフにして分かったけど、どちらも役割を果たしていた。SDLに初登壇で頑張った。審査員で呼ばれた分の仕事はしているなーと思いました。
 議論の中身・発言の中身の質は比べる方法が無いが、言葉数は多く出したし、語らせた。
:あまり、クリティカルな事は言えてなかった。
佐藤:審査員としての立ち位置は明快にしていたのでね

:それはそうです。踊らしてもらったような感じはありますよ
 五十嵐審査員と僕で、先鋒みたいに「切っ掛けを作っる感じだろうな」って、話しながらずーっと審査してましたので。その役割は果たした。

佐藤:審査に入る前、に役割分担を決めて、こういう議論に展開させましょうとう打ち合わせは無いんでしょう
それはないですよ。むしろ五十嵐さんと「戦おう」みたいな。
 というか、「五十嵐さんと門脇さんが喧嘩しよう」みたいな事を言っていたんです。とくにそれも無く。
 全体の予備審査からのバランスで。誰が、かき回すとか。皆・共有出来ているんじゃないかと。

 僕が一番良かったのは、本戦の審査が始まる前の、ちょっと30分押して、前説ってうか・・みんなで総評を最初にやる。あれが一番良かったですね。
 選んだ理由と審査の経緯を丁寧に説明するのと。評価基準というのは色々あって。決めるのは本当に難しいところから始めって、っていう前提を共有できて。
 普通は総評って最後にやるんですけど、最初から総評で行けたっていうは、青木さんぽいし、ひっくり返す感じが

 あとは、運営側に対するジレンマは、僕はずーっと有って。「なんであんなに大変な事をやるのかな」と思って。
佐藤:同意します。そこを聞きたい。


統制され過ぎた運営

:もちろん日本一を決める価値、僕も分かるんですけど。すごい統制されているじゃないですか。150人ぐらいスタッフが居て。一人一人が役割、縦割りであるから。前説を入れ込みたくって「先に入れていいですか」って言った時も、担当の学生に裁量が無くって、行政と話をしているみたいでした。「ちょっと、私じゃわかりません」みたに、あたふたして。
 そこで10分ぐらい押し問答して。「いいから、出ます」って、審査員みんなで出ちゃったから、結局はよかったんですけど。
 なんでそんなに余裕が無いのか、スキが無いのか。ディプロマ京都でも感じたし、仙台でも感じたんです。

佐藤:運営形式がきっちり出来上がり、そこをナゾリ過ぎかな。裏事情が分からないけど。審査討議の時間が長い方がいいのになーとは思った
:前説入れたのは、審査に使う資料が準備出来ていなく、審査がスタートできたなかったんです。
佐藤:プレゼン作品を審査会場の大きなスクリーンに映し出すための、データ仕込み時間が無いのか。「競り」を終えてから間が無いのかな
:「審査は、ここからしか出来ない」から「この空白の2、30分をどうしようか」っていう事を話して、ああいう形になったんで。単に前倒しに出来ない。
 五十嵐太郎教授が言っていたのは「梱包日本一とか、あの時間は要らないよね」とか。
佐藤:観客としてもあの時間はなくていいし、やるなら前座でいいな〜と思った。梱包表彰はトイレタイムとか、裏で段取りするための時間調整だったのかな。

辻:そう、臨機応変に対応するっていうのが出来ない。縦割りになっちゃうと難しいみたいですね。本当に組織の硬直化みたいな事を、なんで学生がやっているだろうと。もうちょっと・・切ない気持ちに成ったし

佐藤:焼肉、焼いて食ってくださいよ。しゃべりながらじゃ美味しく食えないか
辻:美味しいですよ。
佐藤:最初に戻るけど、まずSDL2018に審査員として参加しての感想を聞かせてください

  その02へ続く